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本当になってしまいました。F-2後継機 自国開発へ

F-2後継機 国内開発へ

◆航空自衛隊のF-2後継機の国内開発の方針が決まった。

F-2戦闘機
F-2戦闘機

F-2後継機と言っても、実際にF-2が古くなって交代させるのではない。自衛隊は日本のお役所らしく、「これが古くなって使えないから新しいのを買って」という原則を守っているだけ、
本当は、隣接軍事大国の空軍装備が強化、最新化しているので、それに対抗し凌駕する戦闘機を配備運用しなければ日本の防空能力を損なってしまうので、どの機体の後継でなくても、結局のところ必要になるのである。

でも、つい最近、ロッキードF-35を買い始めたばかりじゃないの?

F-35Lightning2
F-35Lightning2

と素朴な疑問を持つのは当然である。
その疑問に対する、自衛隊の答えが上の「後継機」という回答なのだ。

◆F-2の代替え

現在、航空自衛隊は3機種の戦闘機を配備運用している。
古い順から
F-4 ファントム F-4EJ改

F-4EJファントム改
F-4EJファントム改

F-15 イーグル F-15J(一部改)

F-15Jイーグル
F-15Jイーグル

F-2 (国産機)

F-2
F-2

でさらに、
F-35 ライトニング2

F-35J
F-35J

も配備し始めている。

空自では上の各戦闘機の役割を
F-4は全般の支援用
F-15は制空戦闘機、敵の航空機の侵入を防ぐ
F-2は対地攻撃用
と分担させているように言っているが、
実は、今の戦闘機に役割の違いはほとんどない。
日本の場合、専守防衛の目的に特化するために、戦闘機の対地攻撃能力を極端に制限してきていた。だからF-4やF-15は潜在的に多量の爆弾を積んで対地攻撃する能力があったにも関わらず、購入時にそれらを取り外して、対航空機戦闘しか出来ないようにしていたのだ。
当時は「攻撃的」な「兵器」は装備しないという、なんとも矛盾した方針で防衛装備を整えていたのだ。
実際、空自が本格的な対地攻撃能力を持つのはF-2の配備後だ。(この頃に誘導爆弾やJDAMの導入が始まるから)

冷戦も終わり、精密誘導兵器のパワーを見せつけられた湾岸戦争の後には、F-4も対地攻撃が出来るように改造され、F-4J改となった。
F-15には今でも強力な対地攻撃能力を付与していないが、米軍や韓国の同種F-15を見てわかるように、強力な対地攻撃能力を持つのは明らかである。
また、逆に、F-2は対空戦闘用の高性能レーダーも装備し、実際に防空スクランブルの任務もこなしている。

すなわち、F-2に何かの役割があって、それを交代するために戦闘機が必要なのではなく、単に、航空自衛隊全体の防空能力を維持向上させるために新しい戦闘機が必要なのだ。

だから、そのためのF-35なんでしょう?

もっともすぎる意見だ、
でも、逆にそのもっともすぎる意見を無視して新戦闘機を要求しなければならない航空自衛隊の事情こそが、今回、国内開発することになった理由であろう。

◆F-22売ってもらえなくなった、ガーン!!!(当時の航空自衛隊幹部、想像)

F-22Rapter
F-22Rapter

これまで日本にとっての本当の防空戦力はF-15であった。
F-15を装備した当時、その性能は圧倒的で、軍拡時代のソビエトの戦闘機でさえ対抗できなかった。ソ連を仲が悪く、いまだにMig-15のコピーを使っている中国軍なんて相手にもならなかった。F-15の空自配備が1980年なので、その後20年近く日本の空を守ってきたと言っても過言ではない。
ところが、このF-15に対抗して開発されたMig-29とSu-27がF-15と同等の性能を有し、しかも、冷戦後ロシア軍需産業の輸出の目玉となったために、世界各地にF-15同等戦闘機が日本の周辺にあふれ始めたのだ。
コンピュータ技術の技術革新もこの傾向を後押しした。精密電子装置の塊と言われたF-14でさえ、そこらのパソコンよりも原始的なプロセッサしか搭載していないのだから、ロシアはスパイを使って米国の軍事技術を盗まなくても、中古のIBMやNECのパソコンを使えばミサイルの制御装置など開発するのは簡単だった。

後にもう一度言及するが、戦闘機にとって、電子技術とならんで高度な技術が航空機用ジェットエンジン(ターボファン含む)だ。戦闘機に使えるエンジンを生産できる国は世界でも限られる。もっとも高性能なエンジンを生産できるのは、米国のGEとプラットアンドホイットニー、英国のロールスロイスで、それらとほぼ同等なのがロシアのリューリカ・サトゥールン、クリーモフ、仏国のSNECMAぐらいである。ロシアはこの航空機エンジンの開発力によってSu-27フランカーを世界最高性能の戦闘機に育てたといえるだろう。

日本が開発できない強力なエンジンを備えた戦闘機がロシアはもちろんのこと、中国や北朝鮮にも配備されるようになったのだから、これは相当な脅威である。
昔の、
「敵国は制空権を奪取できないから日本への上陸は無理」の理論が根底から覆ってしまう事態である。

