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本当になってしまいました。F-2後継機 自国開発へ

F-2後継機 国内開発へ

◆航空自衛隊のF-2後継機の国内開発の方針が決まった。

F-2戦闘機
F-2戦闘機

F-2後継機と言っても、実際にF-2が古くなって交代させるのではない。自衛隊は日本のお役所らしく、「これが古くなって使えないから新しいのを買って」という原則を守っているだけ、
本当は、隣接軍事大国の空軍装備が強化、最新化しているので、それに対抗し凌駕する戦闘機を配備運用しなければ日本の防空能力を損なってしまうので、どの機体の後継でなくても、結局のところ必要になるのである。

でも、つい最近、ロッキードF-35を買い始めたばかりじゃないの?

F-35Lightning2
F-35Lightning2

と素朴な疑問を持つのは当然である。
その疑問に対する、自衛隊の答えが上の「後継機」という回答なのだ。

◆F-2の代替え

現在、航空自衛隊は3機種の戦闘機を配備運用している。
古い順から
F-4 ファントム F-4EJ改

F-4EJファントム改
F-4EJファントム改

F-15 イーグル F-15J(一部改)

F-15Jイーグル
F-15Jイーグル

F-2 (国産機)

F-2
F-2

でさらに、
F-35 ライトニング2

F-35J
F-35J

も配備し始めている。

空自では上の各戦闘機の役割を
F-4は全般の支援用
F-15は制空戦闘機、敵の航空機の侵入を防ぐ
F-2は対地攻撃用
と分担させているように言っているが、
実は、今の戦闘機に役割の違いはほとんどない。
日本の場合、専守防衛の目的に特化するために、戦闘機の対地攻撃能力を極端に制限してきていた。だからF-4やF-15は潜在的に多量の爆弾を積んで対地攻撃する能力があったにも関わらず、購入時にそれらを取り外して、対航空機戦闘しか出来ないようにしていたのだ。
当時は「攻撃的」な「兵器」は装備しないという、なんとも矛盾した方針で防衛装備を整えていたのだ。
実際、空自が本格的な対地攻撃能力を持つのはF-2の配備後だ。(この頃に誘導爆弾やJDAMの導入が始まるから)

冷戦も終わり、精密誘導兵器のパワーを見せつけられた湾岸戦争の後には、F-4も対地攻撃が出来るように改造され、F-4J改となった。
F-15には今でも強力な対地攻撃能力を付与していないが、米軍や韓国の同種F-15を見てわかるように、強力な対地攻撃能力を持つのは明らかである。
また、逆に、F-2は対空戦闘用の高性能レーダーも装備し、実際に防空スクランブルの任務もこなしている。

すなわち、F-2に何かの役割があって、それを交代するために戦闘機が必要なのではなく、単に、航空自衛隊全体の防空能力を維持向上させるために新しい戦闘機が必要なのだ。

だから、そのためのF-35なんでしょう?

もっともすぎる意見だ、
でも、逆にそのもっともすぎる意見を無視して新戦闘機を要求しなければならない航空自衛隊の事情こそが、今回、国内開発することになった理由であろう。

◆F-22売ってもらえなくなった、ガーン!!!(当時の航空自衛隊幹部、想像)

F-22Rapter
F-22Rapter

これまで日本にとっての本当の防空戦力はF-15であった。
F-15を装備した当時、その性能は圧倒的で、軍拡時代のソビエトの戦闘機でさえ対抗できなかった。ソ連を仲が悪く、いまだにMig-15のコピーを使っている中国軍なんて相手にもならなかった。F-15の空自配備が1980年なので、その後20年近く日本の空を守ってきたと言っても過言ではない。
ところが、このF-15に対抗して開発されたMig-29とSu-27がF-15と同等の性能を有し、しかも、冷戦後ロシア軍需産業の輸出の目玉となったために、世界各地にF-15同等戦闘機が日本の周辺にあふれ始めたのだ。
コンピュータ技術の技術革新もこの傾向を後押しした。精密電子装置の塊と言われたF-14でさえ、そこらのパソコンよりも原始的なプロセッサしか搭載していないのだから、ロシアはスパイを使って米国の軍事技術を盗まなくても、中古のIBMやNECのパソコンを使えばミサイルの制御装置など開発するのは簡単だった。

後にもう一度言及するが、戦闘機にとって、電子技術とならんで高度な技術が航空機用ジェットエンジン(ターボファン含む)だ。戦闘機に使えるエンジンを生産できる国は世界でも限られる。もっとも高性能なエンジンを生産できるのは、米国のGEとプラットアンドホイットニー、英国のロールスロイスで、それらとほぼ同等なのがロシアのリューリカ・サトゥールン、クリーモフ、仏国のSNECMAぐらいである。ロシアはこの航空機エンジンの開発力によってSu-27フランカーを世界最高性能の戦闘機に育てたといえるだろう。

日本が開発できない強力なエンジンを備えた戦闘機がロシアはもちろんのこと、中国や北朝鮮にも配備されるようになったのだから、これは相当な脅威である。
昔の、
「敵国は制空権を奪取できないから日本への上陸は無理」の理論が根底から覆ってしまう事態である。

でも、こんな理論を根付かせてしまうF-15戦闘機の圧倒的な力がどれほどのものか、今更ながら痛感する。これを一度手にした者(国:米国、日本、イスラエル)がどんなに高価でも同じような戦闘機を欲しがるのだろう。

米国がF-22を開発始めたのは冷戦期だが、冷戦が終わっても、F-22ラプターの圧倒的な能力にこだわった。
日本もイスラエルも、かつてのF-15と同じようにF-22のお裾分けを貰おう(実際には相手の言い値で買う)としたのに、F-22より高性能な戦闘機を作る余力のない米国はF-22の輸出を禁止した。
これは航空自衛隊にとっては本当に痛手だっただろう。将官のほとんどが米国の主力戦闘機を日本で使うことに慣れっこだったから。

F-22を売ってもらえなくなった日本は仕方なしにF-35に乗り換えるが、F-22という最高の戦闘機を見ているのでF-35を見ても何だか物足りない。
F-35はF-22が高価すぎるから、エンジンを単発にして安くて小型の戦闘機という名目で開発したものだから、「どんなに高くても最高のを」と思っている日本の要望にはそもそも合わない。
さらに、日米同盟楽観主義者ばかりの日本外交軍事家はまさかアメリカが売ってくれないなんて予想していないから、米国が「F-35を西側共同開発しようぜ」という提案を無視したために、F-35の開発に参加できないばかりか、仕様要求も出来ないし、生産分担も各国で決まった後である。イギリスやイスラエルが自分仕様のカスタマイズしたものを、自分好みじゃなくても購入するしかないのだ。
まあ、こんなことは中東の産油国には当たり前のことであるが。

◆自国開発決定前の提案
F-22がダメになったあと、F-35を導入し、今度こそと米欧に見積を取ってみたが、どれもさっぱりな内容だった。

〇EU(イギリス)タイフーン戦闘機 個人的には大好きだが、先進の戦闘機ではない。

〇米国ボーイング F-15改良 まだ使うのかよ。韓国やイスラエルでは使用中であるが。

F15Iラーム
F15Iラーム イスラエルがF-15をストライクイーグル仕様にアップグレードした戦闘機

〇米国ロッキード F-22&F-35 ミックス、さすがに田中角栄時代からの政商、日本の欲望を良くとらえている。しかし技術を渡さないF-22のミックスに出来そうにないので却下。

