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改憲について 憲法改正(改悪?)の実現を前に 総選挙改憲派大勝をうけて

完全な政治ネタを書くのは気が重いが、
今回の総選挙でまたも自民党が大勝し、同じような政党がそれなりの議席を取ったことで、
憲法改正に踏み込む準備が整ったことだろう。

いや、おそらく、現在の政権は憲法改正を発議するだろう。

オリンピックや天皇退位と新天皇の即位、改元。
華やかな行事の中に憲法改正を紛れ込ませることで、憲法改正は実現するだろう。

私はこの、安倍政権が進める憲法改正に反対している。

私自身、自衛隊にあったものとして、現在の憲法と国の実情が乖離していることはよくわかる。
私の隊員時代、今よりも、自衛隊は肩身の狭い立場だった。
自衛隊が創立されるまでの歴史を考えればそれは当たり前のことだった。

憲法上あってはならない軍隊を、「自衛隊」という変な名前で合理化してきた歴史。

世界でも有数の軍事兵器と隊員を有する自衛隊を、「軍隊でない」というのは変な話だ。

 軍事費で 世界8位
 兵員数で 世界25位くらい

陸上自衛隊
陸上自衛隊

 戦車数で 世界20位くらい
陸上自衛隊 10式戦車
陸上自衛隊 10式戦車

 艦艇数で 世界3位(主要艦艇のみ)
海上自衛隊
海上自衛隊

 航空機数で 世界10位くらい
航空自衛隊
航空自衛隊

 航空戦力は航空機の性能に大きく左右されるので実際は世界4位くらい

【参考】
ストックホルム国際平和研究所
https://www.sipri.org/databases/milex

米国や中国・ロシアと比べるとたいしたことないが、世界のほとんどの国が足元に及ばないくらいの軍事力を有している。

実際に軍事力を持っていることは確かだが、
その実態に合わせて、時の政権が、憲法の方を修正しようとするのが嫌だ。
しかも、議論半ばで憲法を修正しようとする方がもっといやだ。

自民党などの改憲派は今の憲法が米国の押し付けによるもので国民の総意がないと感情的に主張するが、
現在の憲法改正論議も国民全体が参加しているとは思えない。

現憲法の成立過程を問題視するなら、
改正においても過程を大事にすべきではないだろうか。

天皇の退位問題ではあれだけ中立にこだわり、慎重な審議をしてきたのに、
憲法問題となると、政治は単なる手段とみなして、どう見ても、内容を議論しているように思えない。

国会議事堂前のデモ
国会議事堂前のデモ

憲法のもっとも大事な機能は、
個々の条文の内容を守ることではなく、
時の権力者が恣意的に国の政治権力を利用させないため、権力を縛ることが重要なのだ。
憲法が他の法律と違うのは、国の政治運営の中で変えることが出来ない点なのだ。

国家の安全保障のために憲法第9条が邪魔になるから変更しようとするのは間違っているのだ。

国家の安全のために拷問や殺人を合法化するのと同じで、目的だけを見ているがために、本来の理念を失っているのだ。

それなのに、安倍政権は、政治権力と国家統治を強化する手段として憲法改正を行おうとしている。
立憲主義の先進国、ドイツや英国、米国などが、時の政権への権力封じ込めのために憲法を改正してきたのと反対である。

究極のところ、改憲派の欲するところは第9条の改正もしくは廃止だろう、
これによって何が得られるだろうか?

これで国家の防衛能力が強化されるだろうか?

答えは否である。

現状、憲法で軍隊を認めるように改正しても、軍事力は強化できない。

例えば、憲法改正で、いざという時に国民を徴兵・動員できるようになったとすれば、
中国が島嶼に上陸したときに、より有利に撃退できるようなるか?

できない、動員兵力数が増えても有利にならない。

島嶼部防衛
島嶼部防衛

島嶼部の防衛に必要なのは、海軍力と空軍力、
それぞれ定員があり、徴兵者を乗せたから強化できるものではない。
もちろん徴兵者はパイロットになれないので、航空戦力も強化できない。
島嶼部への反撃上陸を行う場合には歩兵戦力が必要だが、
現在の日本やたいていの国には、兵員を輸送する艦艇とヘリコプターがないので、沢山兵員がいても、反撃のために運ぶことができない。

私の経験からも、パイロットを急ごしらえで養成しようとしても、どうしても1年以上はかかる。
練習機も少ないし、教官の数も少ない。
海自の艦艇においても、自動化が進み、艦艇の乗員数は減っている。
逆にそれぞれが高度に専門化したプロフェッショナルな集団でないと役に立たない。

徴兵制度を有する中国や韓国が、軍事力の強化を図りつつも兵員数を削減しようとするのを考えればよく分かるだろう。

そもそも、兵力を動員してから、反抗準備するのに十分な予備役制度があっても何週間もかかる。
元から予備役が正規兵と同じ仕事をしている米国でも、湾岸戦争で予備役部隊を完全に動員するのに1か月かかっている。
中国が奇襲で島嶼部を占領して、それに対して動員した兵力で反攻するなら、動員から1か月は必要になる。
1か月もあれば、占領した島周辺に機雷がまかれ、対空ミサイル陣地も構築されてしまっている。
動員して増えた分の兵力ぐらい簡単に消耗してしまうだろう。

つまり、戦争に備えるのに徴兵制や動員制度を整えても効果がないのだ。

動員制度よりも、道路規制の緩和やJRの貨物や民間船舶・航空機の利用を拡大したほうがより効果的だろう。
沖縄の基地分散なども、防衛力強化につながる。
兵器システム開発での防衛省の技術力強化なども、今すぐに行うべきことだが、
これらに憲法改正は全く必要ない。

さらに、もっと大事なことは、
現在のような政権が憲法を改正することは、中国や北朝鮮に対する、もっとも効果的な抑止力を減少させることになる。

その効果的な抑止力とは、民主主義的に運営されている国家の姿である。

中国から来日する人と話すと分かるが、
中国では基本的に政治は自分たちとは縁遠いと認識している。
中国は共産党の独裁政権だが、実際、共産党の党員資格を持つのは1億人以下で、
未成年の人口を考慮しても人口の半数以上が政治から排除されている。

そして、明確でない党執行部への昇任システムなど、常に党内上層部の権力バランスのみで権力執行者が選ばれる。
本当の党上層部メンバーは選挙などでは選ばれないのだ。

つまり、中国の政権は、国民によって常に信任されたことがないのだ。

地方権力でも、全く自治権がないので、
(党組織は全国一律の指揮命令系統に属するので、行政組織の自治権といっても、共産党中央の意向には逆らわない)
中央政府は常に地方の他民族の動向に注意しなければならない。

香港は無理やり中国に併合(復帰)されたが、
台湾は、民主的でない中国の政権には組み込まれたくないだろう。
台湾と統一するうえで、もっとも大きな障害は、共産党の独裁そのものなのだ。
いくら軍事的に優位でも、中国が台湾を占領した後に起こる混乱は非常に大きいだろう。

チベットのような人口の少ない地域ですら、大規模な軍隊の駐屯が必要なのに、
もし、台湾を占領し続けるならどれほどの軍隊を駐屯させねばならないか、中国の軍部すら悩んでいるだろう。

中国共産党
中国共産党

中国共産党政権にとって、
自分たちが国民に信任されず、国民の自由意志のもと国を運営していないことがどれだけの負担になっているか、
国家の目標と国民の意志が乖離すれば、余計に国力はそがれることになる。

高度にネットワーク化された社会では、人々の意志をルールで統制することは難しい。
日本や欧米社会が人々の自由を社会の基本方針にするのは、
権力側から見ると、人々に、自由であると思わせて、自らの意志で社会へ参加させる最良の方法なのである。

例えば、マンション管理費の増額を、管理費を争点にして、選挙で選んだ理事会が行うならみな納得するだろうが、
ずっと同じ人が選挙もなしで理事会を運営し、勝手に管理費を増額しすれば反発は必至である。

これと同じことが、中国では当たり前になっていて、
何かを民主的に自発的に運営しようとすると、自分は参加しないのに文句だけ言う体質になってしまう。
それでも何となく従うのはこれまでの歴史的な経験によるものだろうが、これは現代社会ではマイナスである。

複雑な意思決定にこそ、より民主的なシステムを使わないと運営できないのは、
これまでの理論や歴史が教えてくれることだ。

このように中国の共産党政権がこれまで一度も成したことがない民主的な政権運営を、現在の日本は行っている。
一度は、政権交代も実現させた日本。
この民主的な姿こそが、中国や北朝鮮の権力者が真に恐れるものなのだ。

中国は地方他民族の自治権拡大や民主化を抑えるために莫大な治安維持費用を使っている。
武警や民兵の規模からして、国内向けの武力に軍事力全体の数十%使っていると見ても良いだろう。
言い換えると、民主的な政治という日本や米国の武器に備えて、中国軍の軍事力の大きな部分を費やしているのだ。
これが日本の防衛に寄与する部分は多大であろう。

安倍政権
安倍政権
もし、現在の安倍政権が憲法改正を行ったなら、
日本も、権力者がその意向によって、自らの規制を緩めることが出来るとの前例を作ることになる。
本来なら、改憲に慎重な政権こそがそれを行うべきなのだ。