でも、こんな理論を根付かせてしまうF-15戦闘機の圧倒的な力がどれほどのものか、今更ながら痛感する。これを一度手にした者(国:米国、日本、イスラエル)がどんなに高価でも同じような戦闘機を欲しがるのだろう。

米国がF-22を開発始めたのは冷戦期だが、冷戦が終わっても、F-22ラプターの圧倒的な能力にこだわった。
日本もイスラエルも、かつてのF-15と同じようにF-22のお裾分けを貰おう(実際には相手の言い値で買う)としたのに、F-22より高性能な戦闘機を作る余力のない米国はF-22の輸出を禁止した。
これは航空自衛隊にとっては本当に痛手だっただろう。将官のほとんどが米国の主力戦闘機を日本で使うことに慣れっこだったから。

F-22を売ってもらえなくなった日本は仕方なしにF-35に乗り換えるが、F-22という最高の戦闘機を見ているのでF-35を見ても何だか物足りない。
F-35はF-22が高価すぎるから、エンジンを単発にして安くて小型の戦闘機という名目で開発したものだから、「どんなに高くても最高のを」と思っている日本の要望にはそもそも合わない。
さらに、日米同盟楽観主義者ばかりの日本外交軍事家はまさかアメリカが売ってくれないなんて予想していないから、米国が「F-35を西側共同開発しようぜ」という提案を無視したために、F-35の開発に参加できないばかりか、仕様要求も出来ないし、生産分担も各国で決まった後である。イギリスやイスラエルが自分仕様のカスタマイズしたものを、自分好みじゃなくても購入するしかないのだ。
まあ、こんなことは中東の産油国には当たり前のことであるが。

◆自国開発決定前の提案
F-22がダメになったあと、F-35を導入し、今度こそと米欧に見積を取ってみたが、どれもさっぱりな内容だった。

〇EU(イギリス)タイフーン戦闘機 個人的には大好きだが、先進の戦闘機ではない。

〇米国ボーイング F-15改良 まだ使うのかよ。韓国やイスラエルでは使用中であるが。

F15Iラーム
F15Iラーム イスラエルがF-15をストライクイーグル仕様にアップグレードした戦闘機

〇米国ロッキード F-22&F-35 ミックス、さすがに田中角栄時代からの政商、日本の欲望を良くとらえている。しかし技術を渡さないF-22のミックスに出来そうにないので却下。

実際、世界を見渡してもこの3種くらいしかまともな開発計画がないので、いかに今戦闘機を購入するのが難しいかわかる。
こんな提案しかないのであれば、独自に開発しようぜと考えるのは当然で、正解である。

◆F-35のダメなところ

F-35
F-35

それでもF-35はF-22に次ぐ性能のステルス戦闘機で、防空網が機能している戦場に侵入して攻撃する能力を持つ。ロシア、中国には未だ完全なステルス性能(防空レーダー網に侵入できる)を持った戦闘機はいないのだから、これでも良さそうなものだが、一体どこがダメなのだろう。

〇エンジンが単発
通常、長く海上を飛行する戦闘機は双発が好まれる。エンジン故障の際に立ち寄れる空港がないからだ。今は、単発のエンジンでもほとんど停止しないからと言われるが、やはり二つあれば安心。

〇搭載能力
日本の戦闘機の主任務は海を越えて侵入する敵航空機の排除である。海の上に長くとどまり、あちこちミサイルを撃ちまくるには出来るだけたくさんのミサイルを搭載しておく必要がある。
F-35はステルス状態では空対空ミサイルを4発搭載可能、機銃なし
F-22は専用ミサイル(小型化)なら8発、通常タイプで6発、機銃あり
F-15はステルスではないが8発。機銃あり
ミサイルが沢山要るというのは、相手の戦闘機が沢山いるからではなく、巡航ミサイルやヘリコプターなど自機にとって低脅威の目標に沢山対処するためだ。相手がフランカー(Su-27)なら1機を撃墜できれば十分だ。

〇航続距離
フェリー航行で
F-35 2000kmぐらい
F-22 3000kmぐらい
F-15 4000kmぐらい
日本の防空では、出来るだけ遠方の海上で迎え撃つことが望ましい。航空機用対地ミサイルが数百キロの射程を持つので、出来れば1000kmぐらい遠方の海上で迎撃したい。哨戒地点での滞空と帰りの燃料を考えると、最低でも3000km程度の航続距離は欲しい。離陸時の空中給油1回で空対空ミサイルのみの兵装ならF-22で何とかこなせるレベルだ。F-35だと2回の給油でも哨戒地点で1時間滞空出来るか微妙だ。
ちなみに1000kmという距離は佐世保から尖閣諸島くらいで、沖縄の那覇空港から尖閣諸島の往復が約1000kmである。

〇費用

F-35A
F-35A 通常滑走路離発着タイプ

F-35B_ski-jump
F-35B VTOLタイプ 発着試験用スキージャンプ台から離陸するF-35B
リフトファンを有し、主に短距離離陸垂直着陸で運用される

F-35C CTOLタイプ
F-35C CTOLタイプ 空母飛行甲板より発艦するF-35C
一番開発が遅れているタイプ。空母からの発艦の場合もリフトファンを併用している。