実際、世界を見渡してもこの3種くらいしかまともな開発計画がないので、いかに今戦闘機を購入するのが難しいかわかる。
こんな提案しかないのであれば、独自に開発しようぜと考えるのは当然で、正解である。

◆F-35のダメなところ

F-35
F-35

それでもF-35はF-22に次ぐ性能のステルス戦闘機で、防空網が機能している戦場に侵入して攻撃する能力を持つ。ロシア、中国には未だ完全なステルス性能(防空レーダー網に侵入できる)を持った戦闘機はいないのだから、これでも良さそうなものだが、一体どこがダメなのだろう。

〇エンジンが単発
通常、長く海上を飛行する戦闘機は双発が好まれる。エンジン故障の際に立ち寄れる空港がないからだ。今は、単発のエンジンでもほとんど停止しないからと言われるが、やはり二つあれば安心。

〇搭載能力
日本の戦闘機の主任務は海を越えて侵入する敵航空機の排除である。海の上に長くとどまり、あちこちミサイルを撃ちまくるには出来るだけたくさんのミサイルを搭載しておく必要がある。
F-35はステルス状態では空対空ミサイルを4発搭載可能、機銃なし
F-22は専用ミサイル(小型化)なら8発、通常タイプで6発、機銃あり
F-15はステルスではないが8発。機銃あり
ミサイルが沢山要るというのは、相手の戦闘機が沢山いるからではなく、巡航ミサイルやヘリコプターなど自機にとって低脅威の目標に沢山対処するためだ。相手がフランカー(Su-27)なら1機を撃墜できれば十分だ。

〇航続距離
フェリー航行で
F-35 2000kmぐらい
F-22 3000kmぐらい
F-15 4000kmぐらい
日本の防空では、出来るだけ遠方の海上で迎え撃つことが望ましい。航空機用対地ミサイルが数百キロの射程を持つので、出来れば1000kmぐらい遠方の海上で迎撃したい。哨戒地点での滞空と帰りの燃料を考えると、最低でも3000km程度の航続距離は欲しい。離陸時の空中給油1回で空対空ミサイルのみの兵装ならF-22で何とかこなせるレベルだ。F-35だと2回の給油でも哨戒地点で1時間滞空出来るか微妙だ。
ちなみに1000kmという距離は佐世保から尖閣諸島くらいで、沖縄の那覇空港から尖閣諸島の往復が約1000kmである。

〇費用

F-35A
F-35A 通常滑走路離発着タイプ

F-35B_ski-jump
F-35B VTOLタイプ 発着試験用スキージャンプ台から離陸するF-35B
リフトファンを有し、主に短距離離陸垂直着陸で運用される

F-35C CTOLタイプ
F-35C CTOLタイプ 空母飛行甲板より発艦するF-35C
一番開発が遅れているタイプ。空母からの発艦の場合もリフトファンを併用している。

F-22より安くするために開発されたはずだが、F-35は1つのベースとなる機体で、通常の空港で運用するタイプと米国の空母に使うCTOL(カタパルト離陸通常着陸)機と垂直離着陸が可能なVTOL機をすべて賄ってしまおうとする欲張りな設計のために、通常のタイプを購入する顧客にとっては、開発の難しい海軍・海兵隊仕様の開発コストは全くの無駄になる。各国の要望を反映させる手法も開発費を高騰させていて、最近の米国国防総省のコメントによると約4兆円かかるという。一方F-22は、米国GAO(会計検査院)の報告によると、生産完了までに1.7兆円から1.8兆円と言われている。
マルチロールの3タイプの機種を4兆円で開発する方が1任務選任の1.8兆円より安いかもしれないが、日本にとっては無駄な開発費用だと言える。ちなみに開発費用は機体単価に反映する。
機体費用は、F-35が日本の購入価格で1機150億円。F-22は輸出実績がないが、米国の調達価格が150億円程度なので、日本が購入した場合は200億円以上になったと思われる。たとえ25%割高でも、仮想敵国に対する抑止効果は60機のF-35より45機のF-22の方が高いような気がする。

〇まだ開発中
これは自分が開発に関わっていないからというのが大きいだろう。大規模で複雑な開発を出来るだけ低リスクに進めるために、F-35はスパイラル開発の手法で開発を進めている。最初に実証済みの技術で基本的な機能を提供し、その後、それを土台に技術改良を加えていく手法である。そのため、日本が購入したF-35も実はまだうたい文句通りの性能は有していない。
F-35は制空戦闘から対艦攻撃まで可能な戦闘機であるが、現在のところ対空戦闘メインの機能設定になっているだろう。今後、国産兵器へのマッチングやネットワーク戦闘機能を順次アップデートして、SEAD(敵防空網攻撃)や長距離巡航ミサイル攻撃能力、共同交戦能力による迎撃などの機能を追加していくことになる。

夢を持ち楽観的に考えるとそれで良いが、実際はその機能ごと新たな費用が発生し、パイロットの訓練にも時間がかかる。F-2でのスクランブル任務と対地攻撃任務を兼務するパイロットの訓練ですら大変だと文句を言っている航空自衛隊幹部がいるのだから、F-35の全機能を発揮させるには、今以上の訓練時間費用がかかるようになるだろう。

〇良いところ
将来、VTOL機による空母運用する際に、艦載機の候補に出来る。海上自衛隊の連中はこれだ。

他にもいくつかの理由はあるだろうが、総じて、対空戦闘に特化した防空用戦闘機が欲しいのに、マルチロールのマルチタイプに命を懸けているF-35では帯に短し襷に長しの状態なのが最大の問題と言えよう。

◆失敗しかけのMRJ

三菱MRJ
三菱MRJ 開発が難航しているMRJ
三菱は社運をかけて実用化を目指している。MRJ自体の開発が完了しても商業的な成功がなければ大きな損失になるだろう。

三菱の民間機開発計画MRJが失敗寸前なのも国産機開発を選んだ理由かもしれない。
まあ、これについてはこのくらいで。

◆自国開発の実現性
前に戦闘機の自国開発を主張した時には、これを国策レベルで推進してでも開発すべしと書いたが、実際に、米国に頼らず、日本が主体的に戦闘機を開発し、それが世界トップレベル、つまりF-22に匹敵するには、日本政府、自衛隊、産業界が全力で取り組まなくてはならない。

〇米国の介入を排除する政府の外交力

F-2での痛い思い出を忘れないで、米国の介入を回避するのは日本政府の責任である。
現在、沖縄の基地問題で動きの取りにくい政府だが、今後北朝鮮や中国と難しい交渉をしなければならない米国に貸を作っておきたいところだ。そのうえで戦闘機開発については協力を得て、要らぬ干渉を排除しなければならない。
今のドランプと安倍の関係では、

シンゾー、アメリカの兵器を買え
シンゾー、アメリカの兵器を買え
「国産なんかやめてアメリカから買え」という主張に、

’安倍首相
Ž’安倍首相 トランプ大統領との信頼関係は本当に機能するのか
「分かりました、でも自動車関税発動しないでね」なんて答えて、亡国の首相になりそうな気配だ。