東日本震災後、民主党が政権交代する際に、民主党・自民党・公明党が3党合意して、消費税の増税を決めた時などが、話し合いの政治ではないだろうか。
その3党合意を反故にするあたり、安倍政権の自分勝手さが良く分かる。

この身勝手な権力行使は、日本の安全保障にマイナスで、憲法を修正することで相対的防衛力は低下することになる。

安倍政権には優秀な忠誠心の高いスタッフ・側近が充実している。
一度、権力を失っているので、今いる側近は信頼できるのだろう。
しかし、今の安倍政権は、政治権力を維持することを第一に考えているように思える。

憲法改正も、未来への国家目標というより、自分の生まれからの運命論に支配されているように見える。

第9条の改正が、戦争開始の敷居を低くすることだけは確実である。

第二次世界大戦後の国会議事堂
第二次世界大戦後の国会議事堂

理想であっても、少なくとも国家国民が幸せになる何らかの方策を抱き、理念を持って政治家になって欲しいものだ。

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ロシア海軍潜水艦 ロストフ・ナ・ドヌー 地中海からシリアのIS拠点に巡航ミサイル発射

ロストフ・ナ・ドヌ 改キロ型潜水艦
ロストフ・ナ・ドヌ 改キロ型潜水艦
12月8日の記事で配信された上記内容、米海軍ではありきたりの攻撃をロシアも実施できるとアピールになった。

今回ミサイルを発射した「ロストフ・ナ・ドヌ」は改キロ型の通常型潜水艦(ディーゼルエレクトリック推進潜水艦)。改キロ型の中でも対地攻撃用巡航ミサイルなどを装備したプロジェクト636.3と呼ばれるタイプである。
名称のロストフ・ナ・ドヌ(ロシア語: Росто́в-на-Дону́, Rostov-na-Donu)はロシア・ドン川沿いにある海運都市で運河によって黒海やカスピ海にもつながり、黒海艦隊所属の潜水艦として相応しい名前である。

ロストフ・ナ・ドヌ 改キロ型潜水艦
ロストフ・ナ・ドヌ 改キロ型潜水艦

キロ型というのはNATOが便宜的につける通称で、ロシアでの正式名称は636型。キロ型はかつての東側各国が採用し、今も大人気のベストセラー潜水艦。ソ連の通常型潜水艦の集大成といえる潜水艦で、このタイプが優秀すぎるために次世代の通常推進型潜水艦(ラダ級)の開発が難航するほどである。

改キロ型潜水艦
改キロ型潜水艦

キロ級の改良型である改キロ級636型は西側と同等のハイスキュードプロペラや改良されたソナーシステムによって十分な静音性と戦闘力を有している。
通常型潜水艦で636型程度の能力を持っていると、潜水中に探知することは難しいので、米海軍や海上自衛隊にとっても脅威となる潜水艦である。
中国海軍はこの636型を輸入しており、自国開発の潜水艦にもこの潜水艦の技術を取り入れようとしている。中国が熱心に開発に取り組んでも、未だに最新の636型潜水艦と同等の潜水艦は開発できていない。ロシアの潜水艦はそれほど優秀なのだ。

改キロ型潜水艦
改キロ型潜水艦

改キロ型潜水艦の透視図
改キロ型潜水艦の透視図

ロシアの潜水艦全般に言えることだが、武装が多彩である。
ソ連は米海軍の圧倒的な機動部隊の前に、唯一生存可能な潜水艦を艦隊で運用することで対抗しようとした。そのため、ロシアの潜水艦は魚雷だけでなく、長距離から水上艦を攻撃できるミサイルやソナー探知外を攻撃できる長距離攻撃魚雷、[ミサイルとして空中に発射して、あらかじめ指定した位置まで何十キロも飛行した後に魚雷を切り離し、魚雷のセンサーで敵を探して攻撃する魚雷、核弾頭の搭載を前提としている。]などを開発してきた。
主力の核抑止力となるSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル、たいていは核弾頭)の開発に難儀し、試行錯誤する途中に作ったいろいろなアイデア兵器を全部潜水艦兵器として実用化していったようなかんじである。潜水艦に対空ミサイルを搭載しているのはロシア製潜水艦だけであろう。

多彩な兵器群のなかでも、潜水艦発射長距離ミサイルは種類が多く、米空母の哨戒圏外から攻撃することにいかに熱心だったか分かる。

クラブミサイル
クラブミサイル
クラブミサイル
クラブミサイル

今回使用されたとする巡航ミサイルはクラブミサイルを呼ばれるシリーズのミサイル。(ロシア語: Клуб) カリブル(Калибр)とも呼ばれる。艦船発射型はNATOコードネーム:SS-N-27 「シズラー」。
固形燃料ロケットのブースターに巡航用のターボジェット・エンジンを搭載し、多様な発射母体が使用可能で、かつ数百キロの射程を有する。
迎撃を回避するために、最終突入時に先端部を切り離し超音速まで加速するので迎撃が困難であるとされている。

時事通信配信の動画では水中から発射されているので、魚雷発射管より発射できるクラブS
3M14E型かと思われる。

クラブ ミサイル 3M14E 潜水艦発射対地攻撃型
クラブ ミサイル 3M14E 潜水艦発射対地攻撃型
後端は固体燃料ロケットブースター、その先にターボジェットエンジンがある
後端は固体燃料ロケットブースター、その先にターボジェットエンジンがある

動画では初期発射時の固体燃料の燃焼時間などが分かって面白い。ニュース記事なのでしばらくするとリンク切れになるだろう。
http://mainichi.jp/articles/20151210/k00/00m/030/037000c

今回のシリアのISへの攻撃はその長距離精密誘導ミサイルの能力を存分に発揮した攻撃である。
長距離の見えない艦船を攻撃できるミサイルであれば陸上目標への攻撃も可能であろう。ロシアは米海軍との直接の戦闘だけでなく、テロ組織への遠隔攻撃など、米軍が得意とする分野にも十分な能力を持っていることを証明したわけだ。
陸上目標への攻撃と海上の艦船への攻撃の違いは、ミサイル自身のレーダーなどのセンサーだけでは最終の誘導が出来ない事と陸上の様々な地形を回避する必要がある事だ。
米軍は最終の誘導にGPSを使うが、ロシア軍も独自の衛星による誘導を行っている可能性が高い。また、衛星や航空偵察によって、詳細な地形のデータを有していることになる。
自国で開発可能な潜水艦とそこから発射可能な巡航ミサイル、目標の選定から兵器の誘導までのシステム、これらをロシア単独で有していることには注意しなければならない。
これらは偵察から最終的な誘導まで、多様な情報を取得評価するシステムが必要なので、簡単に第三国に輸出できるものではないが、中国やインドなど、自国で衛星の打ち上げが可能な国であれば、全世界のどこへでも兵力投射が可能になっていることを示す。
逆に言えば、兵器全体をシステムとして整備できる国とそうでない国との間に、通常戦力においても圧倒的な差が付き始めていることでもあり、北朝鮮やイランなど中程度の軍事国家に核兵器や化学兵器へ向かわせる動機ともなろう。

今回のシリアでのロシアの軍事行動は実に計算されたタイミングで実行され、ロシアの軍事技術の誇示、同盟国へのロシアの信頼回復、黒海・地中海でのプレゼンス、通常戦力での戦闘への対応を見事に示した。中東でのロシアの影響力を保持し、石油資源価格への影響力も示した。
外交での戦略に、いちいち国内から文句をつけられる米国オバマ大統領に比べ、より的確な外交手段を選べるプーチン大統領の実力を示したことが一番の収穫かも知れない。

中国国防白書の評価 2015年度

ChineseNavy
中国は今後海軍に注力すると明言。。
ソブレメンヌイ級駆逐艦と054A型フリゲイト

少し強い言葉で表現していることから話題になっている本年度の中国の国防白書。既に軍事予算決算の発表があったので、中国の軍事力強化の方向性ははっきりしていて、南沙諸島での係争について踏み込んだ発言をしていること以外、特に注目すべき点はない。

国防白書は政治的なメッセージが強いので、ここで扱うには政治的すぎるが、あまりに質問が多いので、中国の戦略について整理しつつ、少し説明しよう。

中国は南沙諸島でベトナムやフィリピンと係争中で、東シナ海では主に日本と領有権で争っている。
国防白書では、南沙諸島での戦闘がありえると言っている。実際に、既に実力行使を行っている。南沙諸島では中国側が島を実効支配しており、主にフィリピンの海軍艦艇を体当たりや威嚇射撃で追い払っている。

南沙諸島の海域
南沙諸島の海域
Spratly_with_flags
南沙諸島の海域。実効支配している国も様々で入り乱れている。

このあたりの対応は尖閣諸島での係争と異なる。尖閣諸島では日本は海上自衛隊の艦艇を派遣しておらず、中国も主にコーストガードを任務にあて、両国が暗黙に実力行使は行わない意志をあらわしている。

