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本当になってしまいました。F-2後継機 自国開発へ

F-2後継機 国内開発へ

◆航空自衛隊のF-2後継機の国内開発の方針が決まった。

F-2戦闘機
F-2戦闘機

F-2後継機と言っても、実際にF-2が古くなって交代させるのではない。自衛隊は日本のお役所らしく、「これが古くなって使えないから新しいのを買って」という原則を守っているだけ、
本当は、隣接軍事大国の空軍装備が強化、最新化しているので、それに対抗し凌駕する戦闘機を配備運用しなければ日本の防空能力を損なってしまうので、どの機体の後継でなくても、結局のところ必要になるのである。

でも、つい最近、ロッキードF-35を買い始めたばかりじゃないの?

F-35Lightning2
F-35Lightning2

と素朴な疑問を持つのは当然である。
その疑問に対する、自衛隊の答えが上の「後継機」という回答なのだ。

◆F-2の代替え

現在、航空自衛隊は3機種の戦闘機を配備運用している。
古い順から
F-4 ファントム F-4EJ改

F-4EJファントム改
F-4EJファントム改

F-15 イーグル F-15J(一部改)

F-15Jイーグル
F-15Jイーグル

F-2 (国産機)

F-2
F-2

でさらに、
F-35 ライトニング2

F-35J
F-35J

も配備し始めている。

空自では上の各戦闘機の役割を
F-4は全般の支援用
F-15は制空戦闘機、敵の航空機の侵入を防ぐ
F-2は対地攻撃用
と分担させているように言っているが、
実は、今の戦闘機に役割の違いはほとんどない。
日本の場合、専守防衛の目的に特化するために、戦闘機の対地攻撃能力を極端に制限してきていた。だからF-4やF-15は潜在的に多量の爆弾を積んで対地攻撃する能力があったにも関わらず、購入時にそれらを取り外して、対航空機戦闘しか出来ないようにしていたのだ。
当時は「攻撃的」な「兵器」は装備しないという、なんとも矛盾した方針で防衛装備を整えていたのだ。
実際、空自が本格的な対地攻撃能力を持つのはF-2の配備後だ。(この頃に誘導爆弾やJDAMの導入が始まるから)

冷戦も終わり、精密誘導兵器のパワーを見せつけられた湾岸戦争の後には、F-4も対地攻撃が出来るように改造され、F-4J改となった。
F-15には今でも強力な対地攻撃能力を付与していないが、米軍や韓国の同種F-15を見てわかるように、強力な対地攻撃能力を持つのは明らかである。
また、逆に、F-2は対空戦闘用の高性能レーダーも装備し、実際に防空スクランブルの任務もこなしている。

すなわち、F-2に何かの役割があって、それを交代するために戦闘機が必要なのではなく、単に、航空自衛隊全体の防空能力を維持向上させるために新しい戦闘機が必要なのだ。

だから、そのためのF-35なんでしょう?

もっともすぎる意見だ、
でも、逆にそのもっともすぎる意見を無視して新戦闘機を要求しなければならない航空自衛隊の事情こそが、今回、国内開発することになった理由であろう。

◆F-22売ってもらえなくなった、ガーン!!!(当時の航空自衛隊幹部、想像)

F-22Rapter
F-22Rapter

これまで日本にとっての本当の防空戦力はF-15であった。
F-15を装備した当時、その性能は圧倒的で、軍拡時代のソビエトの戦闘機でさえ対抗できなかった。ソ連と仲が悪く、いまだにMig-15のコピーを使っている中国軍なんて相手にもならなかった。F-15の空自配備が1980年なので、その後20年近く日本の空を守ってきたと言っても過言ではない。
ところが、このF-15に対抗して開発されたMig-29とSu-27がF-15と同等の性能を有し、しかも、冷戦後ロシア軍需産業が輸出商品の目玉となったために、世界各地にF-15同等戦闘機が日本の周辺にあふれ始めたのだ。
コンピュータ関連の技術革新もこの傾向を後押しした。精密電子装置の塊と言われたF-14でさえ、そこらのパソコンよりも原始的なプロセッサしか搭載していないのだから、ロシアはスパイを使って米国の軍事技術を盗まなくても、中古のIBMやNECのパソコンを使えばミサイルの制御装置など開発するのは簡単だった。