F-22より安くするために開発されたはずだが、F-35は1つのベースとなる機体で、通常の空港で運用するタイプと米国の空母に使うCTOL(カタパルト離陸通常着陸)機と垂直離着陸が可能なVTOL機をすべて賄ってしまおうとする欲張りな設計のために、通常のタイプを購入する顧客にとっては、開発の難しい海軍・海兵隊仕様の開発コストは全くの無駄になる。各国の要望を反映させる手法も開発費を高騰させていて、最近の米国国防総省のコメントによると約4兆円かかるという。一方F-22は、米国GAO(会計検査院)の報告によると、生産完了までに1.7兆円から1.8兆円と言われている。
マルチロールの3タイプの機種を4兆円で開発する方が1任務選任の1.8兆円より安いかもしれないが、日本にとっては無駄な開発費用だと言える。ちなみに開発費用は機体単価に反映する。
機体費用は、F-35が日本の購入価格で1機150億円。F-22は輸出実績がないが、米国の調達価格が150億円程度なので、日本が購入した場合は200億円以上になったと思われる。たとえ25%割高でも、仮想敵国に対する抑止効果は60機のF-35より45機のF-22の方が高いような気がする。

〇まだ開発中
これは自分が開発に関わっていないからというのが大きいだろう。大規模で複雑な開発を出来るだけ低リスクに進めるために、F-35はスパイラル開発の手法で開発を進めている。最初に実証済みの技術で基本的な機能を提供し、その後、それを土台に技術改良を加えていく手法である。そのため、日本が購入したF-35も実はまだうたい文句通りの性能は有していない。
F-35は制空戦闘から対艦攻撃まで可能な戦闘機であるが、現在のところ対空戦闘メインの機能設定になっているだろう。今後、国産兵器へのマッチングやネットワーク戦闘機能を順次アップデートして、SEAD(敵防空網攻撃)や長距離巡航ミサイル攻撃能力、共同交戦能力による迎撃などの機能を追加していくことになる。

夢を持ち楽観的に考えるとそれで良いが、実際はその機能ごと新たな費用が発生し、パイロットの訓練にも時間がかかる。F-2でのスクランブル任務と対地攻撃任務を兼務するパイロットの訓練ですら大変だと文句を言っている航空自衛隊幹部がいるのだから、F-35の全機能を発揮させるには、今以上の訓練時間費用がかかるようになるだろう。

〇良いところ
将来、VTOL機による空母運用する際に、艦載機の候補に出来る。海上自衛隊の連中はこれだ。

他にもいくつかの理由はあるだろうが、総じて、対空戦闘に特化した防空用戦闘機が欲しいのに、マルチロールのマルチタイプに命を懸けているF-35では帯に短し襷に長しの状態なのが最大の問題と言えよう。

◆失敗しかけのMRJ

三菱MRJ
三菱MRJ 開発が難航しているMRJ
三菱は社運をかけて実用化を目指している。MRJ自体の開発が完了しても商業的な成功がなければ大きな損失になるだろう。

三菱の民間機開発計画MRJが失敗寸前なのも国産機開発を選んだ理由かもしれない。
まあ、これについてはこのくらいで。

◆自国開発の実現性
前に戦闘機の自国開発を主張した時には、これを国策レベルで推進してでも開発すべしと書いたが、実際に、米国に頼らず、日本が主体的に戦闘機を開発し、それが世界トップレベル、つまりF-22に匹敵するには、日本政府、自衛隊、産業界が全力で取り組まなくてはならない。

〇米国の介入を排除する政府の外交力

F-2での痛い思い出を忘れないで、米国の介入を回避するのは日本政府の責任である。
現在、沖縄の基地問題で動きの取りにくい政府だが、今後北朝鮮や中国と難しい交渉をしなければならない米国に貸を作っておきたいところだ。そのうえで戦闘機開発については協力を得て、要らぬ干渉を排除しなければならない。
今のドランプと安倍の関係では、

シンゾー、アメリカの兵器を買え
シンゾー、アメリカの兵器を買え
「国産なんかやめてアメリカから買え」という主張に、

’安倍首相
Ž’安倍首相 トランプ大統領との信頼関係は本当に機能するのか
「分かりました、でも自動車関税発動しないでね」なんて答えて、亡国の首相になりそうな気配だ。

〇自衛隊

防衛省
防衛省 自衛隊の組織の改編は何度も行っているものの

技術や情報を大切にする組織にならなければならない。組織の維持でなく、目的の遂行に専念できる人員と組織に変貌する必要がある。
防衛省の開発部門は独立した組織に改編されている。目的に合わせ一貫した装備開発を行うためだが、まだまだ中身が間に合っていない。研究開発に関しては防衛省だけでは絶対に無理なので、民間企業や他国との協力も広範に行い、人員も途中入社や民間研究所への委託なども積極的に行うべきだろう。

〇技術的にネックになりそうなポイント
リスクポイントの最大はエンジンだ。ステルス技術も重要だが、航空機はステルス性がなくても飛行可能だが、エンジンが無ければ飛べない。
そしてエンジン開発には多様な技術的経験の蓄積が必要で、コンピュータシミュレーションでは解析できない部分が多いからだ。これ迄、独自開発したジェットエンジンは数えるほどしかない。
できれば、米国エンジン企業から提供を受けるべきだが、F-22の輸出を許可しない以上、それに使われているエンジンもライセンスは渡さないだろう。出来るだけ高性能なエンジン開発技術を手に入れ、それを交渉材料に共同開発できるように進めなければならない。