〇自衛隊

防衛省
防衛省 自衛隊の組織の改編は何度も行っているものの

技術や情報を大切にする組織にならなければならない。組織の維持でなく、目的の遂行に専念できる人員と組織に変貌する必要がある。
防衛省の開発部門は独立した組織に改編されている。目的に合わせ一貫した装備開発を行うためだが、まだまだ中身が間に合っていない。研究開発に関しては防衛省だけでは絶対に無理なので、民間企業や他国との協力も広範に行い、人員も途中入社や民間研究所への委託なども積極的に行うべきだろう。

〇技術的にネックになりそうなポイント
リスクポイントの最大はエンジンだ。ステルス技術も重要だが、航空機はステルス性がなくても飛行可能だが、エンジンが無ければ飛べない。
そしてエンジン開発には多様な技術的経験の蓄積が必要で、コンピュータシミュレーションでは解析できない部分が多いからだ。これ迄、独自開発したジェットエンジンは数えるほどしかない。
できれば、米国エンジン企業から提供を受けるべきだが、F-22の輸出を許可しない以上、それに使われているエンジンもライセンスは渡さないだろう。出来るだけ高性能なエンジン開発技術を手に入れ、それを交渉材料に共同開発できるように進めなければならない。

Pratt&Whitney F119
Pratt&Whitney F119 F-22のエンジン、スーパークルーズ能力を発揮するためにほぼジェットエンジンに近いターボファンエンジン

エンジンの開発生産はIHIが手掛けることになるだろう。すでに米国製航空機エンジンF-110などのライセンス生産の経験もあり、哨戒機P1用のF-7エンジンは独自に開発し生産している。今年(平成30年:2018年の6月)には、戦闘機用の高出力小型エンジンの供与をうけ、現在新エンジンの性能をテストしている。戦闘通常推力で音速を超える速力を得るには技術的なレベルアップが必要であるが、今のところIHIに任せるしかないだろう。F-35用エンジンF-135からどれだけ学べるかが肝になるだろう。

ステルス技術についてはコストと効果を良く検討しなければならない。機体の運動性を捨てればステルス能力をもつ機体は開発できると思う。エンジンの推力偏向と出力のリアルタイムの調節機能やコンピュータ支援の機体維持のソフトウェアが開発できれば、あとはコンピュータシミュレーションの問題だ。F-22の半分程度(RCAが2倍)の性能が確保できれば良いと思う。

Predetor
Predetor プレデターのような無人航空機は今後も発達していくだろう。
小型でステルス性の高い、命知らずのドローンはステルス戦闘機の地位を脅かすだろう。
ステルス技術にそれほど重きを置かないのは、今後はネットワーク交戦能力や無人機の能力が向上して来るからだ。
そもそもステルス技術は、敵の防空レーダー網を回避して攻撃するために開発された技術。しかし、ドローンの能力がさらに向上していくと、防空網の整った敵に最初に突入していくのはドローンになるだろう。小型無人のドローンは有人戦闘機よりはるかにステルス性が高いので、F-22とて、相手ドローンを探知できないのに、相手からは見えるという状態がありうる。
F-15は配備されてから40年近く日本の空を守ってきた。今回の開発機も、実用化された場合何十年間も使用されることだろう。そのような長期間の戦場を予測するのは簡単ではない。近い将来、ステルス技術が万能でなくなる日があることを認識しておく必要がある。

◆いろんな要素を考慮して、戦闘機の自国開発が成功するか予測してみると、
50%程度だろう。
技術的には冒険的要素が多いが、F-22の入手の見込みがなく、次の制空戦闘機が実用化される前にF-15は飛行できなくなるので、その、切羽詰まった状況は日本が戦闘機を開発するしかない状況に追い込むことになる。軍事分野においても、それなりに形にしていくは得意なので、ステルス性能を過度に追い求めなければ何とか実現できるのではないかと推測している。

J-20_at_Airshow_China_2016
J-20_at_Airshow_China_2016 J-20の性能は未知数であるが、この航空機を飛行させる経験は今後の開発に大きく寄与するだろう。

但し、中国も同様に新型機を開発している点に注意して欲しい。形にするという点では中国の方が先んじている。J-20はすでに飛行しているので、今後これを改良する形で完成度と実用性を高めていくであろう。
新型戦闘機の成功を左右するのは、技術的要素に加え、中国との開発競争で、いかに遅れずについていくかではないだろうか。「中国に遅れずついていく」と書けば、一部の無見識な愛国者気取りの連中は傷つくであろうが、軍事兵器開発の分野では、すでに日本は中国の後塵を拝している。日本は米同盟や政治的な配慮からごく限られた分野のみ兵器開発を行ってきたので、技術力の割に経験値が少ない。特に実戦でのフィードバックが皆無なので、欠陥を改良することがなく、失敗を認める必要がない。全く実用性のない兵器を配備していても、誰も批判しないし反省もしない。兵器開発に無反省な点が、中国に対抗する時に弱点となるだろう。

◆後継新戦闘機を想像してみる
三菱のMRJは2003年から15年間開発を続けているが、まだ生産できていない。新型戦闘機も来年から開発しても、F-2の退役が予想される2030年まで11年しかないので、2030年の実用化は難しいだろう。北朝鮮が和平へ向かい、米国が中国と軍事的対立する可能性も低いので、軍事技術の日本への転出の制限は続くと予想できるので、戦闘機開発が躓いたときに米国に助けを求めることはできない。日本と共同開発を行ってくれる有力な国(実質イギリスかフランスのみ)は現れないので、スムーズに進まないと考えるのが妥当だ。
開発期間を15年として、エンジンは2025年には実用化させる。
共同交戦能力などのすり合わせを2030年ころに終わらせ、ソフトウェアを完成させる。

戦闘機の完成形はF-22そっくりになることは請け負う。こういうところは仕様決定者である自衛隊幹部に想像力が欠如しているので、これ以外の発想は生まれない。日本の技術の特色を生かして開発するにはまだ経験値が少ないので、日本版ラプターになれば十分である。
スーパークルーズ能力はオミットされるかもしれない。エンジンは単発で強力なエンジンを開発するより、双発で推力を稼ぐ方が良いだろう。

ステルス性はエンジン推力の不足から、それほどの運動性を求められないはずなので、F-22並みのステルス性は確保できる。エンジンの空気取り入れ口は主翼下部、胴体左右に配置、双尾翼、主翼は複合素材で前縁角度をそろえたデルタ翼、胴体も複合素材製でステルスに配慮した形状に成形され、内部ウェポンベイにAAMを6発搭載、専用の小型ミサイルを使えば8発。対地攻撃兵器としては対艦ミサイルを2発搭載だろう。F-2の後継機なので。
共同交戦能力を持ち、F-35やイージス艦とデータを共有できる、E-2DやE-767とも共有できるようになるだろう。これはイージスシステムに代わる防空システムなので、自動警戒管制システム(JADGE:Japan Aerospace Defense Ground Environment、略称:ジャッジ・システム)の代替えシステムにも加えられる要素になるであろう。
ヘルメットマウントディスプレイなどは今のSONYの技術などを見ても実現可能だ。
新型のフェーズドアレイAESAレーダーを搭載し、新世代のECM装置を備えることだろう。
航続距離は3000km程度、武装状態での戦闘行動半径が1000km程度だろうか。