後にもう一度言及するが、戦闘機にとって、電子技術とならんで高度な技術が航空機用ジェットエンジン(ターボファン含む)だ。戦闘機に使えるエンジンを生産できる国は世界でも限られる。もっとも高性能なエンジンを生産できるのは、米国のGEとプラットアンドホイットニー、英国のロールスロイスで、それらとほぼ同等なのがロシアのリューリカ・サトゥールン、クリーモフ、仏国のSNECMAぐらいである。ロシアはこの航空機エンジンの開発力によってSu-27フランカーを世界最高性能の戦闘機に育てたといえるだろう。

日本が開発できない強力なエンジンを備えた戦闘機がロシアはもちろんのこと、中国や北朝鮮にも配備されるようになったのだから、これは相当な脅威である。
昔の、
「敵国は制空権を奪取できないから日本への上陸は無理」の理論が根底から覆ってしまう事態である。

でも、こんな理論を根付かせてしまうF-15戦闘機の圧倒的な力がどれほどのものか、今更ながら痛感する。これを一度手にした者(国:米国、日本、イスラエル)がどんなに高価でも同じような戦闘機を欲しがるのだろう。

米国がF-22を開発始めたのは冷戦期だが、冷戦が終わっても、F-22ラプターの圧倒的な能力にこだわった。
日本もイスラエルも、かつてのF-15と同じようにF-22のお裾分けを貰おう(実際には相手の言い値で買う)としたのに、F-22より高性能な戦闘機を作る余力のない米国はF-22の輸出を禁止した。
これは航空自衛隊にとっては本当に痛手だっただろう。将官のほとんどが米国の主力戦闘機を日本で使うことに慣れっこだったから。

F-22を売ってもらえなくなった日本は仕方なしにF-35に乗り換えるが、F-22という最高の戦闘機を見ているのでF-35を見ても何だか物足りない。
F-35はF-22が高価すぎるから、エンジンを単発にして安くて小型の戦闘機という名目で開発したものだから、「どんなに高くても最高のを」と思っている日本の要望にはそもそも合わない。
さらに、日米同盟楽観主義者ばかりの日本外交軍事家はまさかアメリカが売ってくれないなんて予想していないから、米国が「F-35を西側共同開発しようぜ」という提案を無視したために、F-35の開発に参加できないばかりか、仕様要求も出来ないし、生産分担も各国で決まった後である。イギリスやイスラエルが自分仕様のカスタマイズしたものを、自分好みじゃなくても購入するしかないのだ。
まあ、こんなことは中東の産油国には当たり前のことであるが。

◆自国開発決定前の提案
F-22がダメになったあと、F-35を導入し、今度こそと米欧に見積を取ってみたが、どれもさっぱりな内容だった。

〇EU(イギリス)タイフーン戦闘機 個人的には大好きだが、先進の戦闘機ではない。

〇米国ボーイング F-15改良 まだ使うのかよ。韓国やイスラエルでは使用中であるが。

F15Iラーム
F15Iラーム イスラエルがF-15をストライクイーグル仕様にアップグレードした戦闘機

〇米国ロッキード F-22&F-35 ミックス、さすがに田中角栄時代からの政商、日本の欲望を良くとらえている。しかし技術を渡さないF-22のミックスに出来そうにないので却下。

実際、世界を見渡してもこの3種くらいしかまともな開発計画がないので、いかに今戦闘機を購入するのが難しいかわかる。
こんな提案しかないのであれば、独自に開発しようぜと考えるのは当然で、正解である。

◆F-35のダメなところ

F-35
F-35

それでもF-35はF-22に次ぐ性能のステルス戦闘機で、防空網が機能している戦場に侵入して攻撃する能力を持つ。ロシア、中国には未だ完全なステルス性能(防空レーダー網に侵入できる)を持った戦闘機はいないのだから、これでも良さそうなものだが、一体どこがダメなのだろう。

〇エンジンが単発
通常、長く海上を飛行する戦闘機は双発が好まれる。エンジン故障の際に立ち寄れる空港がないからだ。今は、単発のエンジンでもほとんど停止しないからと言われるが、やはり二つあれば安心。

〇搭載能力
日本の戦闘機の主任務は海を越えて侵入する敵航空機の排除である。海の上に長くとどまり、あちこちミサイルを撃ちまくるには出来るだけたくさんのミサイルを搭載しておく必要がある。
F-35はステルス状態では空対空ミサイルを4発搭載可能、機銃なし
F-22は専用ミサイル(小型化)なら8発、通常タイプで6発、機銃あり
F-15はステルスではないが8発。機銃あり
ミサイルが沢山要るというのは、相手の戦闘機が沢山いるからではなく、巡航ミサイルやヘリコプターなど自機にとって低脅威の目標に沢山対処するためだ。相手がフランカー(Su-27)なら1機を撃墜できれば十分だ。