Pratt&Whitney F119
Pratt&Whitney F119 F-22のエンジン、スーパークルーズ能力を発揮するためにほぼジェットエンジンに近いターボファンエンジン

エンジンの開発生産はIHIが手掛けることになるだろう。すでに米国製航空機エンジンF-110などのライセンス生産の経験もあり、哨戒機P1用のF-7エンジンは独自に開発し生産している。今年(平成30年:2018年の6月)には、戦闘機用の高出力小型エンジンの供与をうけ、現在新エンジンの性能をテストしている。戦闘通常推力で音速を超える速力を得るには技術的なレベルアップが必要であるが、今のところIHIに任せるしかないだろう。F-35用エンジンF-135からどれだけ学べるかが肝になるだろう。

ステルス技術についてはコストと効果を良く検討しなければならない。機体の運動性を捨てればステルス能力をもつ機体は開発できると思う。エンジンの推力偏向と出力のリアルタイムの調節機能やコンピュータ支援の機体維持のソフトウェアが開発できれば、あとはコンピュータシミュレーションの問題だ。F-22の半分程度(RCAが2倍)の性能が確保できれば良いと思う。

Predetor
Predetor プレデターのような無人航空機は今後も発達していくだろう。
小型でステルス性の高い、命知らずのドローンはステルス戦闘機の地位を脅かすだろう。
ステルス技術にそれほど重きを置かないのは、今後はネットワーク交戦能力や無人機の能力が向上して来るからだ。
そもそもステルス技術は、敵の防空レーダー網を回避して攻撃するために開発された技術。しかし、ドローンの能力がさらに向上していくと、防空網の整った敵に最初に突入していくのはドローンになるだろう。小型無人のドローンは有人戦闘機よりはるかにステルス性が高いので、F-22とて、相手ドローンを探知できないのに、相手からは見えるという状態がありうる。
F-15は配備されてから40年近く日本の空を守ってきた。今回の開発機も、実用化された場合何十年間も使用されることだろう。そのような長期間の戦場を予測するのは簡単ではない。近い将来、ステルス技術が万能でなくなる日があることを認識しておく必要がある。

◆いろんな要素を考慮して、戦闘機の自国開発が成功するか予測してみると、
50%程度だろう。
技術的には冒険的要素が多いが、F-22の入手の見込みがなく、次の制空戦闘機が実用化される前にF-15は飛行できなくなるので、その、切羽詰まった状況は日本が戦闘機を開発するしかない状況に追い込むことになる。軍事分野においても、それなりに形にしていくは得意なので、ステルス性能を過度に追い求めなければ何とか実現できるのではないかと推測している。

J-20_at_Airshow_China_2016
J-20_at_Airshow_China_2016 J-20の性能は未知数であるが、この航空機を飛行させる経験は今後の開発に大きく寄与するだろう。

但し、中国も同様に新型機を開発している点に注意して欲しい。形にするという点では中国の方が先んじている。J-20はすでに飛行しているので、今後これを改良する形で完成度と実用性を高めていくであろう。
新型戦闘機の成功を左右するのは、技術的要素に加え、中国との開発競争で、いかに遅れずについていくかではないだろうか。「中国に遅れずついていく」と書けば、一部の無見識な愛国者気取りの連中は傷つくであろうが、軍事兵器開発の分野では、すでに日本は中国の後塵を拝している。日本は米同盟や政治的な配慮からごく限られた分野のみ兵器開発を行ってきたので、技術力の割に経験値が少ない。特に実戦でのフィードバックが皆無なので、欠陥を改良することがなく、失敗を認める必要がない。全く実用性のない兵器を配備していても、誰も批判しないし反省もしない。兵器開発に無反省な点が、中国に対抗する時に弱点となるだろう。

◆後継新戦闘機を想像してみる
三菱のMRJは2003年から15年間開発を続けているが、まだ生産できていない。新型戦闘機も来年から開発しても、F-2の退役が予想される2030年まで11年しかないので、2030年の実用化は難しいだろう。北朝鮮が和平へ向かい、米国が中国と軍事的対立する可能性も低いので、軍事技術の日本への転出の制限は続くと予想できるので、戦闘機開発が躓いたときに米国に助けを求めることはできない。日本と共同開発を行ってくれる有力な国(実質イギリスかフランスのみ)は現れないので、スムーズに進まないと考えるのが妥当だ。
開発期間を15年として、エンジンは2025年には実用化させる。
共同交戦能力などのすり合わせを2030年ころに終わらせ、ソフトウェアを完成させる。

戦闘機の完成形はF-22そっくりになることは請け負う。こういうところは仕様決定者である自衛隊幹部に想像力が欠如しているので、これ以外の発想は生まれない。日本の技術の特色を生かして開発するにはまだ経験値が少ないので、日本版ラプターになれば十分である。
スーパークルーズ能力はオミットされるかもしれない。エンジンは単発で強力なエンジンを開発するより、双発で推力を稼ぐ方が良いだろう。