しかし、南沙諸島ではフィリピン海軍が弱体なために、中国の軍事行動を阻止できず、諸島の占領を許したこともあって、中国は一帯の制圧を目的に行動している。元々、ベトナム戦争中からベトナムと戦闘を繰り返し、軍事的に占領してしまっているので、今後も同じ方針で行動するだろう。当時は、ベトナムと中国の争いであり、米国にはどちらにも肩入れするつもりがなかったので介入しなかった。これが今に続いているのだ。

フィリピンは一応米国の同盟国であり、フィリピンの意志としては、現在の諸島の占領は認めても、制圧海域の拡大は許したくない。また、米国も中国が南シナ海の航行の自由を侵さない限り、南沙諸島の占領は認める腹積もりであろう。この点で米国とフィリピンの戦略は一致しており、現在のところ、中国もその範囲で行動するつもりだろう。

ただ、米国がアフガン、イラクでの戦争を終了させ、これまでの対テロ戦争から中国との対決に備えるようになると、中国はこれまでのように米国の無関心をついて近隣諸国を脅かすことが出来なくなる。中国は経済の成長とともにその勢力圏の拡大を目指してきたが、米国が軍事費の大きな負担になっていたアフガン・イラクの両戦争から解放され、その余力を中国に向けることが心配なのだ。
その心配を正直に表現したのが今回の国防白書と言えよう。

その正直さは、東シナ海での日本との係争において、現状のままで良く、日本の安保体制変更が中国に向かないことだけを心配していることにも表れている。当面、中国は尖閣諸島での日本の実効支配に手出しするつもりがないだろう。

国防白書発表後、米国は南沙諸島での中国の実力行使を批判しつつも、それを阻止する具体的な方策には言及せず、航行の自由に関してのみ、今後も偵察機の恒常的な運用を表明した。これもまた米国の正直な意志の表れで、小さい島の領有に関しては干渉しないが、周辺海域での行動の自由は侵してはならないとの従来からの米国の主張通りである。

以上、今回の国防白書に特別に注目すべき点はない。

USNavyCSG
アメリカ海軍の優位は今後10年間揺るがないだろう。
PACIFIC OCEAN (May 22, 2015) The aircraft carrier USS Ronald Reagan (CVN 76) simulates an emergency break away after a replenishment-at-sea with the fleet replenishment oiler USNS Henry J. Kaiser (T-AO 187). Ronald Reagan is underway off the coast of Southern California. (U.S. Navy photo by Lt. j. g. Joseph Pfaff/Released)

米海軍の実力は圧倒的であり、今後10年は揺らがないだろう。中国が陸軍から海軍へシフトしているように、米軍は既にヨーロッパ戦域での陸上戦力の直接対決から卒業していて、米3軍の主力は実質的に海軍が担っている。空母機動部隊は米国10に中国0.5(まだ機動部隊とは言えないから)、戦略原子力潜水艦は米国10隻(4隻はSSGN)に中国2隻、攻撃型原子力潜水艦は米国50隻に中国3.5隻、イージス艦は米国80隻に中国3隻、このように海軍力において米国は中国の10倍以上の戦力を有しており、個々の性能に関しても10年以上の差がある。

USNavyAndJMSDF
アメリカ海軍には海上自衛隊などの強力な同盟国がある。。
WATERS NEAR GUAM (July 8, 2014) The Arleigh Burke-class guided-missile destroyer USS Pinckney (DDG 91) and the Japan Maritime Self-Defense Force (JMSDF) ships conduct tactical maneuvers during GUAMEX 2014 in waters near Guam. Pinckney and the JMSDF ships Kongo (DDG 173), Murasame (DD 101), Ikazuchi (DD 107), Akebono (DD 108), Ariake (DD 109), Akizuki (DD 115) and Shimakaze (DDG 172) are participating part in GUAMEX 2014, an operation aimed at enhancing the interoperability of the U.S. Navy and JMSDF and strengthening personnel ties between the respective forces. (U.S. Navy photo by Cryptologic Technician Collection 3rd Class Raul Sanchez/Released)

しかも米海軍には日本の海上自衛隊や英海軍のような強力で高質の同盟海軍力があり、太平洋、大西洋の展開においても全く隙がない。東シナ海でも南シナ海でも米軍と戦えばワンサイドゲームで終わる。中国はそれを良く知っているからこそ海軍の増強を図っているのだ。

中国の海軍力増強には様々な障害があり、最大の問題は経済成長に陰りが見えている点だ。
今後の経済の成長には政治体制の変革が必要だが、その変革を阻んでいるが共産党と人民解放軍なのだ。巨大な利権システムのこの二つを打破しないと経済成長出来ないが、米国との対決にはこの二つを必要とするという決定的な自己矛盾を抱えているのだ。
好景気が続く間はなんとか体制は維持されるが、それが鈍化した際に体制をうまく転換できるかが中国の最優先課題である。

世界の成長と進化はIP6の完全普及やエネルギー革命まで続くだろう。
化石エネルギーから解放された世界の中心産業は情報産業になる。その時に今の中国が生き残れるだろうか?無理だ。完全に情報化された社会は体制において完全に民主化されなければならないからだ。情報の独占は強制された意志によってはなしえないからだ。個々の自由な選択の情報こそを得なければならない。情報資本の独占こそ今の権力が目指す目標なのだ。

軍事ブログとしてはかなり政治学的な話に脱線している。
まあ、中国の動向に敏感に反応する必要はない。軍事力の増強も米軍の脅威になるには10年以上かかる。しかも、日本の現政権は米軍のパシリになって働くというのだから、米国はより楽に軍事的優位を保つことが出来る。他国の軍事的な優位のために、国家をあげて奉仕するのが愛国者のすることだとは思わないが。

北朝鮮のSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)は脅威になるか

またまた北朝鮮の醜い独裁者が何やら言っている。

北朝鮮のミサイル水中発射テストとキム主席
北朝鮮のミサイル水中発射テストとキム主席

この人、不細工すぎる。

先日、北朝鮮が潜水艦から弾道ミサイルの発射に成功したと、写真付きで発表した。確かに海からミサイルが発射されており、何らかの水中発射に挑戦したのは確かだろう。
核抑止力としては最強の手段を手に入れたことになるが、これは本当だろうか、日本にとって脅威になるだろうか。

結論から言えば、SLBMとしては脅威になりません。

弾道ミサイルとは地球の大気圏えるような高い高度へ打ち上げられ、弾道軌道を描きながら長距離を飛ぶミサイルのこと。
低い高度を力ずくで飛ばすよりも、空気の抵抗の無い大気圏外を飛ぶ方が速く、より少ない燃料で長い距離を飛行できる。人工衛星の打ち上げに似ている。

地球上での弾道飛行体は落下時に加速し続ける。燃料を燃やして加速するのは弾道軌道に入るまでで、最高高度到達時には燃料はなくなっている。目標への最終到達時はマッハ20以上の速度で突入し、現在のところ弾道ミサイルを迎撃することは難しい。日米が開発している弾道弾迎撃システムが唯一の存在である。

弾道ミサイルには、その射程や発射装置によっていくつかの種類がある。

  • 大陸間弾道ミサイル(ICBM) 射程約6,400km
  • 中距離弾道ミサイル(IRBM) 射程2,000-6,000km程度
  • 準中距離弾道ミサイル(MRBM) 射程800-1,600km(500-1000マイル)程度
  • 短距離弾道ミサイル(SRBM) 射程約800km(500マイル)以下
  • 潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM) 射程によらず潜水艦から発射されるもの
  • 空中発射弾道ミサイル (ALBM) 射程によらず航空機から発射されるもの

以上の分類は厳密ではない。
主に米ソ冷戦期に、脅威への対処方法のための分類である。例えば、ICBMの射程はソ連本土から米国本土へ到達できる射程ということで定められた距離である。

この中で、目下もっとも有効なミサイルはSLBMで、発射体が潜水艦で発見が困難で、移動し、場合によっては目標のすぐ近くから発射するために迎撃が不可能に近い。

世界のSLBM。性能の良いものは全長10mで射程6000KM
世界のSLBM。性能の良いものは全長10mで射程6000KM

実際に、米軍にとってのSLBM対処策は報復核攻撃が最も有効と考えられている。一度発射されると迎撃は難しいので、発射母体である潜水艦を常時監視し、核戦争が想定される際にはすぐに潜水艦を撃破することを考えている。
ロシア海軍タイフーン級戦略原子力潜水艦 搭載ミサイルの大きさもあいまって、世界最大の潜水艦
ロシア海軍タイフーン級戦略原子力潜水艦 搭載ミサイルの大きさもあいまって、世界最大の潜水艦

ソ連は戦略原子力潜水艦を多量に配備していたが、米海軍の潜水艦からの追跡を逃れるために、ついには、自らの裏庭にあたる北極海でパトロールさせるようになった。タイフーン級戦略原子力潜水艦は凍結している北極海から、氷を割ってミサイルを発射することを考慮して設計された世界最大の潜水艦で、司令塔などの上部構造が強化されている。
逆に言えば、いかに米国が執拗にソ連原潜を追っていたかがうかがえる。