2030年代には無人機との連携機能も必要とされているかもしれない。

◆最終的には自国開発が正解
戦闘機自国開発のハードルは高いが、全力で取り組めば乗り越えられない壁ではない。
今後、日本が安全保障を主体的にコントロール出来るか、1国での生存は難しいとあきらめるかの試金石になる。
日本の防衛で一番重要なのは、制空権を維持し、敵航空機を近づけないことなのだ。相手に制空権がなければ、小さな島にさえ上陸できない。逆に、優秀な戦闘機と対空ミサイル網と潜水艦があれば、日本のどこであっても簡単に上陸できない。
だから本来あるべき各隊の予算配分は 空自:海自:陸自=6:5:4ではないかと思う。実際には3隊均等に振り分けているが、無駄な使い方だ。
他国との協調のなかで生き延びることも悪いことではない。スイスはかつて兵器の自国生産にこだわっていたが、今は軍事力だけで他国の干渉を排除しようと思っていない。
また、北朝鮮のように核兵器を開発するよりは政治的リスクは小さく、成功した場合に及ぼす利益は大きい。
ここらで、日本を再び技術立国として羽ばたかせるにはこれくらいの挑戦は必要だ。

CEC共同交戦能力のイメージ
CEC共同交戦能力のイメージ

ステルス戦闘機を契機に、ネットワーク・共同交戦能力、戦闘ドローンなどを開発し、最終的に原子力潜水艦(賛否あり)を開発できれば21世紀中は安心だろう。
開発が成功するかどうかは、まだ確証を持てないが、失敗するとしても挑戦すべきだ。

2018/10/05
こんな記事を書いていたら、ちょうど新聞で防衛省が独自(国産)の共同交戦システムを開発する方針だと発表があった。
ステルス戦闘機やイージス艦、早期警戒機などのハードウェアで外堀を埋めて、「それらを活用するためです」と予算要求しなければならない事情が透けて見える。どの業界でもソフトウェアのコストは偉いさんに認められにくい。昔、大手家電メーカー向けの業務システム開発の見積時に、システム要件にない巨大なサーバを見積もりに含めるように言われたことがある。そのシステムは既存のパソコンでも動作可能なものであったが、ソフトウェアに1億近くかかるのに実際に形のあるものが何も納入されなかったら経営陣は納得しない、ソフトウェア開発の10分の1の値段で巨大なラックサーバが買えるならその方が見栄えが良いと、、納得した。

CECのソフトウェア開発なども同じだ。
米軍はすでに20年以上も前から3軍共通の通信プロトコルを開発してきた。規格が複数あり、当時すぐには実用化できなかったが、情報テクノロジーの発達を見越して、リアルタイムの情報交換が出来る規格も用意していた。今はそれを使ってCECをほぼ全軍に付与している。
日本もようやくソフト面の技術が軍事的にいかに重要かを理解し始めている。近い将来、CECを持たない軍隊は、持っている軍隊に絶対に勝てなくなる。CECはあくまで軍事的情報技術の1機能でしかないが、これを発揮するには統合された先進的情報通信システムが必要なので、明確な指標となる。
自衛隊の能力を決定づける技術になるだろう。

F-15 Advanced
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現代の偵察機

無人偵察機と広域早期警戒機の時代

航空自衛隊E-767
浜松基地へ帰投するE-767早期警戒機

近く日本も無人偵察機RQ-8グローバルホークを採用するらしい(2015年時点 計画中)。

航空偵察の世界は、軍事力の情報化に伴って大激変している。

無人偵察の発達によって、有人の航空偵察機は減ってきている。特に有人の戦術偵察機はほとんどなくなってきている。

 

■戦術偵察とは

RF-4
戦術偵察機RF-4ファントム

軍用機は初めに偵察機として使用された。第一次大戦のことで、塹壕戦での相手の兵士、火砲、補給線などの位置を確かめて作戦に用いるためだった。軍用機の初めから使われたこの偵察が戦術偵察である。現時点での敵軍の配置や行動を探り、作戦に役立てる偵察である。第二次大戦時に大規模な航空爆撃が可能になると、爆撃目標の選定や爆撃後の効果判定にも偵察機が使用されるようになり、このような偵察も戦術偵察の範疇である。

 

■戦略偵察とは

U-2
ロッキードU-2偵察機

第二次大戦後、冷戦期に入ると、核兵器と弾道ミサイルが登場し、敵国の国力そのものが攻撃対象となると、兵力の具体的な配備以外に、産業資産、交通網、指揮通信網、発電所、石油精製施設を調べることが必要になった。また、相手国の核兵器関連施設、弾道ミサイル基地なども偵察する必要があった。これらは相手国の奥深くにあり、当然、相手領土内にある。実際には戦争状態にない米ソ両国は、相手国を偵察するために高高度を高速で飛行する偵察機を開発した。U-2やSR-71、Mig-25などだ
MIG25
ソ連は高速のMIG-25を偵察機に使用した

これらを戦略偵察機と呼び、主に核攻撃目標に関する偵察を行うものを戦略偵察と分類した。

 

■SR-71から偵察衛星へ

戦略偵察はその後、人工衛星によって行われるようになり、戦略偵察機は次第に使われなくなった。

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キーホール偵察衛星

これは、U-2の撃墜などに見られるように、対空ミサイルの発達により敵国領内をどんなに高く速く飛んでも撃墜される可能性が高くなってきたことが直接のきっかけだ。航空機による戦略偵察は米国が主に行っていた。ロッキードのケリー・ジョンソン率いるスカンクワークはこのための専用機を開発し、その最終形態がSR-71ブラックバードであった。ケリー・ジョンソンはこの機体は決して撃墜されないと豪語し、事実、ソ連領内など敵性国の領土内を何度も飛行しながら1機も撃墜されていない。
Lockheed_SR-71_Blackbird
ロッキードSR-71世界最速の戦略偵察機

高度25000m以上を速度3000km/h以上で飛行するので、速度M4、射程30km程度のSA-2ガイドライン対空ミサイルなら物理的な撃墜可能時間が1分程度しかなく、進路をあらかじめ予測して発射しないと接近することすらできない。おそらく、パトリオットやS-300のような弾道弾迎撃性能をもつミサイルでなければ迎撃不能であった。

弾幕のようにミサイルを発射しておけば撃墜可能だが、平時にこの方法を用いることは難しい。また、偵察機は半径50km以上を偵察可能で、領空の端をかするように飛ぶため、実際に領空内に入っているのは数分間だけだ。この短い時間に、米国の航空機を攻撃する政治判断して命令し、ミサイルを発射するのは難しかった。

このように、SR-71は戦略偵察機として十分な性能を誇っていたが、宇宙飛行にも似たミッションの困難さや通常の航空機と全く異なるメンテナンスが必要なことがマイナス要因となり、偵察衛星に搭載するセンサーの発達によって、次第に偵察衛星に取って代わられることになった。

しかし、米国は、この戦略偵察機を完全に偵察衛星に置き換えることは出来なかった。偵察衛星は低高度の太陽同期軌道を取り、地球上の全地点を通過するようになっているが、その周期は一定で、次に衛星が上空に来る時間は予測可能だ。もし移動式の弾道ミサイルならその時間だけ隠しておけば移動を感知されない。また、常時地上を監視するには何機もの衛星を飛ばしておくことが必要で、米国でも高精度の情報を常時得ることは出来なかった。
すなわち、非常時に思いがけもしない場所を調べる必要が生じたときのためにSR-71やU-2が必要だったのだ。

 