〇航続距離
フェリー航行で
F-35 2000kmぐらい
F-22 3000kmぐらい
F-15 4000kmぐらい
日本の防空では、出来るだけ遠方の海上で迎え撃つことが望ましい。航空機用対地ミサイルが数百キロの射程を持つので、出来れば1000kmぐらい遠方の海上で迎撃したい。哨戒地点での滞空と帰りの燃料を考えると、最低でも3000km程度の航続距離は欲しい。離陸時の空中給油1回で空対空ミサイルのみの兵装ならF-22で何とかこなせるレベルだ。F-35だと2回の給油でも哨戒地点で1時間滞空出来るか微妙だ。
ちなみに1000kmという距離は佐世保から尖閣諸島くらいで、沖縄の那覇空港から尖閣諸島の往復が約1000kmである。

〇費用

F-35A
F-35A 通常滑走路離発着タイプ

F-35B_ski-jump
F-35B VTOLタイプ 発着試験用スキージャンプ台から離陸するF-35B
リフトファンを有し、主に短距離離陸垂直着陸で運用される

F-35C CTOLタイプ
F-35C CTOLタイプ 空母飛行甲板より発艦するF-35C
一番開発が遅れているタイプ。空母からの発艦の場合もリフトファンを併用している。

F-22より安くするために開発されたはずだが、F-35は1つのベースとなる機体で、通常の空港で運用するタイプと米国の空母に使うCTOL(カタパルト離陸通常着陸)機と垂直離着陸が可能なVTOL機をすべて賄ってしまおうとする欲張りな設計のために、通常のタイプを購入する顧客にとっては、開発の難しい海軍・海兵隊仕様の開発コストは全くの無駄になる。各国の要望を反映させる手法も開発費を高騰させていて、最近の米国国防総省のコメントによると約4兆円かかるという。一方F-22は、米国GAO(会計検査院)の報告によると、生産完了までに1.7兆円から1.8兆円と言われている。
マルチロールの3タイプの機種を4兆円で開発する方が1任務選任の1.8兆円より安いかもしれないが、日本にとっては無駄な開発費用だと言える。ちなみに開発費用は機体単価に反映する。
機体費用は、F-35が日本の購入価格で1機150億円。F-22は輸出実績がないが、米国の調達価格が150億円程度なので、日本が購入した場合は200億円以上になったと思われる。たとえ25%割高でも、仮想敵国に対する抑止効果は60機のF-35より45機のF-22の方が高いような気がする。

〇まだ開発中
これは自分が開発に関わっていないからというのが大きいだろう。大規模で複雑な開発を出来るだけ低リスクに進めるために、F-35はスパイラル開発の手法で開発を進めている。最初に実証済みの技術で基本的な機能を提供し、その後、それを土台に技術改良を加えていく手法である。そのため、日本が購入したF-35も実はまだうたい文句通りの性能は有していない。
F-35は制空戦闘から対艦攻撃まで可能な戦闘機であるが、現在のところ対空戦闘メインの機能設定になっているだろう。今後、国産兵器へのマッチングやネットワーク戦闘機能を順次アップデートして、SEAD(敵防空網攻撃)や長距離巡航ミサイル攻撃能力、共同交戦能力による迎撃などの機能を追加していくことになる。

夢を持ち楽観的に考えるとそれで良いが、実際はその機能ごと新たな費用が発生し、パイロットの訓練にも時間がかかる。F-2でのスクランブル任務と対地攻撃任務を兼務するパイロットの訓練ですら大変だと文句を言っている航空自衛隊幹部がいるのだから、F-35の全機能を発揮させるには、今以上の訓練時間費用がかかるようになるだろう。

〇良いところ
将来、VTOL機による空母運用する際に、艦載機の候補に出来る。海上自衛隊の連中はこれだ。

他にもいくつかの理由はあるだろうが、総じて、対空戦闘に特化した防空用戦闘機が欲しいのに、マルチロールのマルチタイプに命を懸けているF-35では帯に短し襷に長しの状態なのが最大の問題と言えよう。

◆失敗しかけのMRJ

三菱MRJ
三菱MRJ 開発が難航しているMRJ
三菱は社運をかけて実用化を目指している。MRJ自体の開発が完了しても商業的な成功がなければ大きな損失になるだろう。