本来、SLBMは戦略原子力潜水艦によって運用されるが、米ソとも、本格的戦略原子力潜水艦の運用前に通常動力の核ミサイル搭載艦をテストに使ったりしていた。戦略原子力潜水艦は開発するだけでも非常に難しく、実運用するためにはとてつもないコストがかかる。
経済の好調な中国でさえ、本格的な戦略原子力潜水艦による戦略パトロール(核ミサイルを搭載して出撃すること)は実現していない。

北朝鮮の場合、原子力潜水艦そのものは開発できていないし、当面開発は無理であろう。
通常型の潜水艦についても、本格的な航洋型の潜水艦は自国開発できていない。輸入したロメオ型などソ連の古い潜水艦は保有し、運用していると思われる。
そもそも、北朝鮮が領海を越えて潜水艦を行動させるのは極めて難しい。隣の韓国は常時臨戦態勢で国境を陸海の別なく警戒しており。日本海では海上自衛隊が厳重に哨戒している。ロメオ級程度の性能の潜水艦がこの哨戒網を突破することは不可能だろう。中国が自国領海を通過させない限り、北朝鮮は外洋へ潜水艦を進出させることは出来ない。中国はそれをさせないだろう。潜航している潜水艦はどこの国のものか分からないので、中国領海から出てきた潜水艦が北朝鮮の艦であっても、それが何がしかの戦争行為を行えば中国にも責任が及ぶからだ。
しかし、ソ連が北極海でそうしたように、潜水艦から弾道ミサイルを発射するだけなら、なにも、領海外へ出る必要はない。自国沿岸の守られた領域に潜って潜んでいればいいのだ。北朝鮮の目標が韓国と日本ならそれで十分だ。

では、北朝鮮が通常型潜水艦での弾道ミサイル発射を目指しているなら、それは可能だろうか。

ゴルフ級通常動力潜水艦
ゴルフ級通常動力潜水艦

否である。現在、潜水艦発射弾道ミサイルを開発運用できる国はアメリカ合衆国、ロシア、フランス、中国だけである。このうち中国は、実際のところはまだテスト運用といったところか。中国の核ミサイルの目標は米国だが、米本土のすべてに到達できるようなSLBMは開発できていない。ロシアも固形燃料SLBMブラヴァの開発に苦労した。潜水艦に収納可能で、水中発射ができて、かつ長距離を飛行可能な弾道ミサイルの開発は難しいのだ。先に述べたソ連のタイフーン級原子力潜水艦が大きくなったのは、搭載ミサイルが液体燃料方式で巨大だったからだ。
北朝鮮が巨大な潜水艦を開発出来るとは思えないので、搭載する潜水艦の貧弱さ、ロケット技術の未熟さゆえにSLBMを実用化することは出来ないだろう。
北朝鮮のノドンミサイルは液体燃料方式で、燃料には腐食性があり、ミサイル内に注入したまま長時間保存できない。つまり、発射に際して燃料をタンクからミサイル内に移す必要がある。ミサイルの全長は16mで射程は1000km~2000km、このように大きなミサイルを全幅7m弱の潜水艦に搭載することは難しい。米国のトライデントやロシアのR-30ブラヴァなどは全高12m程だが、それを搭載する潜水艦は、米海軍オハイオ級で全幅12.8m、吃水11.1m、ロシアのボレイ級で全幅13.5mと巨大である。どの戦略原子力潜水艦も排水量は1万トン以上で、そもそも大型の潜水艦を建造する技術がなければ、SLBMを搭載することすらできない。
R-27弾道ミサイル
R-27弾道ミサイル

北朝鮮がソ連から導入したR-27弾道ミサイルは比較的小型だが、これとて、高さ10m以上の発射船体殻を持つ潜水艦が必要で、北朝鮮の潜水艦で改造が可能な潜水艦はゴルフ級だけだが、完成された形で手に入れていないので、発射装置などは独自開発する必要がある。
水中からの発射では、ミサイルを安全に発射するための装置、水が潜水艦発射管内に侵入しにくい加圧装置、ミサイルが水面に出てから作動する信管などを開発する必要がある。
潜水艦は大型になり、ミサイル発射管のために騒音が出やすい。通常運用が可能なレベルの大型潜水艦を開発しなければならない。ゴルフ級と同じものでは、100%機能しても、今の日米韓の対潜哨戒網の中で運用するのは難しい。

これまでの考察で北朝鮮の発表した水中からのミサイル発射写真がSLBMのまがいのものだと分かる。

北朝鮮にとっては、ミサイルを山の坑道内サイロから発射するのと同じような位置づけではないだろうか。
単に、ミサイルサイロが海にあるだけでも発見しにくいので、ある程度動けるレベルの潜水発射装置を沿岸から運用するのであれば、北朝鮮の技術力でも可能だと思われる。

しかし、戦略的効果を考えると、変に大型で動きの悪い弾道ミサイル発射可能潜水艦より、普通の小型潜水艦を配備運用する方が、コストが安く効果的なので、いきなりSLBMを開発しようとするのは無謀だと言うしかない。おそらく北朝鮮もそこまでは考えていないと思われる。
当面、SLBMの脅威はないが、弾道ミサイルははっきりと見えている地上でも探知。迎撃が難しく、北朝鮮が今後も核開発を進めるなら、日本独自の敵策源地攻撃能力を持つことが非常に重要になってくる。ABMの不確実性を考えると、発射態勢に入った地上と海上のサイロを素早く攻撃するだけの能力は必要だし、それは今の法制度内で可能。技術的にも可能。トマホークを導入し改良するか、SSM2などの対艦ミサイルを長距離巡航ミサイルに改造すれば良いだろう。

ABMを発射する海上自衛隊の護衛艦。 VLSに巡航ミサイルを搭載することはたやすい。
ABMを発射する海上自衛隊の護衛艦。 VLSに巡航ミサイルを搭載することはたやすい。

北朝鮮の核兵器は能力から考えて、それは日本と韓国を目標としている。閉鎖的な独裁国家で軍事膨張を続ける国が核武装することは、イランの核武装よりずっと危険だろう。日本の通常兵器での攻撃を中国が止める能力を持たない今こそが、ある意味、一番のチャンスではないだろうか。

日本政府、安倍自民党は自分の理屈のを法律にして喜んでいるが、日本は少しも強くなっていません。
細かい法整備よりも、責任感と決断力。そして法制度は憲法論議から始めるのが政治家たるものの本懐であろう。
憲法に殉じてあえて攻撃しないのも日本の生き方であろう。国民の命も大切だが、国民と国家の信念も大切だと思うからだ。

本当の安全保障を国のために考えるー日本に原潜が必要な理由

そうりゅう型潜水艦
海上自衛隊の最新鋭潜水艦 スターリング機関を搭載している。
シーウルフ級原子力潜水艦
米海軍最強の原子力潜水艦 時速40ノット以上の水中速力を誇る

 

昨今、日本を取り巻く軍事環境が変化し、安全保障に関する議論も増えてきた。特に、自民党が再度政権を取ってからは、自民党自体が右派保守本流一筋になって、議席に応じた強硬な政策方針を進め、自民党右派の長年の願いであった憲法改正も話題になっている。

 

さすがに憲法改正には踏み込めず、解釈の変更だのなんだの言っている。

本政権の政策に関して考察すると、主に中国の軍事的拡張に対して、今のうちに法的な縛りをとって外交的にも軍事的にも動きやすくしようとしているようだ。

 

これらの考えの元は理解できる。

元自衛隊員として憲法で禁じられている戦力に属し、名前も自衛隊というのが複雑な気持ちにさせることもあった。

しかし、これはずっと以前からの問題であり、特に中国との軍事的対決よりも、米国の軍事的保護支配下に置かれているという実情こそが病原なのである。

 

現在、集団安全保障の行使が可能か議論しているが、これまでも、日本は米軍軍事支配下・指揮下で戦闘することは、米国はもちろんのこと、敵国のソビエトや中国も当然のことと捉えていた。

 

日米安保条約は同盟条約の中では特異な条約で、その結びつきの点では世界のどんな同盟条約より強固だと言える。

条約は日本のどの政権でも尊重され、憲法を審査する最高裁でも冒すことのできない条約になっている。日本の法制度の中で根本的に憲法抵触の恐れがある条約であるにも関わらず、日本のどんな権力組織からも手出しができない強固な法的なシステムとして日本に組み込まれているのである。

駐留する米兵に対して、不平等条約の最たる要素である実質的な治外法権を認めていることも、日本がこの条約にどれだけ強く縛られているかを表している。

経済的には多額の供与金が支払われ、沖縄では広大な土地を日本政府が肩代わりで借りて(買って)供与している。

現在の軍隊は情報システムが勝敗のカギになるのだが、この情報システム・通信システムはすべて米軍と共用可能なものにしようとしている。さらにほとんどの武器システムが米軍事技術に依存している。

 

即ち、今さら米軍との共同行動のために安全保障関連の法整備は不要であり、米軍にとって全く役に立たない。今以上に同盟を強化する法的な方策など存在しない。

 

強いて、何かの利点を見つけるなら、国連活動や米軍以外との軍事同盟に役立つだろうが、最近の国連の軍事的な影響力低下の傾向の中で、本気でその中で活躍することを考えてはいないだろう。もし考えていたら、バカ以外何物でもない。また、米軍以外の同盟を進めるほどの度量はないだろう。100年先の将来を考えれば、米国より中国と同盟する方が国は発展するだろうが、それを見通して実行できる政治家はいない。