■無人偵察機の登場

実際にU-2やSR-71の運用にとどめを刺したのは偵察衛星でなく、無人偵察機だった。

RQ-4GlobalHawk
RQ-4 GlobalHawk グローバルホーク

偵察用のセンサー、特に赤外線カメラと合成開口レーダーの発達によって、昼夜、天候を問わず上空から地上を監視できるようになったことは偵察衛星の性能を高めた。衛星高度から小さな車まで識別できるようになった。これだけの性能を持つと、逆に、目標の行動を監視することを求めるようになり、移動や時間的な変化を監視するのに偵察衛星の時間的な制約が大きなネックとなった。

一方、U-2やSR-71の設計に使われたステルス技術の発達によって、航空機がレーダーに感知されにくくなると。周期的に衛星軌道をまわる衛星より航空機の方が相手に察知されにくく有利になってきた。

さらに、デジタル通信技術と飛行を制御するコンピュータ技術の発達で、無人航空機に偵察センサーを搭載し、常時目標上空を飛行して監視できるようになった。

つまり、無人偵察機は、偵察機の可用性と衛星の安定性を持っているのだ。当面、全地球的に監視するには、燃料無用で飛べる衛星が用いられるだろうが、無人偵察機は今後も利用は広がるだろう。

 

■戦術偵察機の終焉

無人偵察機では人的な損害はなく、飛行時間も長い、デジタル衛星通信により地球の反対側にいてもその情報を受け取れる。

無人偵察機は高高度を飛行し、広範囲を偵察するグローバルホークのようなタイプと、低高度を短時間飛行し、主に小さな目標の現在時の行動を偵察するMQ-1プレデターのようなタイプがある。かつての戦略偵察機と戦術偵察機のような関係だ。

MQ-1Predator
MQ-1プレデター 主に低空でTVカメラで偵察

各種の無人偵察機によって、敵国のはるか後方の核兵器開発施設から、建物裏の隠れた兵士まで偵察できるようになったために、元来、危険な低高度を敵に接近して飛行しなければならない戦術偵察機の需要は少なくなってきている。

さらに、センサー類の発達・小型化で、通常の航空機にポットタイプの偵察装備を付けるだけで偵察可能になったので、専用の有人偵察機や専用の飛行隊の必要性は減っている。ミリ波レーダーなどによってヘリコプターから瞬時に広域を偵察できるようになったことも、戦術偵察機の活躍の場を少なくしている。

しかし、無人偵察機の運用には特別の指令センターや情報解析システムが必要で、情報通信衛星網と安定したGPS衛星網が必須である。これらは軍用でなくても有用なので、全体の初期コストは莫大であるが整備されている。これは米国に独占されているので、米国以外の国は独立した偵察能力の為には今後も有人の偵察機を運用しなければならない。

 

■広域早期警戒機

湾岸戦争は正規軍同士が地上戦を行った最後の戦争だ。この戦争はまだ、冷戦時代の戦術が残り、米軍や同盟軍も情報化の度合いは小さかった。例えば、誘導爆弾の使用率は、

投下兵器数・量 誘導爆弾の使用割合
ベトナム戦争 200万トン以上(400万発) 1%未満
湾岸戦争 22万7648発 7.7%
コソボ戦争 2万3644発 29.8%
アフガン戦争 1万7459発 60.4%

※Northrop Grumman Future War

湾岸戦争では7%程度しかない、アフガン戦争では60%に達している。軍隊の情報化はこの投下誘導爆弾の使用率と同様に進化していると見ていい。誘導するためにはGPS用の座標ポイントもしくはレーザーによる目標指示が必要で、それは戦場の偵察情報によって得られるからだ。情報量が多いほど誘導爆弾の使用機会が増え、その効果は上がる。

話を戻して、情報化度合いの小さかった湾岸戦争で、実験中にもかかわらず急遽呼び出され、勝利に大きく貢献した航空機がE-8 Joint Stars(ジョイントスターズ)だ。

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E-8ジョイントスターズ 地上を広域で監視する
中古のボーイング707の胴体下部に対地監視用側方レーダーAN/APY-3を搭載している。このレーダーはドップラー・モードで使用するとイラク・サウジアラビア国境全域の地上の移動目標をできる。これによって、イラク軍が国道沿いに移動する様子が丸見えになり、道路に立ち往生するうち、次々と破壊され、道路にはイラク軍車両の残骸がえんえんと続くことになった。
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クウェート国内から撤退するイラク軍をレーダーがとらえた様子

このような機体がある場合、地上での大規模な作戦移動は意味をなさない。アンフェアと言って良いほどだ。湾岸戦争地上作戦での作戦立案をほめる人がいるが、わが方は全く偵察されず、相手方のみ動きが丸見えなのだから、誰であっても可能な作戦であった。逆に、

遭遇戦で敵の先制攻撃を受けたり、カフジ油田への奇襲を未然に察知できなかったり、用心深さに欠ける用兵だった。

それでも米軍と同盟軍が圧勝したのは、軍隊の情報化が決定的な能力差になることの実証であり、米軍が進めてきた情報革命戦略が正しかったことを証明している。

この時に実験的に使用されたE-8はその後正式採用され、改良も続き、現在では、車両の区別ができるようになり、地上偵察の重要な一員になっている。

現代では、合成開口レーダーの実用化、高性能化によって、広大な戦場全体を1機で監視できるようになり、このような機体は各国で実用化されている。E-8のような大きな機体だけでなく、スウェーデンのエリアイFSR-890のような小型の機体にも搭載可能。

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レイセオン社のSLARを搭載したサーブ機

海上哨戒機は以前から側方監視レーダーSLARを搭載していたが、海上のようなまっ平らな上の目標のみ探知可能であった。波のある荒れた海面では性能も限られていたが、レーダーと情報処理能力の向上で、今は波の高い海で潜水艦の潜望鏡を探知することも可能になっている。

海上哨戒機のSLARと地上監視用のそれは同じもので、最新の海上哨戒機は地上も監視可能である。しかし、E-8があえてJoint-Starsと統合を謳ったように、軍隊はいまだ陸軍、海軍、空軍の垣根が高く、運用・技術開発面で統合が難しく、海軍の哨戒機と、その他地上監視機を全部一緒にすることはなさそうだ。

E-8や空域を監視する早期警戒機E-3、E-767などと、リベットジョイントなどの通信監視機や海上哨戒機などを駆使することで、今や戦場は常時監視できるようになっているのだ。


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海上自衛隊P-3C


RC-135

RC-135リベットジョイント各種通信を傍受するSIGINT偵察機

さらに詳細な敵勢力地域偵察を行う無人機を導入すれば、戦場に隠れる場所はなくなるだろう。

離れてももはや隠れられない状況から、今後、ステルス性はより重要になってくる。E-8やE-3は戦争を決定づける重要目標なので、ステルス戦闘機F-22やF-35の最初の目標はこれら戦場監視機である。

 

■RQ-4 グローバルホーク

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グローバルホークの透視図

前にある大きなコクピットのようなふくらみ内には衛星との通信用アンテナがあり、偵察センサー類はすべて胴体下部に内蔵されている。

高度なセンサーや燃料を大量に搭載するために相当に大型である。

乗員が不要なので機体上面が空力的に滑らかで、エンジンの空気取り入れ口も機体上部にある。これはステルス性にも有利である。

高アスペクト比の、長い主翼を持ち、全体形はU-2を連想させる。飛行形態は似ているので、当然と言えば当然。

製造はノースロップ・グラマン社による。しかし、センサー類をはじめ、現代の兵器らしく、レイセオンなど主要軍事メーカー統合事業化している。

グローバルホークは1万メートルを超える高高度を飛行し、広域を監視するための偵察機である。自衛隊が運用するのも、北朝鮮や中国・ロシア敵国領域を監視するためと考えられる。高高度であれば、敵領海へ侵入しなくても偵察が可能。