三菱の民間機開発計画MRJが失敗寸前なのも国産機開発を選んだ理由かもしれない。
まあ、これについてはこのくらいで。

◆自国開発の実現性
前に戦闘機の自国開発を主張した時には、これを国策レベルで推進してでも開発すべしと書いたが、実際に、米国に頼らず、日本が主体的に戦闘機を開発し、それが世界トップレベル、つまりF-22に匹敵するには、日本政府、自衛隊、産業界が全力で取り組まなくてはならない。

〇米国の介入を排除する政府の外交力

F-2での痛い思い出を忘れないで、米国の介入を回避するのは日本政府の責任である。
現在、沖縄の基地問題で動きの取りにくい政府だが、今後北朝鮮や中国と難しい交渉をしなければならない米国に貸を作っておきたいところだ。そのうえで戦闘機開発については協力を得て、要らぬ干渉を排除しなければならない。
今のドランプと安倍の関係では、

シンゾー、アメリカの兵器を買え
シンゾー、アメリカの兵器を買え
「国産なんかやめてアメリカから買え」という主張に、

’安倍首相
Ž’安倍首相 トランプ大統領との信頼関係は本当に機能するのか
「分かりました、でも自動車関税発動しないでね」なんて答えて、亡国の首相になりそうな気配だ。

〇自衛隊

防衛省
防衛省 自衛隊の組織の改編は何度も行っているものの

技術や情報を大切にする組織にならなければならない。組織の維持でなく、目的の遂行に専念できる人員と組織に変貌する必要がある。
防衛省の開発部門は独立した組織に改編されている。目的に合わせ一貫した装備開発を行うためだが、まだまだ中身が間に合っていない。研究開発に関しては防衛省だけでは絶対に無理なので、民間企業や他国との協力も広範に行い、人員も途中入社や民間研究所への委託なども積極的に行うべきだろう。

〇技術的にネックになりそうなポイント
リスクポイントの最大はエンジンだ。ステルス技術も重要だが、航空機はステルス性がなくても飛行可能だが、エンジンが無ければ飛べない。
そしてエンジン開発には多様な技術的経験の蓄積が必要で、コンピュータシミュレーションでは解析できない部分が多いからだ。これ迄、独自開発したジェットエンジンは数えるほどしかない。
できれば、米国エンジン企業から提供を受けるべきだが、F-22の輸出を許可しない以上、それに使われているエンジンもライセンスは渡さないだろう。出来るだけ高性能なエンジン開発技術を手に入れ、それを交渉材料に共同開発できるように進めなければならない。

Pratt&Whitney F119
Pratt&Whitney F119 F-22のエンジン、スーパークルーズ能力を発揮するためにほぼジェットエンジンに近いターボファンエンジン

エンジンの開発生産はIHIが手掛けることになるだろう。すでに米国製航空機エンジンF-110などのライセンス生産の経験もあり、哨戒機P1用のF-7エンジンは独自に開発し生産している。今年(平成30年:2018年の6月)には、戦闘機用の高出力小型エンジンの供与をうけ、現在新エンジンの性能をテストしている。戦闘通常推力で音速を超える速力を得るには技術的なレベルアップが必要であるが、今のところIHIに任せるしかないだろう。F-35用エンジンF-135からどれだけ学べるかが肝になるだろう。

ステルス技術についてはコストと効果を良く検討しなければならない。機体の運動性を捨てればステルス能力をもつ機体は開発できると思う。エンジンの推力偏向と出力のリアルタイムの調節機能やコンピュータ支援の機体維持のソフトウェアが開発できれば、あとはコンピュータシミュレーションの問題だ。F-22の半分程度(RCAが2倍)の性能が確保できれば良いと思う。

Predetor
Predetor プレデターのような無人航空機は今後も発達していくだろう。
小型でステルス性の高い、命知らずのドローンはステルス戦闘機の地位を脅かすだろう。
ステルス技術にそれほど重きを置かないのは、今後はネットワーク交戦能力や無人機の能力が向上して来るからだ。
そもそもステルス技術は、敵の防空レーダー網を回避して攻撃するために開発された技術。しかし、ドローンの能力がさらに向上していくと、防空網の整った敵に最初に突入していくのはドローンになるだろう。小型無人のドローンは有人戦闘機よりはるかにステルス性が高いので、F-22とて、相手ドローンを探知できないのに、相手からは見えるという状態がありうる。
F-15は配備されてから40年近く日本の空を守ってきた。今回の開発機も、実用化された場合何十年間も使用されることだろう。そのような長期間の戦場を予測するのは簡単ではない。近い将来、ステルス技術が万能でなくなる日があることを認識しておく必要がある。