 

以上述べてきたように、現在、憲法改正・解釈変更を行い、法制度を変更しても軍事的には何らプラスにならない、それどころか、いたずらに安全保障環境を悪化させることになるだろう。

  • 中国に対して明確な敵対的態度を見せ、その軍備強化の理由を与えている。
  • 無駄に日本への警戒心を煽り、中国内強硬派の主張に与している。
  • 米軍一辺倒になり、外交的・軍事的な方針の多様性を狭めている。

 

そもそも日本南西域の領土問題に関しては、日本は島嶼地域を実効支配しているので、静かにのらりくらりとかわすのが国策であったはずである。わざわざ教科書に問題を明記する必要はないし、言動において中国と争っても利益がない。口先だけで実際には何もできないことが余計にばれるだろう。

中国から守るべき実益とは海洋資源であり、これを守るには先に採掘できるようにしなければならない。しかし、日本はこの分野に力を入れているとは言えない。技術力は十分にありながら、資源探査・自然環境調査などには無関心である。中国が100か所掘れば日本は200か所、中国が100時間の潜水探査をすれば日本は200時間行う。

このような実際の努力が必要なのに、勇ましい言動をすることが国を守ることと勘違いしている。かつて国を滅ぼした連中に似ている。

 

今の自民党政権の政治家は、一度下野した際に有能な人材・人脈を失い、負けて傷つき拗ねたような人物ばかりである。過去に首相になっていながら、世間の評判や部下の反抗に耐え切れず辞めていった人々である。

彼らが本当に国を想って行動するとは考えられない。最初に首相になった際もかなりの歳で、それまでに何年も政治家をしてきたはず。それなのに次から次へ辞めていくのは利己的なためだ。

安全保障に関しても、自分が他国の首脳にいい恰好をしたいのが本音だろう。何とも救いようがない。

 

さて、このような愚かな為政者にも分かりやすく、もっとも効果的な安全保障の方策を教えよう。

 

それは、原潜、原子力潜水艦である。

 

原子力潜水艦は、今年度予算を付けたから来年配備できるようなものではないが、中国が本格的な空母機動部隊を作り上げることまでには(10年以上かかると言われる)現実的なものになっていると思われる。

 

一足飛びに原子力潜水艦の有用性を説明する前に、在来型潜水艦(ディーゼルエンジンとモーターの組み合わせが主)においてその説明をしよう

 

潜水艦の有用性は

  • 現在ある兵器の中で完全といえるほどのステルス性を有し、弾道ミサイルと並ぶ防御の難しい兵器である。
  • 長期間の作戦行動が可能。
  • 作戦範囲も日本からであれば西太平洋域全域を収める。(敵哨戒域では潜航しなければならないので制限される)
  • 攻撃力が高く、敵大型艦船や潜水艦など高価値目標を1発の魚雷で沈めることが出来る。
  • 機雷戦などで敵の行動を長く制限できる。(撃てばその場でお終いではなく、敵の近海などに潜み、長く脅威を与えることが出来る)
  • 単独で作戦可能で、必要な他種兵力の支援が少ない。

とこれだけの利点を有する兵器は他にないだろう。

 

現状では、最新鋭の対潜哨戒機ですらアクティブソナー探知でないと潜水艦を発見できないので、哨戒域はそのソナーの投下数と探知半径により自ずと制限され、事前の情報により潜航している海域を限定出来なければ探し出すことは難しい。

(アクティブソナー探知とは、艦船やソノブイから音を発信し、相手艦から反射した音を探知することで捜索する方法。かつてはパッシブソナーも有効であったが、潜水艦があまりに静かで沿岸域を行動するため、相手艦が発する騒音を捉えることは難しくなっている。)

 

このように、潜水艦であればどれもが持つ利点に加え、日本は潜水艦建造の先進国で、おそらく在来型潜水艦では世界最高性能の潜水艦を建造できる。

モーター推進時にはほぼ無音で航行可能で、備えるソナーと戦闘システムは最高の性能、さらにはスターリング機関も有し、作戦海域で1週間連続の潜航も可能となっている。

 

但し、在来潜は蓄電池充電のためにシュノーケリングが必要で、この際、哨戒機に発見される可能性がある。

シュノーケリングとは、人間が潜水に使うシュノーケルと同じで、マストの先につけた小さな空気取り入れ口から外気を取り入れ、船内の汚れた空気を排出すること。ディーゼルエンジンの吸気排気にも用いて、これにより蓄電池を充電する。

シュノーケリングに使うマストの装置は非常に小さく、ステルス性も考慮された形状になっているが、それでも高性能の哨戒機のレーダーであれば発見可能で、蓄電池を完全に充電するまでの時間(1時間から2時間程度か)があれば被発見率は格段に高くなる。

 

だから、安全に作戦するためには、

  • 出航後)哨戒済みの自国制海圏内で最後のシュノーケリングを行い充電し潜航、
  • 航海中)蓄電池の40%程度を使って作戦海域へ向かい、
  • 偵察)目標地点でスターリング機関を用いて捜索・探知を開始。
  • 攻撃)目標が潜水艦であれば対潜哨戒機からのアクティブソナーや海底聴音器から支援を受けつつ探索し、発見すれば報告するか、自艦で攻撃する。
  • 退避)自艦で攻撃した場合、そのおおよその位置を把握されるので、すぐさま移動しなければならない。その際、スターリング機関では遅すぎるので、蓄電池を使うことになり、充電容量が半分以下になる前に帰還せねばならない。帰り道の潜航分の電池容量をのこしておかなければ、帰路、敵の勢力圏内でシュノーケリングを実施せねばならず極めて危険だからだ。
  • 帰港)制海権内に入れば自由にシュノーケリングが可能になる。

のように行動する。

 

これらの作戦行動から逆算し、在来潜の作戦域は、相手哨戒域より蓄電池容量半分だけ航行した地点と簡単に言える。

現在、自衛隊の潜水艦は蓄電池で巡航した場合、2日程度航行可能で、その速度を10ノット程度と見積もると480海里潜航しての航行が可能、その半分が作戦進出域となるから240海里が作戦行動域になる。

240海里というのは約432キロメートルなので、もし日本が西垣島までの制空権・制海権を維持していれば、優に中国沿岸まで進出できる距離だ。

1隊の哨戒機による哨戒半径を50キロメートル程度としてその範囲外から潜航するとしても300キロメートルは進出可能なので、尖閣諸島は完全に潜水艦の活動範囲内である。

中国の有する潜水艦と哨戒機では到底敵潜水艦を防ぐことは出来ないので、もし尖閣諸島近海で日本と戦争すれば、その補給線は常に潜水艦の脅威にさらされ、防御手段のない、鈍足の輸送船などは航行できないであろう。

輸送船などには潜水艦を探知する手段がなく、欺瞞装置などもなく、航行速度が遅いので潜水艦はそれをパッシブソナーで探知し、潜航速度で追いつき、一度も相手に悟られることなく魚雷を発射して攻撃できる。

敵船団に護衛艦がついていれば反撃は可能であるが、機雷を併用し、遠距離より対艦ミサイルを用いることも可能で、発見した敵艦の情報を伝えれば、海上艦艇や航空機より対艦ミサイルで攻撃可能である。

 

もちろん、これは日本にとっての中国潜水艦隊も同様で、青島あたりの港から出航すれば、日本南西域全体が潜水艦の脅威にさらされる。日本は世界でも米軍に次いで対潜作戦に秀で、その対潜部隊は最優秀と言って過言ではない。しかしながら、最強の対潜部隊であっても、すべての潜水艦を阻止するのは難しいのである。

だから、潜水艦を用いて戦争を行うというのは、各々が一程度の犠牲を必ず伴うという、核兵器の相互確証破壊のような抑止力があり、核戦力を搭載せず、原子力潜水艦でもない潜水艦であっても、戦略的な兵器である。

 

そして、今、潜水艦や対潜兵器の戦力は日本の方が中国を上回っている。

中国の原子力潜水艦はいまだ静粛性に問題があり、これは潜水艦にとっては致命的。在来型潜水艦も旧式の潜水艦がいまだ多く、まともな戦力を旧ソ連のキロ型以降と見積もっても、キロ型12隻、元型4隻就役、3隻建造中、で総計19隻。

対潜哨戒機で最新の潜水艦を探知できるものは少ない。

 

一方、自衛隊は、

現在16隻の潜水艦を配備し、今後、退役年数を延ばすことで22隻に増勢する。元々、自衛隊は潜水艦の隻数を制限するために16年で退役させていたので、それを22年程度に延ばしても問題ない。戦闘システムは後記のように年々進歩しているので陳腐化してくるので、できれば改良すべきである。

対潜哨戒機は、現在も一線級のP3Cをはじめ80機程度が配備されている。米海軍がもつ対潜哨戒機が100機程度であることを考えるといかに多数の対潜哨戒機を有しているか分かる。

P1対潜哨戒機
海自最新鋭の対潜哨戒機 現有のP3Cでも世界トップクラスの性能なのにさらにその上をいく性能

 