搭載するセンサー類も合成開口レーダーを主にしている。合成開口レーダーは移動しながらレーダー波を照射することで、時間軸で情報を統合し、理論的に広大なレーダーと同じ能力を持つ。レーダーの解像度は最高度の軍事機密であるが、おそらく、1m程度の解像度を有し、自動車などを区別できると思われる。

他には赤外線カメラなどのセンサーも搭載し、弾道ミサイルの発射や核関連施設も監視する能力を持っていると思われる。

米海軍が採用している機体もあり、海上哨戒にも使用可能。当然ドップラーレーダー的な移動目標を監視する能力も有していると思われる。

近年はSIGINT、電子偵察任務にも使用され。レーダー波や通信波の傍受も行っている。

エンジンはロールスロイス製QE3007ターボファンエンジン。ペイロードは約900kg。最大離陸重量は12t。

全幅は35mもあり、戦闘機F-15の2倍もある。

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RQ-4整備中の人と比べるとその大きさがわかる
この長い主翼のおかげで航続距離は1万海里を超える。低速で巡航するので、同一地域を12時間程度監視できるのではないかと思われる。今後、無人機に空中給油能力などが付与されれば、本当に24時間自動的に滞空して、常時世界を監視できるようになるだろう。

 

■RQ-1プレデター/MQ-9リーパー

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プレデターはミサイルを搭載し攻撃もできる偵察機

グローバルホークより小型の偵察機で、戦術偵察用の機体といえる(前述したように、実際にはそのような区分はなくなった)。グローバルホークと似たような形態だが、全幅14.8m、全長8.2mとずっと小さい。

より低高度(上昇限度は7620m)で運用されるので、センサーも光学センサーが多く、赤外線TVカメラがその代表。リアルタイムで戦場の状況を伝えることが出来るので、作戦上極めて有意である。

また、訓練されていない分析官でない、部隊長や政治家でもカメラ映像は見てすぐに理解できるので、まさにリアルタイムに政治的な決断を伴った作戦が可能であり、このことから、偵察、監視、攻撃、評価とプレデターが多用途化していくことになり、それは制式名にも反映し、MQ-9と多用途を示す「M」がつき、カメラからミサイルまで装備する無人機となった。人間を殺すことが出来る、初めての自律行動可能な無人機だ。映画ターミネーターの世界はすでに到来しているのだ。

イラクでは、スティンガーを搭載したプレデターがMIG-25と交戦し撃墜された。近い将来、無人戦闘機同士の空中戦も行われるようになり、それはあらかじめプログラムした交戦アルゴリズムを使用することになるだろう。今のように、ミサイル発射に人間を介在させると反応が遅れ、完全自律で動作する相手機に負けてしまうからだ。そして、索敵、識別、攻撃までを自動的に実行する無人兵器と発展していくのだ。

プレデターに代表されるような無人機の攻撃は、対テロ戦争で唯一効果のある作戦と言って良い。これと、全世界の通信網を自律的に傍受・解析するシステムがタリバーンとアルカイダの行動を大きく制限しているのだ。

 

■無人機のコスト

無人機の費用は決して安くはない。RQ-4グローバルホークは機体のみで1機25億円、プレデターは1機5億円程度で、F-15の50~100億円、F-22の200億円などと比べると機体そのものは安い。有人機はパイロットを訓練するのに時間と費用がかかるが、一方で、無人機のパイロットや分析官にも専門の訓練が必要である。しかも、無人機の運用にはGPSシステムや衛星通信システムも必要で、運用センターも専用のものが必要だ。今のところ全体的な運用経費はどっこいどっこい。

決定的なのは、人的な損害が全くでないことだ。これにより、政治家は道義的なリスクを排除して戦争を行うことが可能になり、敵国にはより非人間的な戦争になる。今日の大衆民主主義での右傾的な傾向は、戦争が非現実化して、そのリスクを考えることがなくなってきたことが一つの要因。バクダッドががれきと化しても、兵士の損害が100人にも満たないのであれば、一般の米国人は戦争のリスクなど考えずに「戦争しろ」と叫ぶだろう。ベトナム戦争当時のように、誰もがその戦場に行かねばならず、身近な人が死ぬ危険があった時と同じように戦争を考えるはずがない。かつて、自らが死ぬ可能性があったにもかかわらず「戦争だ」と言った人々が、今は犠牲無しで戦争できるのだから。

テロによって自国民死んだり、敵国を占領したりするため、兵士を派遣する必要がなければ、米国人は、少し安いガソリンを確保するためにずっと戦争をしつづけることを許容するであろう。それを「平和、安全」と感じるだろう。まさに安全の為の戦争で、平和のための戦争だ。この、政治家の嘘の代表のような言葉が、実現可能になってしまった。

 

■最後に

考察の最後に、無人機から攻撃を受ける側の立場に立ってみよう。「自分たちの本当の痛みを分からせるために米国の市民を目標にテロを行う」が分かるのではないだろうか。音も姿も見えない無人機から攻撃を受けたとき、復讐はどこへ向かうだろうか。そこに戦う敵兵士がなければ、米国の市民を目標に選ぶことは、彼らにとって普通のことになるだろう。

非対称戦は、攻撃においてのみでなく、反撃の形も非対称にならざる得ないのだ。逆に考えれば、相手国民を戦争目標にしないなら、それは軍隊による戦争でなく、警察力とテロ組織との戦いなのだ。

実際には面倒でややこしい、複雑な行政統治の問題なのに、「敵国」を作り上げることで強大すぎる軍事力を投入してしまう米国の愚かさよ。これはもはや軍隊の仕事ではないのに。

戦争をコンピュータ任せにした時にどんな危険が訪れるか、たくさんのSF小説が予言している。戦争での殺戮に、何の犠牲を払わずに済むはずがない。

 

中国のJ-20はF-22ラプターを超えるか?(ロシアのスホーイT-50も)

超えない。

中国のJ-20はせいぜい4.5世代の機体で、ラプターに対抗できるようなものではない。

ちなみにF-22ラプターは各国の最新鋭機との想定比較で、1:20~1:4程度のキルレシオを有しており、

単機同士の比較では並ぶものは無い。

J-20だが、公開されている情報は少なく、断定できるほどの情報は無いが、現在の常識的な判断としてある程度の解析は可能だ。

【J-20の性能解析】

●ステルス性

前方からのステルス性はある程度考慮していると思われる。

翼の角度や垂直尾翼(斜めだが)の角度、空気取り入れ口などにステルス対策があるようだ。

しかし、ステルス性には悪影響のあるカナードや腹びれのベントラルフィンなどがある点、補助翼などの動作機構の成型などが大きく粗い点などから、到底F-22には及ばないと推定できる。

また、後方などからのステルス性はもっと限定的で、その大きさ(F-22より大きくF-111やMig-31並み)と合わせ、第5世代のステルス性を持っているとは言えない。

ステルス性能を表すRCS(Radar cross section, レーダー反射断面積)はレーダーの探知距離に対して4乗根に比例するので、単純に探知距離を半分にしようとするとRCSはその4乗の16分の1にしなければならない。