ステルス性はエンジン推力の不足から、それほどの運動性を求められないはずなので、F-22並みのステルス性は確保できる。エンジンの空気取り入れ口は主翼下部、胴体左右に配置、双尾翼、主翼は複合素材で前縁角度をそろえたデルタ翼、胴体も複合素材製でステルスに配慮した形状に成形され、内部ウェポンベイにAAMを6発搭載、専用の小型ミサイルを使えば8発。対地攻撃兵器としては対艦ミサイルを2発搭載だろう。F-2の後継機なので。
共同交戦能力を持ち、F-35やイージス艦とデータを共有できる、E-2DやE-767とも共有できるようになるだろう。これはイージスシステムに代わる防空システムなので、自動警戒管制システム(JADGE:Japan Aerospace Defense Ground Environment、略称:ジャッジ・システム)の代替えシステムにも加えられる要素になるであろう。
ヘルメットマウントディスプレイなどは今のSONYの技術などを見ても実現可能だ。
新型のフェーズドアレイAESAレーダーを搭載し、新世代のECM装置を備えることだろう。
航続距離は3000km程度、武装状態での戦闘行動半径が1000km程度だろうか。

2030年代には無人機との連携機能も必要とされているかもしれない。

◆最終的には自国開発が正解
戦闘機自国開発のハードルは高いが、全力で取り組めば乗り越えられない壁ではない。
今後、日本が安全保障を主体的にコントロール出来るか、1国での生存は難しいとあきらめるかの試金石になる。
日本の防衛で一番重要なのは、制空権を維持し、敵航空機を近づけないことなのだ。相手に制空権がなければ、小さな島にさえ上陸できない。逆に、優秀な戦闘機と対空ミサイル網と潜水艦があれば、日本のどこであっても簡単に上陸できない。
だから本来あるべき各隊の予算配分は 空自:海自:陸自=6:5:4ではないかと思う。実際には3隊均等に振り分けているが、無駄な使い方だ。
他国との協調のなかで生き延びることも悪いことではない。スイスはかつて兵器の自国生産にこだわっていたが、今は軍事力だけで他国の干渉を排除しようと思っていない。
また、北朝鮮のように核兵器を開発するよりは政治的リスクは小さく、成功した場合に及ぼす利益は大きい。
ここらで、日本を再び技術立国として羽ばたかせるにはこれくらいの挑戦は必要だ。

CEC共同交戦能力のイメージ
CEC共同交戦能力のイメージ

ステルス戦闘機を契機に、ネットワーク・共同交戦能力、戦闘ドローンなどを開発し、最終的に原子力潜水艦(賛否あり)を開発できれば21世紀中は安心だろう。
開発が成功するかどうかは、まだ確証を持てないが、失敗するとしても挑戦すべきだ。

2018/10/05
こんな記事を書いていたら、ちょうど新聞で防衛省が独自(国産)の共同交戦システムを開発する方針だと発表があった。
ステルス戦闘機やイージス艦、早期警戒機などのハードウェアで外堀を埋めて、「それらを活用するためです」と予算要求しなければならない事情が透けて見える。どの業界でもソフトウェアのコストは偉いさんに認められにくい。昔、大手家電メーカー向けの業務システム開発の見積時に、システム要件にない巨大なサーバを見積もりに含めるように言われたことがある。そのシステムは既存のパソコンでも動作可能なものであったが、ソフトウェアに1億近くかかるのに実際に形のあるものが何も納入されなかったら経営陣は納得しない、ソフトウェア開発の10分の1の値段で巨大なラックサーバが買えるならその方が見栄えが良いと、、納得した。

CECのソフトウェア開発なども同じだ。
米軍はすでに20年以上も前から3軍共通の通信プロトコルを開発してきた。規格が複数あり、当時すぐには実用化できなかったが、情報テクノロジーの発達を見越して、リアルタイムの情報交換が出来る規格も用意していた。今はそれを使ってCECをほぼ全軍に付与している。
日本もようやくソフト面の技術が軍事的にいかに重要かを理解し始めている。近い将来、CECを持たない軍隊は、持っている軍隊に絶対に勝てなくなる。CECはあくまで軍事的情報技術の1機能でしかないが、これを発揮するには統合された先進的情報通信システムが必要なので、明確な指標となる。
自衛隊の能力を決定づける技術になるだろう。

F-15 Advanced
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イギリス スコーピオンシリーズ

Neverや一部サイトに勝手に引用されている当サイト。

AFVに関してはPANZERにも負けない記事だと自負していますが、

勝手に引用コピーするのは、、やってください!!