また、自衛隊で潜水艦乗員は最優秀である。潜水艦での乗務は非常に特殊で、特別な訓練と適正が必要である。そして、軍も彼らが特別な軍人であることを認識して扱う必要がある。例えば潜水艦内の食事は非常に美味しいと知られているが、これは彼らの環境が過酷で、それに値する待遇が必要だと自覚しているからだ。

一方の中国海軍は潜水艦乗員の訓練練度が低く、昼間働き夜は陸上に戻って寝る習慣があると言われてきたように、潜水艦に何週間もこもって生活することさえ難しいようだ。今も、原子力潜水艦で定期パトロールに出られない原因の一つは、乗員が長期間の潜水艦内での生活を出来ないのも一因と考えられている。原子力潜水艦のパトロールは数か月に及ぶが、これを実現するには相当の訓練体制と組織の強化が必要である。

 

以上のように、潜水艦と対潜戦力に関して、日本は中国に対し、1国で優勢を保っている。

潜水艦は他戦力が劣勢であっても十分な脅威であることは、二回の大戦が証明している。第一次大戦、第二次大戦ともドイツは英海軍に劣っていたが、多数のUボートを運用することでその補給線を脅かした。第二次大戦末期には米軍対潜部隊の増強、対潜兵器の開発、大洋に開けた母港の占領、暗号の解読などによりほぼ全滅したが、これは米軍の圧倒的な物量の差のみが成しえた戦略であり、同様の技術力、情報力を持っていた英国には不可能だった。それほど、潜水艦は攻める側に有利で守るには不利なのだ。

太平洋戦域での日米の戦いにおいては、物量に勝る米軍がより有効に潜水艦を用いて、日本の一般商船を含む全喪失艦船トン数の半分を米潜水艦部隊によって沈められている。日本はまさに潜水艦によって飢え衰えたのである。

この時の教訓が自衛隊をして最強の対潜部隊に育て上げた要因であろう。

 

潜水艦とよく似た性格の部隊が機雷戦部隊である。機雷とは海の地雷であるが、その姿、効果などは全く違う。

うわじま型掃海艇
海上自衛隊の掃海戦力は世界最高峰

機雷はそれ自体が無人潜水艦と言えるほどの兵器なので、その性能などは各国でも最高機密になっており、まともな写真すらほとんどない。元々はおもりをつけて沈めた触発信管付きの爆雷(海に落とす爆弾)で、一定の深度に沈められ、そこを船が通って触れると爆発する。威力は昔から強力で、一発で戦艦すら撃沈させる。

機雷
繋留型機雷は昔からある機雷だが年々高性能化し、除去は難しい。

そして現在では、機雷それ自体がセンサーを有し、常にあたり一帯を監視して、敵の偽装を見抜き、本当の目標を探知した時には離れたところでも自走し、自動的に追尾して撃破する。基本的に潜水艦が装備する魚雷の発展形であるが、魚雷そのものが高度に進歩しているので、機雷を設置することは、そこに潜水艦を配備するのと同じ効果があると言える。

機雷戦部隊は別名「掃海部隊」ともいい、設置された機雷を除去して無力化するのが主な任務である。これは設置に比べ、除去・無力化する方がはるかに難しいからほぼそれに注力しているのである。

掃海に関してはここでは触れないが、実際のところ掃海能力がなければ機雷戦を有利に戦うことは難しく、この分野においても日本は世界最高峰の能力を持っている。

 

機雷の設置は潜水艦でも可能で、通常、魚雷の代わりに機雷を搭載できる。機雷は魚雷と同様のサイズに作られていて、魚雷発射管から発射し、その後自動的に目標地点に移動し、指定した時間後に作動する。

最新の機雷は敵味方識別も可能で、暗号化された通信で指示も受けることが出来る。魚雷と同程度なら射程は10キロメートル近くになるが、実際は目標の音響信号を正確にとらえて識別する必要があるので、設置点から数キロ程度が有効範囲であろう。センサーはアクティブ・パッシブソナーを備え、信号受信用のアンテナブイを持っている場合もあるだろう。後々の掃海のために自己無効化機能を備えているだろう。

このように高性能な機雷は、いったん、戦闘海域に設置されると除去は不可能で、定点防御に関しては潜水艦より有効である。

仮に、潜水艦の搭載魚雷(約20発)のうち10発を機雷にして、敵領海内航路の浅い部分に設置し、少し深さのあるところで潜んでいれば残りの10発で計10万トン程度の商戦を沈めることはたやすい。近くに護衛艦がいて発見の恐れがある場合は、発見した目標に関しての情報をステルスビーコン(情報送信のために少し離れたところまで進んでから浮上し、メッセージを送信する。海中から直接電波通信することは難しい)を使って連絡するだけで良い。後ははるか遠くに待機している味方艦船より対艦ミサイルを撃って沈める。

1隻の潜水艦が航路に潜むだけでいかに危険であるかを考えたとき、領海内で潜航していれば、それが即戦争行為とみなして対処するのは正しい。昔はアクティブソナーの代わりに爆雷を使っていたが、領海内に敵性潜水艦がいれば爆雷を至近に落として警告してもそれは正しい。

但し、現政権がそれらを「集団的自衛権」(なんじゃこりゃ)に絡めて言及するのはおかしい。

 

詳しい数字は述べないが、日本は機雷戦・掃海戦力に関しても中国に対して優勢である。実戦経験も豊富で訓練密度も高度である。

ペルシャ湾で行った掃海任務こそが自衛隊で唯一経験した海外実戦戦闘任務である。日本近海では戦後長くにわたり、第二次大戦当時の米軍の機雷掃海を続けていた。

 

 

どうであろう、もし日中が戦争するならこの戦力を使わなければ馬鹿だ。それほど有用で相手にとって脅威になる戦力を優勢に維持してきたのだから、今後もこれを強化し、中国への抑止力とするのが最高の策であろう。

潜水艦の場合、優勢を維持するのに多数は必要ない。一定数あれば良い。(少なすぎれば効果ない)現在の目標の22隻で良いだろう。一番必要なのは戦闘システムの改良・開発と推進システムの改良である。

推進システムとはエンジンやモーター、電池のことで、原子力を使えばすべて解決する。無限の航続力と潜水期間は潜水艦を最強の存在にする。事実、日米の共同訓練においても、1隻の原子力潜水艦を追跡することがいかに難しいか、24時間追跡しただけでその後の自慢話になることから分かる。

原子力潜水艦は一度潜航すると6か月間(乗員の食糧が必要なため)浮上する必要がなく、シュノーケルもなにも必要ない。しかも、原子力では常に最高速度で航行でき、潜水艦には造波抵抗が生じないので騒音の問題さえなければ時速40ノットも可能で水上艦艇よりずっと速い。仮に、同程度の静粛性のまま速度が3倍になると探索範囲は9倍になるので、性能は9倍アップしているといえる。

 

日本は大きな原発事故を起こし、今後、かつてのようにたくさんの原発を運転することは出来ないだろう、それが原子力技術の継承にダメージになるというなら、潜水艦の動力源として使うことで新たな技術力向上につながるではないか。

 

しかしながら、それをすぐに行うは難しいであろう。

その代わりの手段として充電池システムを高容量のリチウムイオン電池に変えることである。

現在この電池は以前の鉛蓄電池より非常に高価であるが、先に述べた速度との関係で分かるように、電池容量は航行能力の増加に、航行能力は潜水艦の性能に直結している。それゆえ、もしリチウムイオン電池の搭載によって価格が3倍になったとしても航行能力が倍程度向上すれば十分元がとれる。

実際、リチウムイオン電池は鉛蓄電池やニッカド電池にくらべ容積当たりのエネルギーで2~5倍程度あり、これはほぼそのまま航行性能に直結する。

コストは、kwhあたり4倍程度であるが、船価のすべてが電池ではないので、船価全体では2倍程度までに収まると思われる。

現在最新鋭艦のそうりゅう型は1隻500億円なので、リチウムイオン搭載型は1000億円程度か。イージス艦が1500億円程度なのでイージス艦を1隻我慢すればこの潜水艦とおつりが500億円か、十分元が取れる。

イージス艦よりもひゅうが型のような中途半端な大型艦や海上保安庁の巡視船しきしま級のような無駄な出費を抑えれば、より現実的な選択になる。

中国のように目立つ空母型艦船を増強するのではなく、かつてのソビエトやドイツのように、潜水艦大国を目指すべきなのだ。

はっきり言って、弾道弾防衛のためのイージス艦なんて必要ない。

北朝鮮のノドン型ミサイルのみ限定で、米軍の早期警戒情報たのみで、迎撃確率も中途半端な迎撃システムなんて後回しで十分だ。現在の中国のICBMには全く効果がないのだから、無理に装備する必要はないのだ。開発は今後必要なので行うべきだ。将来、弾道弾を迎撃可能になれば、日本はロシアや中国などの核大国の脅威から解放されるからだ。

 

弾道弾迎撃システムの装備や中途半端なヘリ空母の装備をやめればリチウムイオン電池装備艦は十分可能。さらに僻地防衛のために貼り付け部隊を置くことや性能の変わらない戦車を開発し3種類も配備するのも無駄だ。

