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北朝鮮のSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)は脅威になるか

またまた北朝鮮の醜い独裁者が何やら言っている。

北朝鮮のミサイル水中発射テストとキム主席
北朝鮮のミサイル水中発射テストとキム主席

この人、不細工すぎる。

先日、北朝鮮が潜水艦から弾道ミサイルの発射に成功したと、写真付きで発表した。確かに海からミサイルが発射されており、何らかの水中発射に挑戦したのは確かだろう。
核抑止力としては最強の手段を手に入れたことになるが、これは本当だろうか、日本にとって脅威になるだろうか。

結論から言えば、SLBMとしては脅威になりません。

弾道ミサイルとは地球の大気圏えるような高い高度へ打ち上げられ、弾道軌道を描きながら長距離を飛ぶミサイルのこと。
低い高度を力ずくで飛ばすよりも、空気の抵抗の無い大気圏外を飛ぶ方が速く、より少ない燃料で長い距離を飛行できる。人工衛星の打ち上げに似ている。

地球上での弾道飛行体は落下時に加速し続ける。燃料を燃やして加速するのは弾道軌道に入るまでで、最高高度到達時には燃料はなくなっている。目標への最終到達時はマッハ20以上の速度で突入し、現在のところ弾道ミサイルを迎撃することは難しい。日米が開発している弾道弾迎撃システムが唯一の存在である。

弾道ミサイルには、その射程や発射装置によっていくつかの種類がある。

  • 大陸間弾道ミサイル(ICBM) 射程約6,400km
  • 中距離弾道ミサイル(IRBM) 射程2,000-6,000km程度
  • 準中距離弾道ミサイル(MRBM) 射程800-1,600km(500-1000マイル)程度
  • 短距離弾道ミサイル(SRBM) 射程約800km(500マイル)以下
  • 潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM) 射程によらず潜水艦から発射されるもの
  • 空中発射弾道ミサイル (ALBM) 射程によらず航空機から発射されるもの

以上の分類は厳密ではない。
主に米ソ冷戦期に、脅威への対処方法のための分類である。例えば、ICBMの射程はソ連本土から米国本土へ到達できる射程ということで定められた距離である。

この中で、目下もっとも有効なミサイルはSLBMで、発射体が潜水艦で発見が困難で、移動し、場合によっては目標のすぐ近くから発射するために迎撃が不可能に近い。

世界のSLBM。性能の良いものは全長10mで射程6000KM
世界のSLBM。性能の良いものは全長10mで射程6000KM

実際に、米軍にとってのSLBM対処策は報復核攻撃が最も有効と考えられている。一度発射されると迎撃は難しいので、発射母体である潜水艦を常時監視し、核戦争が想定される際にはすぐに潜水艦を撃破することを考えている。
ロシア海軍タイフーン級戦略原子力潜水艦 搭載ミサイルの大きさもあいまって、世界最大の潜水艦
ロシア海軍タイフーン級戦略原子力潜水艦 搭載ミサイルの大きさもあいまって、世界最大の潜水艦

ソ連は戦略原子力潜水艦を多量に配備していたが、米海軍の潜水艦からの追跡を逃れるために、ついには、自らの裏庭にあたる北極海でパトロールさせるようになった。タイフーン級戦略原子力潜水艦は凍結している北極海から、氷を割ってミサイルを発射することを考慮して設計された世界最大の潜水艦で、司令塔などの上部構造が強化されている。
逆に言えば、いかに米国が執拗にソ連原潜を追っていたかがうかがえる。

本来、SLBMは戦略原子力潜水艦によって運用されるが、米ソとも、本格的戦略原子力潜水艦の運用前に通常動力の核ミサイル搭載艦をテストに使ったりしていた。戦略原子力潜水艦は開発するだけでも非常に難しく、実運用するためにはとてつもないコストがかかる。
経済の好調な中国でさえ、本格的な戦略原子力潜水艦による戦略パトロール(核ミサイルを搭載して出撃すること)は実現していない。