なんぼでもコピーしてください。

日本の国民に少しでも軍事安全保障の認識が出来るなら、どんなに使ってくれてもOKです。

 

で、今回はイギリスのスコーピオンシリーズについて、

イギリスはAFVの開発において、常に革新的で挑戦者である。

戦車の母、Mk1しかりチョバムアーマーしかり、105mm砲もしかりである。

戦車の母国として、何でも「とにかくやってみる精神」があるように思う。

 

その中で、イギリスの軽戦車スコーピオンシリーズは、イギリスの世界に散らばる植民地などの防衛のために、軽量で運びやすい装甲戦闘車として要求されたものだ。

イギリス陸軍としては、「必要だ」と要求したものの、その後イギリスの植民地は次々に独立し、強大な米ソの狭間で、旧宗主国に対しても、なんら軍事的な影響力を行使できなくなったので。スコーピオンシリーズの完成時には、植民地での防衛任務はほぼ無くなっていた。

でも、「西ドイツって海外じゃん」(ドーバー海峡わたるだけ)の理屈で、海外派遣任務用車両としてスコーピオンシリーズの開発は進んだ。

 

プラモデルでは、台湾のAFVクラブが散発的に販売しています。流通数が少なく、常に品切れですが、絶版ではないところが微妙です。(希少ではない)

AFVクラブのスコーピオンファミリー

スコーピオンシリーズと同じコンセプトのドイツ、ヴィーゼルシリーズ

AIFVは個人的に大好き

保守、右派だからといって安倍を擁護するバカ

産経新聞とか、JBプレスとか、その他の有象無象、

保守、右派だと勝手に自称して、自分の立ち位置もわからず、安倍を擁護するバカさにあきれる。

無知としか言いようがない。

ほんまに日本(軍)を強くするなら、従軍した際の記録は、これでもかというほど検証して、勉強して、教訓を引き出し、次の戦いに備えるもの。

日報は現地指揮官からあげられる最初の文書、それを個人のPCに残っているかものレベルで置いておく、それで、事実を隠蔽して、自分が助かればいいと思うところに愛国精神が無いと分かる。

そもそも、安倍やその秘書官どもは、自分が賢いからアホには説明しても無駄と、自分たちを納得させている。自分の、「大日本、豊葦原の瑞穂国を思う心は神聖だ」と錯覚しつつ、実際は、自分の身内の同窓会のアホ仲間だけの酒盛り話で愛国を語っている。

安倍は1期目の政権で潰瘍性大腸炎で苦労した以外、国のために頑張ったことのない奴です。

潰瘍性大腸炎ぐらい、そこらの病院へ行けば沢山います。たったそれくらいで死地をくぐったと誤解する想像力の無さ、他者への共感の低さが最悪だ。

自衛隊で行う、海外遠征軍の記録が、「ありません、見たことないです」ってマジに言ってみせる国会や政権で無視されて、現場の隊員の士気が向上すると思う?アホちゃう!

やったことは誰にでも知って欲しい、

それほどの戦いだから。

東日本で災害援助に入った隊員は「死ぬかも」とは思わない。

でも、スーダン(南)に行った隊員は死ぬかも、殺されるかもと思いつつ仕事してたんです。

(イラクは少しマシ、)

元隊員でなくとも分かるよね。

それを安倍は無視する。

戦闘地域では無いとか、、

労えよ、憲法の文言より、現実の対応が大事。

 

軍事の専門家だから断言できるが、安倍は日本の防衛力に害をなしている。

防衛は、金持ちの金を守ることではない。「右派」と自称するメディアのほとんどは金持ちの、今の株高を目指しているだけ、産経しかり、JBプレスしかり。

安倍辞めてくれ、中国と自分勝手アメリカに対抗するにはお前は邪魔すぎる。お前は愛国者じゃないから。愛安倍家者なだけ。国民を金持ちのおもちゃにするのはやめて欲しい。

改憲について 憲法改正(改悪?)の実現を前に 総選挙改憲派大勝をうけて

完全な政治ネタを書くのは気が重いが、
今回の総選挙でまたも自民党が大勝し、同じような政党がそれなりの議席を取ったことで、
憲法改正に踏み込む準備が整ったことだろう。

いや、おそらく、現在の政権は憲法改正を発議するだろう。

オリンピックや天皇退位と新天皇の即位、改元。
華やかな行事の中に憲法改正を紛れ込ませることで、憲法改正は実現するだろう。

私はこの、安倍政権が進める憲法改正に反対している。

私自身、自衛隊にあったものとして、現在の憲法と国の実情が乖離していることはよくわかる。
私の隊員時代、今よりも、自衛隊は肩身の狭い立場だった。
自衛隊が創立されるまでの歴史を考えればそれは当たり前のことだった。

憲法上あってはならない軍隊を、「自衛隊」という変な名前で合理化してきた歴史。

世界でも有数の軍事兵器と隊員を有する自衛隊を、「軍隊でない」というのは変な話だ。

 軍事費で 世界8位
 兵員数で 世界25位くらい

陸上自衛隊
陸上自衛隊

 戦車数で 世界20位くらい
陸上自衛隊 10式戦車
陸上自衛隊 10式戦車

 艦艇数で 世界3位(主要艦艇のみ)
海上自衛隊
海上自衛隊

 航空機数で 世界10位くらい
航空自衛隊
航空自衛隊

 航空戦力は航空機の性能に大きく左右されるので実際は世界4位くらい

【参考】
ストックホルム国際平和研究所
https://www.sipri.org/databases/milex

米国や中国・ロシアと比べるとたいしたことないが、世界のほとんどの国が足元に及ばないくらいの軍事力を有している。

実際に軍事力を持っていることは確かだが、
その実態に合わせて、時の政権が、憲法の方を修正しようとするのが嫌だ。
しかも、議論半ばで憲法を修正しようとする方がもっといやだ。