本当に日本の防衛を考えたとき、緊急に必要なものは何か検討すればすぐに答えは出るだろう。

 

以前より必要性が減った装備、

  • 主力戦車
  • MLRS(クラスター爆弾禁止条約に加盟したので使えない)
  • AAAV-7水陸両用装甲車
  • AH-64アパッチ(数が少なすぎて使えない、実戦部隊に配備できるのは4機程度)
  • ひゅうが型護衛艦(護衛されるほうなのに重武装、戦闘に巻き込まれた時点で負けている)
  • 陸自配備の長距離対艦ミサイル(陸自は空自や海自からの情報を共有してないので射距離がいくら長くても狙えない)
  • F-35ライトニング(開発のめどがたっていない、艦上機と共用部分を作ろうとして無駄な要素が多い。)

以前より必要性が増した装備

  • 潜水艦(原子力潜水艦)
  • 輸送艦(ヘリ輸送可能な甲板のある高速の輸送艦、揚陸艦でなくて良い)
  • 無人偵察機(戦略・戦術偵察用)
  • オスプレイV-22

 

このように、中途半端に残すより、ばっさり切った方が、より有用な兵器を新たに装備できるのだ。

また、変に改造した国際協力用の装備はやめた方が良い。現在の日本・自衛隊にはイラクやアフガンのような一般市民と区別できない敵と長期間居座って戦うメリットはない。彼の地ではっきりしない正義のために戦争できるような余裕はないだろう?目の前に中国という強敵がいるのに。

そして、本当に必要な際には変に改造した装甲車でなく、MBTを投入すべきだ。MLRSの荷台に装甲キャビンを置けばそれも結構使えるかも。

オスプレイは僻地に駐屯地を作って無駄な死に駒を配備するより部下思いだ。沖縄の普天間では問題があっても、本土に配備する分には文句はないだろう。

 

これらの思考の変化によって、自衛隊はより実戦的で使い勝手の良い軍隊へ進化するだろう。しかも、追加予算は不要で、国内の兵器開発・生産関連企業にも利点が多く、何らの国内法規変更の必要もないのだ。

 

 

日本の現在の軍事的脅威の変化は中国のみであり、以前よりずっと対処しやすい。朝鮮半島での戦争などに巻き込まれるような事態を考慮しなくてよいからだ(今なら韓国軍が独力で対処できる)。米国と中国が戦争して、日本が援助しなくてならないようにもならない。米軍はいまだ世界最強で核超大国だからだ。つまり、日本は、正面装備においては、中国が日本の南西域で軍事侵攻する場合だけを考えれば良いので、その準備はたやすい。

現在の日本人の多くと為政者は変化のみに目を囚われ、脅威の本質が見えていない。本質を見なくては戦争には勝てないのに。

 

中国は日本から海で隔てられ、強力な同盟国はない。共産主義政権でありながら資本主義経済の先頭に立つという大きな矛盾をかかえ、周辺には潜在的な敵対国が多い(台湾・ベトナム・インド・ロシア)

良く、守る敵に勝つには3倍の兵力が必要と言われるが、日本の場合、国土を囲む海が最大の防壁になってくれる。

国民は総じて平和的で安定している。

技術レベルは高く、米国という強力な同盟国がある。

さて、これで戦略的に有利なのはどちらであろうか?自明である。

そして、この結論が導けない者は愚かであろう。

ロシアにとってのウクライナ、クリミア半島軍事侵攻

現在、ウクライナ、クリミア半島の情勢が緊迫しています。

欧米各国、日本はロシアのクリミア半島への事実上の軍事侵攻に批判を寄せています。

しかしながら、そもそもの原因から考察すると、ウクライナの政変に欧米が不用意に干渉したことが、今回の軍事侵攻を引き起こしたと言えるでしょう。

かつて、バランス・オブ・パワーというゲームがありました。
冷戦時代の世界を世界大戦になるのを防ぎながら自陣営の勢力圏を広げていくという、実際の米ソの冷戦そのものを扱ったゲームでした。

このゲームを最高難度で挑戦するのは非常に大変で、通常のゲームスキルではクリア不可能とさえ言われていました。
これを、クリアするコツは、相手陣営(ソ連側)の勢力圏に手を出さないことでした。
チェコやハンガリーで動乱があっても反体制運動を援助するなどせず、自陣営を守ることに徹するのです。時に、相手が自陣営側にちょっかいを出した際に、それに厳しく報復することで自国の威信を高めるのです。

今回のウクライナの件は、かつての国際情勢分析で言えば簡単なケースだったはずです。
即ち、ウクライナに対しては暗黙にロシアの影響を認めるということです。
中国にとっての北朝鮮、アメリカ合衆国にとってのキューバと同じことです。
世界の大国にとって自国の勢力圏と思っている、センシティブな地域を自分側に引き入れたり、そこへ侵攻したりするのは非常に危険で、常に戦争の危険をはらんでいるのです。
一歩間違えば核戦争の可能性があります。

クリミア半島はかつてよりロシア南部、黒海周辺での要衝でした。
独ソ戦では独軍の南部方面の軍はここを攻略しなければ先へ進むのが困難だった。半島で守りやすく、黒海を経て海軍も行動可能で、陸にも海にもにらみを利かすことのできる地であった。
現在でも、黒海は地勢的な安定のために、ボスポラス海峡を空母は通過できないなどの国際的な取り決めがあり、緊張を起こさないように配慮しているはずだった。

クリミア半島の要塞をめぐる第二次大戦の独ソの戦い。世界最大の自走砲カールも投入
クリミア半島の要塞をめぐる第二次大戦の独ソの戦い。世界最大の自走砲カールも投入

ロシアと英国・トルコ同盟軍が戦ったクリミア戦争当時には、黒海にも英国の覇権が及び、黒海は長く小アジアの帝国、つまりトルコの支配下にあった。
しかし、ロシアは広大な領域をもって、一貫して勢力を伸ばし、この地域は常にロシアの南下の対象となってきた。
ソ連崩壊後も、この地域のロシアの影響力は変わらず、黒海・カスピ海周辺国家への、躊躇のない干渉などを見ると、イデオロギーに関わらず、ロシアが南方への勢力拡大に不変の欲求を持っているように考えられる。

近々の状況では、確かに、ウクライナの旧政権は人権問題などがありましたが、反体制側を支援して、政権を倒した後、同盟国(自陣営)にするなど、とんでもなく無謀です。
戦争の危険を冒してまで政変を支援する必要があったでしょうか?
欧米は、中東の王政国家やイスラエルに対するときと同じように慎重に行動すべきでした。

今回の、ウクライナの政変からクリミアへの侵攻までの経過を見ると、当初、ロシアは非常に控えめな行動をとっていた。オリンピックを挟んでいたこともあるでしょうが、ウクライナで旧政権が倒れてもしょうがないと思っていたのではないでしょうか。
旧政権ヤヌコーヴィチ大統領をウクライナに留め、ロシア軍の勢力下で保護すれば、いくら軍と警察が反旗を翻しても政権は倒れないだろうし、新政権側に影響を与える方策もいくらでもあったでしょう。
それなのに、欧米は、実際に総選挙も行っていない、暫定の政権を承認し、各種の経済援助やEU加盟を約束した。あからさまで、ロシアへの配慮は全くなかった。

そもそも、自陣営に引き入れる明確な態度を示さなくても政変は起こったであろうし、欧米にとって友好的な政権は樹立したであろうと思われます。
ウクライナでは民主的な変革の経験があり、かつ軍部の力は東西(NATOとロシア)の力関係から制限されていた。ロシア寄りの政権が長く続けば、次は欧米寄りの政権、次の選挙ではまた別の政権といったように、民主国家らしい政権交代が出来たであろうと思います。
大規模なデモや過激な勢力間で闘争があっても内乱になる危険性が少ない国だった。
まして、EUとNATOは、以前、ウクライナの加盟を検討した際に、ウクライナを自陣営に入れるのは時期尚早と判断したはず。

もし、欧米が本気でウクライナを勢力圏に引き込みたいなら、ロシアより先に軍事行動を起こすべきだった。そうしなければウクライナを保護することなど不可能だからだ。

  • 黒海に艦隊を派遣し
  • 空母を地中海に増派し、

    地中海域で活動している米海軍、第六艦隊。
    地中海域で活動している米海軍、第六艦隊。
  • ポーランド・ウクライナ国境で大規模な演習を行うべきだった。

    ポーランドはNATOの最前線である
    ポーランドはNATOの最前線である
  • バルト三国にNATO軍を増派すべきでした。

ここまでしなければ、今回のクリミアへの侵攻を食い止められなかったでしょう。

もし、この提案をすれば、鈍感な欧米首脳でも戦争の可能性に気付くでしょう。
しかしながら、今回欧米が行ったのは、軍事行動を伴わず、同程度の挑発を行ったことでした。

NATO・EUの東方への拡大、ロシアの孤立は核大国のロシアの力を形骸化するための理想ですが、世界を滅ぼす力を持つ国に対するにはよほど慎重でなければなりません。

既に欧米首脳は自分たちの対応の失敗を自覚しているでしょう。今後は、その失敗を忘れず、ロシアを追い詰めないよう、ほどほどの制裁に留め、ロシアが再び協調関係に戻れるような道を残しておくことです。
ウクライナの新政権も右派を排除し、ある程度ロシアの影響を認めるように方向修正が必要だし、それは欧米各国の意思によって可能です。

また、騒乱が長引くと過激派勢力が目をつけ侵入してくるので、欧米・ロシア共に、ウクライナ国内の騒乱状態を出来るだけ早く収め、治安を回復し、総選挙を行うことが必要です。これに関しては、新政権下であってもロシアは協力する方が利益になるし、ここで両者が譲歩できる場面も出てくるはず。

少なくとも、ヨーロッパだけでも平和であってほしいものです。

自衛隊と中国軍、もし戦争したら?