日本の次期戦闘機の候補にもなっているユーロファイター・タイフーンはRCSが1㎡と言われ、F-15Eなどの15㎡に対してかなり優れているが、それでも探知距離は半分程度にしかならない。

逆にF-22は0.001㎡以下と言われている。

即ち、F-22相当のステルス性は、翼の形状、配置、エンジンノズル、表面のコーティングなど、全ての点を犠牲にせず追求しなければ実現できない。

J-20がそのようにしているとは全く言えない。

●エンジン

機体の大きさに比べ、エンジンが小さすぎる。

また、中国のこれまでの技術的蓄積から言って、超音速巡航能力をもつエンジンを独自に開発することは、現時点で不可能だろう。

ノズルには推力偏向装置なども無いようであり、スピード・機動性のどちらも、F-22に及ばないだろう。

エンジンの開発は、日本のように何十年も最新のエンジンをライセンス生産してきている国でも相当に難しく、時間と経費がかかる。

合衆国とイギリスとロシアの限られた企業でしか生産できないエンジンを、実績も少ない中国が開発できる可能性は少ない。

実際的には、ロシアから購入することになるだろう。

●電子装備

見えないので、完全な推測だが、フェーズドアレイレーダーの技術力も低いので、AESAレーダーを装備している可能性は少ない。

もっと大型で搭載しやすい艦船のレーダーにおいても、ようやくパッシブ式フェーズドアレイレーダーを装備し始めたところなので、今後もしばらくは難しいだろう。

ちなみに、現在の日本のレーダー技術は米国に次ぐもので、戦闘機用AESAレーダー(F-2)の実用も世界で最も早かった。艦船でも早くに実用レベルの多機能アクティブ・フェーズドアレイレーダーを有していた。

●共同交戦能力

これが一番難しいところだと思う。

中国は未だ早期警戒機の配備が少なく、自国開発出来ていない。

また、全軍の改革を進めているが、長年にわたり遅滞した巨大な組織を改革するのは難しいだろう。時間がかかる。

個々の戦闘機や戦車の技術水準を高めることは、力技で何とか出来るだろうが、全軍を一定の水準に上げるのは、これからも時間がかかると思われる。

共同交戦能力には軍隊内の情報の運用などの改革も必要で、人員全てが一定の情報スキルが必要だ。

それには、兵員の質を高めることが必要だが、軍が政治的な地位や経済的な利益に結びついている現状、国内の治安維持の為に何十万もの兵力を必要とする点などから、いくら経済規模が拡大しても、米国や西ヨーロッパの軍隊のような情報能力の高い軍隊に進化するにはかなりの時間と努力が必要だろう。

■結論

J-20の実力は良くて4.5世代機レベルだろう。もちろん技術蓄積のための開発機というレベルなので、現時点の性能で将来の脅威度を図ることは出来ないが、当面、これらがF-22の脅威になることは無いだろう。

また、日本の防空に対しても、まだ、直接の脅威にはなっていない。

対空防空のJADGEシステムや早期警戒機で探知できないような戦闘機では無いということだ。

スホーイT-50

別件 スホーイT-50

これまた情報が少ないが、ロシアはこれまでの開発経緯があるので少し推測しやすい。

●ステルス性

は、以前より改良されている。ミグ1.44のような変な方向ではなく、F-22などを良く勉強している。

しかし、表面のコーティングや細部の処理などはまだまだ十分でなく、このレベルでは、まだ、本格的なステルス性の開発も出来ないと思われる。

細部の仕上がりなどが悪いと、全体の角度の統一などを行っていても、その一部がレーダーを反射してしまい、実測値の比較などは意味をなさないからだ。

表面のコーティングや細部の仕上がりは、全体の形状の設計と同レベルで行わないと意味が無いのだ。

この点で、T-50もまだまだである。

●電子装備

AESAレーダーは開発途上にあり、しばらくはまだ難しい。

●エンジン

は相当に実力を持っていると思われる。

推力偏向などの技術も蓄積があり、これまでの戦闘機の性能からもF-22に匹敵するスピードや機動性を持っているだろう。

但し、第5世代機として、最重要の性能ではない。

■結論

こちらも、しばらくは脅威にならない。

全体において、F-22は無敵だし、日本の防空も問題なさそうだが、中国のJ-20とロシアのT-50は別々に考えるべきではないだろう。

両国が本気でF-22の対抗馬を考えるなら、共同での開発、お互いを補足するような開発になると思われる。

ロシアや中国が国内の紛争や民族問題を解決して、軍隊が近代的になった時に、本当のF-22のライバルが現れるだろう

※参考図書
値段は高いが、お遊びでない本格的な読み物としては満足。
http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=000000&IS2=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=shirosakurai-22&o=9&p=8&l=as4&m=amazon&f=ifr&ref=ss_til&asins=B004VS87BG

自衛隊の次期戦闘機FXは国内開発せよ

本当はこれが欲しい

MicrosoftのLiveSpaceが勝手にWordPressになってしまってから、初投稿。
機能は激減。
昨今、珍しく話題の自衛隊の次期戦闘機FXの選定問題ですが。
期待に反することなく(?)、混迷しています。

もともと欲しい機種のF-22ラプターを、米国が売ってくれないというのが一番の原因。
日本はこれまで、国の防衛戦略として、
日米同盟
周辺制海権の確保
を最重要課題としてきた。

これは正しい戦略である。
日本は島国なので、敵国は必ず海を渡って侵攻上陸しなければなりません。

現在、敵国に直接上陸して侵攻占領する能力を持っているのは米軍だけなので、まずはその米国と仲良くしておくのは正解だ。

次に、周辺の小島への上陸など、小規模な侵略も含めて考えると、中国などもある程度の可能性がありますが、
その場合でも、敵国はその攻撃した島周辺と自国との補給路を安定的に確保しなければなりません。

即ち、これが制海権の確保です。

補給路の維持は、これまでの戦争でも自明なように、非常に困難です。
太平洋戦争でも、日本軍はまだ戦力に余裕のあった戦争初期から戦域との補給路確保に失敗し、それが敗戦の大きな原因になっています。
モンゴル帝国の日本侵攻や豊臣秀吉による朝鮮半島への侵攻を見ても良く分かります。

補給路は、常に攻撃側にとっての弱点であり、これを安定して確保するには敵の何倍もの戦力を必要とします。
日本にとってはこれは非常に有利な点で、侵略国の最も脆弱な補給路を脅かすだけの戦力があれば、相手国は侵略することが出来なくなります。
この戦力とは、潜水艦と戦闘機です。
(潜水艦の戦略価値については、長くなるので説明しません。)

戦闘機は、侵略国の補給路となる、日本の周辺海域の制空権を守るのに必要です。

日本の国土のみ守るのであれば、陸上基地から発進する戦闘機で十分な航続距離があるので、空母などは不要です。
また、現在でも海上艦船より戦闘機の方が有利なので、相手国艦船も、日本の制空権下で行動するのは不可能です。

これは、領土の外れにある島の防衛でも同じことです。
陸上部隊を張り付ける算段などをしているようですが、実際、島を防衛するのに兵力を張り付けるのは愚策です(アピールにはなる)。
古今より、防衛において兵力は分散せず、機動性を保って用いるのが正しい戦略なので、島を防衛するにも、戦闘機が一番効果的なのです。
このように、日本の防衛にとっては、戦闘機が非常に重要です。