◆いろんな要素を考慮して、戦闘機の自国開発が成功するか予測してみると、

50%程度だろう。

技術的には冒険的要素が多いが、F-22の入手の見込みがなく、次の制空戦闘機が実用化される前にF-15は飛行できなくなるので、その、切羽詰まった状況は日本が戦闘機を開発するしかない状況に追い込むことになる。軍事分野においても、それなりに形にしていくは得意なので、ステルス性能を過度に追い求めなければ何とか実現できるのではないかと推測している。

J-20_at_Airshow_China_2016
J-20_at_Airshow_China_2016 J-20の性能は未知数であるが、この航空機を飛行させる経験は今後の開発に大きく寄与するだろう。

但し、中国も同様に新型機を開発している点に注意して欲しい。形にするという点では中国の方が先んじている。J-20はすでに飛行しているので、今後これを改良する形で完成度と実用性を高めていくであろう。
新型戦闘機の成功を左右するのは、技術的要素に加え、中国との開発競争で、いかに遅れずについていくかではないだろうか。「中国に遅れずついていく」と書けば、一部の無見識な愛国者気取りの連中は傷つくであろうが、軍事兵器開発の分野では、すでに日本は中国の後塵を拝している。日本は米同盟や政治的な配慮からごく限られた分野のみ兵器開発を行ってきたので、技術力の割に経験値が少ない。特に実戦でのフィードバックが皆無なので、欠陥を改良することがなく、失敗を認める必要がない。全く実用性のない兵器を配備していても、誰も批判しないし反省もしない。兵器開発に無反省な点が、中国に対抗する時に弱点となるだろう。

◆後継新戦闘機を想像してみる
三菱のMRJは2003年から15年間開発を続けているが、まだ生産できていない。新型戦闘機も来年から開発しても、F-2の退役が予想される2030年まで11年しかないので、2030年の実用化は難しいだろう。北朝鮮が和平へ向かい、米国が中国と軍事的対立する可能性も低いので、軍事技術の日本への転出の制限は続くと予想できるので、戦闘機開発が躓いたときに米国に助けを求めることはできない。日本と共同開発を行ってくれる有力な国(実質イギリスかフランスのみ)は現れないので、スムーズに進まないと考えるのが妥当だ。
開発期間を15年として、エンジンは2025年には実用化させる。
共同交戦能力などのすり合わせを2030年ころに終わらせ、ソフトウェアを完成させる。

戦闘機の完成形はF-22そっくりになることは請け負う。こういうところは仕様決定者である自衛隊幹部に想像力が欠如しているので、これ以外の発想は生まれない。日本の技術の特色を生かして開発するにはまだ経験値が少ないので、日本版ラプターになれば十分である。
スーパークルーズ能力はオミットされるかもしれない。エンジンは単発で強力なエンジンを開発するより、双発で推力を稼ぐ方が良いだろう。

ステルス性はエンジン推力の不足から、それほどの運動性を求められないはずなので、F-22並みのステルス性は確保できる。エンジンの空気取り入れ口は主翼下部、胴体左右に配置、双尾翼、主翼は複合素材で前縁角度をそろえたデルタ翼、胴体も複合素材製でステルスに配慮した形状に成形され、内部ウェポンベイにAAMを6発搭載、専用の小型ミサイルを使えば8発。対地攻撃兵器としては対艦ミサイルを2発搭載だろう。F-2の後継機なので。
共同交戦能力を持ち、F-35やイージス艦とデータを共有できる、E-2DやE-767とも共有できるようになるだろう。これはイージスシステムに代わる防空システムなので、自動警戒管制システム(JADGE:Japan Aerospace Defense Ground Environment、略称:ジャッジ・システム)の代替えシステムにも加えられる要素になるであろう。
ヘルメットマウントディスプレイなどは今のSONYの技術などを見ても実現可能だ。
新型のフェーズドアレイAESAレーダーを搭載し、新世代のECM装置を備えることだろう。
航続距離は3000km程度、武装状態での戦闘行動半径が1000km程度だろうか。