北朝鮮の場合、原子力潜水艦そのものは開発できていないし、当面開発は無理であろう。
通常型の潜水艦についても、本格的な航洋型の潜水艦は自国開発できていない。輸入したロメオ型などソ連の古い潜水艦は保有し、運用していると思われる。
そもそも、北朝鮮が領海を越えて潜水艦を行動させるのは極めて難しい。隣の韓国は常時臨戦態勢で国境を陸海の別なく警戒しており。日本海では海上自衛隊が厳重に哨戒している。ロメオ級程度の性能の潜水艦がこの哨戒網を突破することは不可能だろう。中国が自国領海を通過させない限り、北朝鮮は外洋へ潜水艦を進出させることは出来ない。中国はそれをさせないだろう。潜航している潜水艦はどこの国のものか分からないので、中国領海から出てきた潜水艦が北朝鮮の艦であっても、それが何がしかの戦争行為を行えば中国にも責任が及ぶからだ。
しかし、ソ連が北極海でそうしたように、潜水艦から弾道ミサイルを発射するだけなら、なにも、領海外へ出る必要はない。自国沿岸の守られた領域に潜って潜んでいればいいのだ。北朝鮮の目標が韓国と日本ならそれで十分だ。

では、北朝鮮が通常型潜水艦での弾道ミサイル発射を目指しているなら、それは可能だろうか。

ゴルフ級通常動力潜水艦
ゴルフ級通常動力潜水艦

否である。現在、潜水艦発射弾道ミサイルを開発運用できる国はアメリカ合衆国、ロシア、フランス、中国だけである。このうち中国は、実際のところはまだテスト運用といったところか。中国の核ミサイルの目標は米国だが、米本土のすべてに到達できるようなSLBMは開発できていない。ロシアも固形燃料SLBMブラヴァの開発に苦労した。潜水艦に収納可能で、水中発射ができて、かつ長距離を飛行可能な弾道ミサイルの開発は難しいのだ。先に述べたソ連のタイフーン級原子力潜水艦が大きくなったのは、搭載ミサイルが液体燃料方式で巨大だったからだ。
北朝鮮が巨大な潜水艦を開発出来るとは思えないので、搭載する潜水艦の貧弱さ、ロケット技術の未熟さゆえにSLBMを実用化することは出来ないだろう。
北朝鮮のノドンミサイルは液体燃料方式で、燃料には腐食性があり、ミサイル内に注入したまま長時間保存できない。つまり、発射に際して燃料をタンクからミサイル内に移す必要がある。ミサイルの全長は16mで射程は1000km~2000km、このように大きなミサイルを全幅7m弱の潜水艦に搭載することは難しい。米国のトライデントやロシアのR-30ブラヴァなどは全高12m程だが、それを搭載する潜水艦は、米海軍オハイオ級で全幅12.8m、吃水11.1m、ロシアのボレイ級で全幅13.5mと巨大である。どの戦略原子力潜水艦も排水量は1万トン以上で、そもそも大型の潜水艦を建造する技術がなければ、SLBMを搭載することすらできない。
R-27弾道ミサイル
R-27弾道ミサイル

北朝鮮がソ連から導入したR-27弾道ミサイルは比較的小型だが、これとて、高さ10m以上の発射船体殻を持つ潜水艦が必要で、北朝鮮の潜水艦で改造が可能な潜水艦はゴルフ級だけだが、完成された形で手に入れていないので、発射装置などは独自開発する必要がある。
水中からの発射では、ミサイルを安全に発射するための装置、水が潜水艦発射管内に侵入しにくい加圧装置、ミサイルが水面に出てから作動する信管などを開発する必要がある。
潜水艦は大型になり、ミサイル発射管のために騒音が出やすい。通常運用が可能なレベルの大型潜水艦を開発しなければならない。ゴルフ級と同じものでは、100%機能しても、今の日米韓の対潜哨戒網の中で運用するのは難しい。

これまでの考察で北朝鮮の発表した水中からのミサイル発射写真がSLBMのまがいのものだと分かる。

北朝鮮にとっては、ミサイルを山の坑道内サイロから発射するのと同じような位置づけではないだろうか。
単に、ミサイルサイロが海にあるだけでも発見しにくいので、ある程度動けるレベルの潜水発射装置を沿岸から運用するのであれば、北朝鮮の技術力でも可能だと思われる。

しかし、戦略的効果を考えると、変に大型で動きの悪い弾道ミサイル発射可能潜水艦より、普通の小型潜水艦を配備運用する方が、コストが安く効果的なので、いきなりSLBMを開発しようとするのは無謀だと言うしかない。おそらく北朝鮮もそこまでは考えていないと思われる。
当面、SLBMの脅威はないが、弾道ミサイルははっきりと見えている地上でも探知。迎撃が難しく、北朝鮮が今後も核開発を進めるなら、日本独自の敵策源地攻撃能力を持つことが非常に重要になってくる。ABMの不確実性を考えると、発射態勢に入った地上と海上のサイロを素早く攻撃するだけの能力は必要だし、それは今の法制度内で可能。技術的にも可能。トマホークを導入し改良するか、SSM2などの対艦ミサイルを長距離巡航ミサイルに改造すれば良いだろう。