自民党などの改憲派は今の憲法が米国の押し付けによるもので国民の総意がないと感情的に主張するが、
現在の憲法改正論議も国民全体が参加しているとは思えない。

現憲法の成立過程を問題視するなら、
改正においても過程を大事にすべきではないだろうか。

天皇の退位問題ではあれだけ中立にこだわり、慎重な審議をしてきたのに、
憲法問題となると、政治は単なる手段とみなして、どう見ても、内容を議論しているように思えない。

国会議事堂前のデモ
国会議事堂前のデモ

憲法のもっとも大事な機能は、
個々の条文の内容を守ることではなく、
時の権力者が恣意的に国の政治権力を利用させないため、権力を縛ることが重要なのだ。
憲法が他の法律と違うのは、国の政治運営の中で変えることが出来ない点なのだ。

国家の安全保障のために憲法第9条が邪魔になるから変更しようとするのは間違っているのだ。

国家の安全のために拷問や殺人を合法化するのと同じで、目的だけを見ているがために、本来の理念を失っているのだ。

それなのに、安倍政権は、政治権力と国家統治を強化する手段として憲法改正を行おうとしている。
立憲主義の先進国、ドイツや英国、米国などが、時の政権への権力封じ込めのために憲法を改正してきたのと反対である。

究極のところ、改憲派の欲するところは第9条の改正もしくは廃止だろう、
これによって何が得られるだろうか?

これで国家の防衛能力が強化されるだろうか?

答えは否である。

現状、憲法で軍隊を認めるように改正しても、軍事力は強化できない。

例えば、憲法改正で、いざという時に国民を徴兵・動員できるようになったとすれば、
中国が島嶼に上陸したときに、より有利に撃退できるようなるか?

できない、動員兵力数が増えても有利にならない。

島嶼部防衛
島嶼部防衛

島嶼部の防衛に必要なのは、海軍力と空軍力、
それぞれ定員があり、徴兵者を乗せたから強化できるものではない。
もちろん徴兵者はパイロットになれないので、航空戦力も強化できない。
島嶼部への反撃上陸を行う場合には歩兵戦力が必要だが、
現在の日本やたいていの国には、兵員を輸送する艦艇とヘリコプターがないので、沢山兵員がいても、反撃のために運ぶことができない。

私の経験からも、パイロットを急ごしらえで養成しようとしても、どうしても1年以上はかかる。
練習機も少ないし、教官の数も少ない。
海自の艦艇においても、自動化が進み、艦艇の乗員数は減っている。
逆にそれぞれが高度に専門化したプロフェッショナルな集団でないと役に立たない。

徴兵制度を有する中国や韓国が、軍事力の強化を図りつつも兵員数を削減しようとするのを考えればよく分かるだろう。

そもそも、兵力を動員してから、反抗準備するのに十分な予備役制度があっても何週間もかかる。
元から予備役が正規兵と同じ仕事をしている米国でも、湾岸戦争で予備役部隊を完全に動員するのに1か月かかっている。
中国が奇襲で島嶼部を占領して、それに対して動員した兵力で反攻するなら、動員から1か月は必要になる。
1か月もあれば、占領した島周辺に機雷がまかれ、対空ミサイル陣地も構築されてしまっている。
動員して増えた分の兵力ぐらい簡単に消耗してしまうだろう。

つまり、戦争に備えるのに徴兵制や動員制度を整えても効果がないのだ。

動員制度よりも、道路規制の緩和やJRの貨物や民間船舶・航空機の利用を拡大したほうがより効果的だろう。
沖縄の基地分散なども、防衛力強化につながる。
兵器システム開発での防衛省の技術力強化なども、今すぐに行うべきことだが、
これらに憲法改正は全く必要ない。

さらに、もっと大事なことは、
現在のような政権が憲法を改正することは、中国や北朝鮮に対する、もっとも効果的な抑止力を減少させることになる。

その効果的な抑止力とは、民主主義的に運営されている国家の姿である。

中国から来日する人と話すと分かるが、
中国では基本的に政治は自分たちとは縁遠いと認識している。
中国は共産党の独裁政権だが、実際、共産党の党員資格を持つのは1億人以下で、
未成年の人口を考慮しても人口の半数以上が政治から排除されている。

そして、明確でない党執行部への昇任システムなど、常に党内上層部の権力バランスのみで権力執行者が選ばれる。
本当の党上層部メンバーは選挙などでは選ばれないのだ。

つまり、中国の政権は、国民によって常に信任されたことがないのだ。

地方権力でも、全く自治権がないので、
(党組織は全国一律の指揮命令系統に属するので、行政組織の自治権といっても、共産党中央の意向には逆らわない)
中央政府は常に地方の他民族の動向に注意しなければならない。

香港は無理やり中国に併合(復帰)されたが、
台湾は、民主的でない中国の政権には組み込まれたくないだろう。
台湾と統一するうえで、もっとも大きな障害は、共産党の独裁そのものなのだ。
いくら軍事的に優位でも、中国が台湾を占領した後に起こる混乱は非常に大きいだろう。

チベットのような人口の少ない地域ですら、大規模な軍隊の駐屯が必要なのに、
もし、台湾を占領し続けるならどれほどの軍隊を駐屯させねばならないか、中国の軍部すら悩んでいるだろう。