そして、現在の戦闘機は、各種軍事兵器のなかでも最もハイテク化され、その技術レベルの差が顕著に現れます。
世代の違う戦闘機では、何十倍の数があっても太刀打ち出来ないということです。

これまで、日本は周辺の仮想敵国(ソ連や韓国や中国)より高性能な戦闘機をより多く配備してきたので、国土の防衛体制は盤石でした。
政治家が方便で言うように、単に、日米同盟のみで確保された平和ではなかったのです。
また、自衛隊もそれなりに正しい戦略を取ってきたと思います。
(軍事力だけで確保された平和でもありませんが)

しかし、
現在主力のF-15イーグル戦闘機の老朽化、陳腐化を前に、次期戦闘機の選定が混乱しているのです。

これは軍事戦略上、とても大きな危機と言えるでしょう。

当面の仮想敵国の中国やロシアや韓国では第4世代の戦闘機が充足し、そろそろ第5世代(ステルス戦闘機)を配備しようとしています。
これに対するに真正の第5世代戦闘機F-22ラプターがあれば完璧ですが、それが無いならどうすれば良いか?

現在、米国のF-18、F-35、F-15、ヨーロッパのユーロファイター・タイフーンで悩んでいますが、
どれも、
周辺国より「圧倒的に高性能」な戦闘機では無い。

F-18、F-15より良いの?
開発の遅れているF35
購入機の中では一番のタイフーン

F-35以外、ステルス能力は申し訳程度で、米国お勧めのF-35も開発は遅れ気味で、
もし開発が完了しても、共同開発(国際共同開発で十数カ国が開発や資金計画に参加)に参加していない日本への売り渡し条件は厳しくなると思います。
だったらどうするか?

「自国で開発」です。これが正解。

元気で傲慢だったころの日本なら、「自国で開発」と言ったと思うのですが。。

かつてF-2開発で完全自国開発を出来なかったことを悔しく思うなら、今こそ国内開発すればいいじゃないですか!

コストを無視して戦車を国内開発するのも、「相手国の恣意によらず安定的に供給するため」なんだから、今こそ、日本の軍産複合体の意地を見せてくれよ。
いつも悪者呼ばわりされている、国と、それに癒着したメーカーは今こそ立ち上がるべきです。
開発コストなど無視して、失敗を恐れずに開発に挑戦すべきです。

もし、失敗しても、その間に蓄えた技術的経験は必ず防衛に有用です。
それに、F-2の改造で進めるなら結構実現性も高いでしょう。

出来れば、F-2改をストップギャップにして、その後本格的なステルス戦闘機を開発するのが良いでしょう。

F-2はブレンドウィングで構造に複合材を多用(今では普通です)しているので、ステルス性を上げる改良も可能でしょう。
AESAレーダーも装備済みなので、これは改良型で良い。
エンジンの開発は大変ですので、これは既存の流通している品物でなんとかしましょう。出力的には現存のもので十分です。
ミサイルなどの兵装・電子戦装備はすでに国内開発済みです。
ステルス設計を含めたソフトの開発が一番厄介ですが、これこそ、これからの技術開発では必須かつ普遍的に利用できるものです。
よってF-2改は可能です。

F-2改で流れを作り、そのまま次期戦闘機開発へ進めるのです。
これを、日本の将来につなぐ壮大なプロジェクトとして位置付けるのです。
現在、米国の軍事技術の独占ぶりに、「不可能」と言う人も多いでしょうが、一見「不可能」に見えることこそ挑戦すべきだし、
挑戦もせず、努力もせずに他の国より強くなることこそ「不可能」です。

中国が、一人で米国に挑戦しつづける努力を脅威に感じるなら、自らもそれを実践し、相手より頑張るべきでしょう。
それに、開発に本気だと分かれば、米国も「F-22を売るから開発は止めてくれ」と言ってきます。F-2の時もそうだったでしょう。

絶対国内開発です。イスラエルみたいに米国から設計図を盗んでも開発すべきです。
ちなみに、国内開発せずによそから購入するならタイフーンが最も良い選択ですが、米国に弱い政治家と自衛隊なので、難しいかな。

【空軍-USA-爆撃機-現用】B-2ステルス爆撃機の有用性

B-2ステルス爆撃機の有用性

改めて考えると、爆撃機というジャンルの航空機を所有する国もこれから少なくなってきて、かつての戦艦、今の航空母艦などと同じく、アメリカ合衆国のみがこの種の兵器を保有することになるのかもしれない。
B-2スピリッツは第2世代のステルス機で、世界最高レベルのステルス性を持ち、最高レベルの敵地侵攻能力を有している。この航空機により、アメリカの大統領は、世界中のどんな場所に対しても、1両日中に精緻な攻撃を加えることができる。夜間の戦闘においては、世界のどのような国も、この航空機の攻撃を阻止することは9割がた出来ない(逆に言えば、努力次第でたまに阻止できる)。
この航空機の侵攻能力にトマホークミサイルやJDAMなどのスタンドオフ兵器が加われば、攻撃は成功したも同然である。
でも、この航空機のお値段も最高レベルで、史上最も高価な航空機である。
どれくらい高いかというと、公式発表の資料で、このB-2爆撃機1機は量産時20億ドル以上(約2400億円以上)、量産と言っても20機ほどなので、量産も試作もあったものでない。この値段は高い高いと言われる日本のこんごう型イージス艦2隻分に相当し、世界最強の戦闘機ラプターの20機分に相当。M-1エイブラムスMBT400両分です。このような軍事兵器になじみの無い人には、豪華客船3隻分、ジャンボジェットB-747-400 10機分、横浜ランドマークタワー1個分です。同重量の金の値段とほぼ同等と言われ、とにかくべらぼうに高いのです。
このようにコストの高い航空機を使う意義があるかと言うと、なかなか難しい。現在のメディアの風潮で考えると、兵士の犠牲を極力少なくして、かつ戦果を得ないといけないのなら、この機は使える。しかし、それが、潜水艦からのトマホーク攻撃や無人機による攻撃などとどれほど差があるかと考えると、軍事的オプションの多様性のみの違いで、絶対的な差は無いように思われる。また、相手が効果的な航空迎撃能力を持たない国や勢力に対しては勿体無い兵器であり、また、それなりの軍事先進国(ロシアや日本など)が相手であれば、B-2による攻撃だけで相手を屈服させることはできない。防ぐことは出来ないが、軍事的な攻撃力ではたいしたことないというのは、核弾頭以外の弾道ミサイルと似ている。軍事技術の保存という観点も考えるべきだが、ラプターやJSFの開発、無人機の開発でも十分であろう。
アメリカはどうしてこのような兵器が必要なのだろうか?軍事上の観点から考えると疑問が多く、配備すべきか迷うものであるなら、アメリカの議会はそれを許さないだろう。しかし、21機も配備されている。
考えるに、軍事力を政治の手段と考えるアメリカの政治家に受ける兵器だからではないだろうか。大統領にすれば、とりうる選択肢は無限に多いほうが良いに決まっているからだ。
そして、このような政治化のパフォーマンスの道具をそろえてあげるアメリカの国民は愚かである。戦争を圧倒的な攻撃力で犠牲もなく行うのは「夢」でしかないからだ。高度な技術力で「兵士」が死なないようにすることは、その存在意義からして矛盾しているのだから。
 B-2 BomberOver the Pacific