ABMを発射する海上自衛隊の護衛艦。 VLSに巡航ミサイルを搭載することはたやすい。
ABMを発射する海上自衛隊の護衛艦。 VLSに巡航ミサイルを搭載することはたやすい。

北朝鮮の核兵器は能力から考えて、それは日本と韓国を目標としている。閉鎖的な独裁国家で軍事膨張を続ける国が核武装することは、イランの核武装よりずっと危険だろう。日本の通常兵器での攻撃を中国が止める能力を持たない今こそが、ある意味、一番のチャンスではないだろうか。

日本政府、安倍自民党は自分の理屈のを法律にして喜んでいるが、日本は少しも強くなっていません。
細かい法整備よりも、責任感と決断力。そして法制度は憲法論議から始めるのが政治家たるものの本懐であろう。
憲法に殉じてあえて攻撃しないのも日本の生き方であろう。国民の命も大切だが、国民と国家の信念も大切だと思うからだ。

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【戦略-北朝鮮】北朝鮮の戦略ミサイル基地への攻撃

【戦略-北朝鮮】北朝鮮の戦略ミサイル基地への攻撃

ホットなネタに挑戦である。
 
数日前に北朝鮮は人工衛星の打ち上げとして、弾道ロケットを発射した。
これに関して日本(政府だけ?)はあれやこれやと騒動した。結局なんらこじれることなく推移してひとまず落ち着いたようだ。
 
この北朝鮮の弾道ロケット(弾道ミサイルも同じ)の脅威に関して、予防的に基地を先制攻撃すべきとの議論があるようだ。
中には、「ひとの顔を土足でまたぐな もう一つの敵基地攻撃論」(産経新聞)のようにバカが煽り立てるような記事を書く記者もいる。
この記者は余り知識も無く、現実的な考察も行っていないので何の参考にはならないが、民主党の国会議員の前原誠司が案外まともな論議をかつてしていた。
冷静で政治的な損得も考えた議論で、基本的な趣旨はこれで十分だろう。
それにしても、国会議員より記者の方がアホなのはどういうこと、これだからまともなインタビューもできないんだな困った
 
さて、軍事的側面から少し考察すると、自衛隊に北朝鮮の基地を攻撃する能力はない。
また、それが出来る能力を整備するには、米国の了解が必要である。
情報収集能力(どこをどのタイミングで攻撃するか)、攻撃支援プラットフォーム(GPS衛星など)の点で米国から完全に独立した攻撃能力を整備することは難しいからだ。
政治的にも、近隣のロシア・中国がこれらの軍事力整備に反対することは確実なので、米国だけでも味方につけないと、能力を持っても使えるタイミングがない。
 
そして、もし、今回の発射においてこれらの問題を解決して、その能力を有していた場合、それを行使すべきだったか?
それは否である。
なぜなら、今回は北朝鮮が先に言及したように、「人工衛星」としてのロケットで、予告してからの発射であり、ほとんど日本への攻撃可能性は無かったからだ。
これに関しても米国からの情報によるものだろうが、このロケット基地以外でも軍事行動が無く、ロケットも1発だけなら、まともな軍事攻撃は出来ないからだ。
そもそも弾道ミサイルなんて軍事的にはそれほどの脅威ではないので、ここまで攻撃意思がなく、小規模なら、人的犠牲もあり、相手に口実を与える先制攻撃は価値がないだろう。
もし、これを行うなら、核爆発実験を行った直後に行うべきだろう。今回はそれほどのインパクトは無い。
 
弾道ミサイル防衛も同じだが、現在の日本で、先制攻撃能力の整備をそれほど急ぐ必要は無い。それよりも、原子力潜水艦と戦略機動力をもった緊急展開部隊を先に整備すべきだろう。
日本の経済力はそれほど元気ではなく、政治的には税制・財政問題の方が国にとって脅威であり、そこで、何兆円も必要な、あまり効果の無い軍事力を整備してもしょうがない。
ただし、弾道弾の迎撃より、先制攻撃能力の方が安く整備できる。それほど弾道ミサイルは迎撃が難しいのだ。