昨今、中国の軍事的膨張が話題になるが、その中で、日本と中国の海軍の状況を検討して見ようと思う。

まず、結論を述べると、現在、まだ、中国海軍が海上自衛隊の致命的な脅威にはなっていない。

中国が尖閣諸島のような日本の領海の端っこであっても、持続的に制海権を確立することは難しい。

中国軍の現在の能力では、沿岸から対空ミサイルや戦闘機、地上発射型対艦ミサイルの有効圏でなければ自由な行動は出来ないだろう。

これは、逆に言うと、海上自衛隊とその同盟国のアメリカ合衆国海軍の能力が圧倒的に高いということである。

地勢的に言うと、中国も、ロシアほどではないが、太平洋への出口を韓国、日本、台湾に囲まれている。

脅威は減ったとは言え、長い国境でロシアやインドなどと接しているのも不利である。

日本にとっての米国のような信頼できる同盟国が無い。

独自外交の不利な面である

艦船では、
潜水艦、機雷戦能力、防空能力が不十分で、日米の海軍にまともにぶつかることは出来ない。

空母1隻を用意したところで、沿岸から離れた、例えば沖縄近海で、潜水艦や対艦ミサイル、航空機の攻撃を防ぎつつ作戦出来ない。

一方、注意すべきは
戦略原潜、攻撃原潜、潜水艦である。

現在のところ、遠洋域へ脱出した原潜を補足したり、ペルシャ湾まで往来する商船・タンカーを中国海軍原潜から守る手段を日本は保有しない。

戦略原潜は、搭載する弾道ミサイルの射程が短いので、米国にとってまだ脅威は少ないが、
日本にとっては致命的な脅威である。

これがある限り、日本が中国の死線を制するような攻撃をすることは出来ないということである。

即ち、中国の沿岸を封鎖して、無制限の潜水艦戦を行うとか、台湾へ軍隊を送るとかは、中国の核戦力を封じる手段がないと不可能。

また通常動力潜水艦も増勢しており、性能もType039「元型」やロシアのキロ級が
合わせて20隻以上あり、かなりの脅威である。

沖縄と、石垣島と尖閣諸島を結ぶ線の周りを防衛することは可能だが、戦域が広がると、
現在の護衛艦の数、40隻程度では対応が難しくなる。

sino defence 参照

新しいDDHでも、その数が4隻程度では絶対的な海域の安全は確立できない。

出来れば原潜を装備すべきだろう。

両国が本当にアホで、戦争する場合は、以下のシナリオが考えられる。
単に興味本位のネタだが、

尖閣諸島での中国民間人の侵入を海自が防衛出動で応え、
中国軍がその保護を名目に尖閣諸島を占領、

中国軍が戦争の拡大を否定し、核兵器の使用も検討したので、米国は介入を留まる。

海自は、尖閣諸島周辺を封鎖して、潜水艦と機雷戦艦艇をイージス艦とF-15の支援を受けつつ投入。

尖閣諸島は沖縄から400kmくらい、石垣島から200km弱、
台湾からも200km程度で、中国本土沿岸からは400km位、

つまり沖縄と中国からはほぼ同距離である。

石垣各島に飛行場があり、そこに展開できるのも日本が有利。

また、沖縄からもF-15が作戦可能だが、
長期の戦闘機の滞空は難しい。
450海里の戦闘行動半径を持つF-2も対艦攻撃任務であれば十分行える

これは中国も同じだが、早期警戒機と給油機を持たないことが致命的な弱点となる。

航空自衛隊と海上自衛隊の連携、協力がカギとなる。

特に早期警戒機とイージス艦が協同で対空監視・警戒が出来れば、現状の中国軍ではそれを突破することは難しいであろう。

有力なカタパルトを持たず、艦上機としても能力不足のSu-27を運用する程度の中国軍の空母も、ここでは有効な働きは出来ないであろう。

逆に、のこのこ戦闘海域に出てくれば、潜水艦や攻撃機の格好の標的となり、
十分な対空防御能力の無い中国護衛艦では空母を守りきれないであろう。

さらに、
この場合、中国は尖閣諸島に兵力を注入し続ける必要があるので、
兵力を日本の封鎖線内に侵入させなければならない。

このパターンでは、中国の原潜も補足しやすくなる。

接近海域での海峡(と言っても島と島の間なのでとても長い)に機雷を敷設して、潜水艦を待機させればよいからだ。

但し、外洋作戦では、インド洋、ペルシャ湾へ続く航路を、互いに十分に防衛は出来ないので、そこまで拡大しないだろう。

もし行えば、互いに消耗戦となるだろう、

原潜を有する中国は、遠洋域でも作戦可能なので、潜水艦を派遣できない海上自衛隊より攻撃力があるが、
究極のところ、日本は太平洋側に開けた航路があるので、中国の方が不利である。

例え、原潜であっても、単独では、実戦下で何か月も作戦することは出来ないからだ。
必ず、補給など支援が必要なので、そこを日本軍が突けば原潜の行動を制限できる。

太平洋全域を戦場に出来ないことは、太平洋への進出が、未だ、中国海軍の「夢」であることからも明白。
米軍を相手にすると勝てない。

結局、中国はたとえ小さな尖閣諸島でも、そこを日本海軍を相手に実効維持出来ない。
補給が続かず、撤退することになる。

勿論、日本にも遠征戦闘の能力が低いので、日本も尖閣諸島を長期に占領できないが、
すでに実効支配が確立しているので、両方が占領できなければ日本の戦略的勝利と言える。

戦争が拡大した場合、核戦力を使った場合はまったく違う展開になるが、
日本にとって、米国との同盟が極めて重要なことは明白であり、

もし中国と戦争する気なら(もしくは中国にその気があるなら)、沖縄への展開能力の向上は必須となる。

例え、兵力そのものを分散するにしても、戦時に、沖縄が1万人以上の米海兵隊を受け入れ、展開可能なら、
中国は尖閣だけでなく、台湾も守らないといけないが、さすがに、1万人の上陸戦兵力を防ぐことは大変である。

問題は、この機会に、中国軍が台湾への侵攻を図る場合だ。

台湾海峡は距離が130km強で、遠距離での強襲能力を持たない中国軍であってもギリギリ上陸可能である。

また、実際に中国はそのために、台湾海峡沿岸部に、台湾までを有効射程に収める対地ミサイル、対空ミサイル、対艦ミサイルを配備しており、
例え米機動部隊でもおいそれとは近づくことは出来ない。

中国の言う、第一列島線以内の確保は有効になりつつある。

これに対するは、海峡を機雷で封鎖して、潜水艦で補給線を攻撃するのが最も効果的であるが、
現在、台湾は有効な潜水艦と機雷戦能力を有していない、
さらに、対空ミサイル、戦闘機も、中国本土との経済関係を重視する欧米の方針でほとんど更新されていない。

台湾の防衛能力は相対的に低下しているのである。

台湾自身が実質的に資本主義イデオロギーの固守を放棄して、中国の経済進出を受け入れているので、
将来、中国が台湾へ軍事侵攻しても米国や日本はそれを黙認する可能性がある。

まあ、元々同じ国だったのだから、ドイツと同じように併合されることになってもしょうがないとも考える。

話が台湾まで及んだが、とにかく、
現状では、日本の軍事的防衛には米国との同盟が不可欠であり、その具体的な礎は沖縄に駐留する膨大な米軍なのだ。

米国にとって、これだけ強大な戦力を海外で展開できるのは、今や日本だけであり、沖縄は世界最大の米軍海外基地なのだ。
(すでに欧州にはそんな基地はなく、イラクやアフガニスタンは戦争のために派遣されている)
沖縄の米軍を減らすためには、日本周辺国との戦略的外交や軍事的役割の引き継ぎ、つまり軍拡が必要になる。

尖閣諸島のような小さな島に両国が固執しなくても良い関係を築くとともに、
どんなことをしても、日本の実効支配域の島に手を出すのは不可能だと思わせる戦力を用意すれば、
日本にとっては駐留する米軍の価値は下がり、兵力の削減を求めることが出来るようになるのだ。

福島原発事故があったので、当面原潜の装備は難しいが、
逆に、科学技術の総力を挙げて、蓄電池や燃料電池などの性能をアップさせ、自動化した機雷戦システムなどを構築し、
空自・海自(ついでに陸自)の共同交戦能力、即ち情報システムの共通化を図ることが、
経済的な効果もある、国家の大計になるのではないだろうか。

それが出来ないから、沖縄に負担を押し付ける結果になっている。