2030年代には無人機との連携機能も必要とされているかもしれない。

◆最終的には自国開発が正解
戦闘機自国開発のハードルは高いが、全力で取り組めば乗り越えられない壁ではない。
今後、日本が安全保障を主体的にコントロール出来るか、1国での生存は難しいとあきらめるかの試金石になる。
日本の防衛で一番重要なのは、制空権を維持し、敵航空機を近づけないことなのだ。相手に制空権がなければ、小さな島にさえ上陸できない。逆に、優秀な戦闘機と対空ミサイル網と潜水艦があれば、日本のどこであっても簡単に上陸できない。
だから本来あるべき各隊の予算配分は 空自:海自:陸自=6:5:4ではないかと思う。実際には3隊均等に振り分けているが、無駄な使い方だ。
他国との協調のなかで生き延びることも悪いことではない。スイスはかつて兵器の自国生産にこだわっていたが、今は軍事力だけで他国の干渉を排除しようと思っていない。
また、北朝鮮のように核兵器を開発するよりは政治的リスクは小さく、成功した場合に及ぼす利益は大きい。
ここらで、日本を再び技術立国として羽ばたかせるにはこれくらいの挑戦は必要だ。

CEC共同交戦能力のイメージ
CEC共同交戦能力のイメージ

ステルス戦闘機を契機に、ネットワーク・共同交戦能力、戦闘ドローンなどを開発し、最終的に原子力潜水艦(賛否あり)を開発できれば21世紀中は安心だろう。
開発が成功するかどうかは、まだ確証を持てないが、失敗するとしても挑戦すべきだ。

2018/10/05
こんな記事を書いていたら、ちょうど新聞で防衛省が独自(国産)の共同交戦システムを開発する方針だと発表があった。
ステルス戦闘機やイージス艦、早期警戒機などのハードウェアで外堀を埋めて、「それらを活用するためです」と予算要求しなければならない事情が透けて見える。どの業界でもソフトウェアのコストは偉いさんに認められにくい。昔、大手家電メーカー向けの業務システム開発の見積時に、システム要件にない巨大なサーバを見積もりに含めるように言われたことがある。そのシステムは既存のパソコンでも動作可能なものであったが、ソフトウェアに1億近くかかるのに実際に形のあるものが何も納入されなかったら経営陣は納得しない、ソフトウェア開発の10分の1の値段で巨大なラックサーバが買えるならその方が見栄えが良いと、、納得した。

CECのソフトウェア開発なども同じだ。
米軍はすでに20年以上も前から3軍共通の通信プロトコルを開発してきた。規格が複数あり、当時すぐには実用化できなかったが、情報テクノロジーの発達を見越して、リアルタイムの情報交換が出来る規格も用意していた。今はそれを使ってCECをほぼ全軍に付与している。
日本もようやくソフト面の技術が軍事的にいかに重要かを理解し始めている。近い将来、CECを持たない軍隊は、持っている軍隊に絶対に勝てなくなる。CECはあくまで軍事的情報技術の1機能でしかないが、これを発揮するには統合された先進的情報通信システムが必要なので、明確な指標となる。
自衛隊の能力を決定づける技術になるだろう。

2018/11/17
その後も国産戦闘機開発に関するニュースが続いている。
しかし、そのニュースのどれも、ここでの考察の範囲を超えていない。
独自開発の方針が決まったとたん、米国が「共同開発」の申し出をして、米国政府が安保と関連させながら圧力をかけてくることは、F2開発の経緯を考えても予測できることである。また、この「共同開発」の提案に対し、自民党の国防族が純粋の国産にこだわって、国内メーカーの代弁をするのも当たり前。政治がやたらと介入してくるのはいつものことだ。
しかし、今の米国政府にとっては、日本がある程度自律して防衛力を維持することは、今後の中国との対決を考慮すれば国益にかなうと分かるであろう。ほとんどF-22の「新戦闘機」を提示しておくことで、万が一開発が失敗した場合に、日本が泣きつく場所を用意しておくことが出来る。そうなれば、米国は日本の首根っこをより強く抑えれるわけだ。
さらに、上で述べたように、「完全な独自開発国産戦闘機」なんて実現不可能だ。MRJさえ外国人の仕様設計者を沢山雇わなければできないのだから、三菱に「世界最高性能」の戦闘機を単独で開発する能力はない。高出力のエンジンをはじめ、早期警戒機やイージス艦とのCEO能力などは米国との協力なくして不可能だろう。とりあえず意気込みを示すために「完全独自開発」を主張するのは良いが、最終的に、国益にかなう、日本と東アジアの安全保障にとってプラスになる選択を見間違わないようにして欲しいものだ。

F-15 Advanced
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