中国共産党
中国共産党

中国共産党政権にとって、
自分たちが国民に信任されず、国民の自由意志のもと国を運営していないことがどれだけの負担になっているか、
国家の目標と国民の意志が乖離すれば、余計に国力はそがれることになる。

高度にネットワーク化された社会では、人々の意志をルールで統制することは難しい。
日本や欧米社会が人々の自由を社会の基本方針にするのは、
権力側から見ると、人々に、自由であると思わせて、自らの意志で社会へ参加させる最良の方法なのである。

例えば、マンション管理費の増額を、管理費を争点にして、選挙で選んだ理事会が行うならみな納得するだろうが、
ずっと同じ人が選挙もなしで理事会を運営し、勝手に管理費を増額しすれば反発は必至である。

これと同じことが、中国では当たり前になっていて、
何かを民主的に自発的に運営しようとすると、自分は参加しないのに文句だけ言う体質になってしまう。
それでも何となく従うのはこれまでの歴史的な経験によるものだろうが、これは現代社会ではマイナスである。

複雑な意思決定にこそ、より民主的なシステムを使わないと運営できないのは、
これまでの理論や歴史が教えてくれることだ。

このように中国の共産党政権がこれまで一度も成したことがない民主的な政権運営を、現在の日本は行っている。
一度は、政権交代も実現させた日本。
この民主的な姿こそが、中国や北朝鮮の権力者が真に恐れるものなのだ。

中国は地方他民族の自治権拡大や民主化を抑えるために莫大な治安維持費用を使っている。
武警や民兵の規模からして、国内向けの武力に軍事力全体の数十%使っていると見ても良いだろう。
言い換えると、民主的な政治という日本や米国の武器に備えて、中国軍の軍事力の大きな部分を費やしているのだ。
これが日本の防衛に寄与する部分は多大であろう。

安倍政権
安倍政権
もし、現在の安倍政権が憲法改正を行ったなら、
日本も、権力者がその意向によって、自らの規制を緩めることが出来るとの前例を作ることになる。
本来なら、改憲に慎重な政権こそがそれを行うべきなのだ。

東日本震災後、民主党が政権交代する際に、民主党・自民党・公明党が3党合意して、消費税の増税を決めた時などが、話し合いの政治ではないだろうか。
その3党合意を反故にするあたり、安倍政権の自分勝手さが良く分かる。

この身勝手な権力行使は、日本の安全保障にマイナスで、憲法を修正することで相対的防衛力は低下することになる。

安倍政権には優秀な忠誠心の高いスタッフ・側近が充実している。
一度、権力を失っているので、今いる側近は信頼できるのだろう。
しかし、今の安倍政権は、政治権力を維持することを第一に考えているように思える。

憲法改正も、未来への国家目標というより、自分の生まれからの運命論に支配されているように見える。

第9条の改正が、戦争開始の敷居を低くすることだけは確実である。

第二次世界大戦後の国会議事堂
第二次世界大戦後の国会議事堂

理想であっても、少なくとも国家国民が幸せになる何らかの方策を抱き、理念を持って政治家になって欲しいものだ。

ロシア海軍潜水艦 ロストフ・ナ・ドヌー 地中海からシリアのIS拠点に巡航ミサイル発射

ロストフ・ナ・ドヌ 改キロ型潜水艦
ロストフ・ナ・ドヌ 改キロ型潜水艦
12月8日の記事で配信された上記内容、米海軍ではありきたりの攻撃をロシアも実施できるとアピールになった。

今回ミサイルを発射した「ロストフ・ナ・ドヌ」は改キロ型の通常型潜水艦(ディーゼルエレクトリック推進潜水艦)。改キロ型の中でも対地攻撃用巡航ミサイルなどを装備したプロジェクト636.3と呼ばれるタイプである。
名称のロストフ・ナ・ドヌ(ロシア語: Росто́в-на-Дону́, Rostov-na-Donu)はロシア・ドン川沿いにある海運都市で運河によって黒海やカスピ海にもつながり、黒海艦隊所属の潜水艦として相応しい名前である。

ロストフ・ナ・ドヌ 改キロ型潜水艦
ロストフ・ナ・ドヌ 改キロ型潜水艦

キロ型というのはNATOが便宜的につける通称で、ロシアでの正式名称は636型。キロ型はかつての東側各国が採用し、今も大人気のベストセラー潜水艦。ソ連の通常型潜水艦の集大成といえる潜水艦で、このタイプが優秀すぎるために次世代の通常推進型潜水艦(ラダ級)の開発が難航するほどである。

改キロ型潜水艦
改キロ型潜水艦

キロ級の改良型である改キロ級636型は西側と同等のハイスキュードプロペラや改良されたソナーシステムによって十分な静音性と戦闘力を有している。
通常型潜水艦で636型程度の能力を持っていると、潜水中に探知することは難しいので、米海軍や海上自衛隊にとっても脅威となる潜水艦である。
中国海軍はこの636型を輸入しており、自国開発の潜水艦にもこの潜水艦の技術を取り入れようとしている。中国が熱心に開発に取り組んでも、未だに最新の636型潜水艦と同等の潜水艦は開発できていない。ロシアの潜水艦はそれほど優秀なのだ。

改キロ型潜水艦
改キロ型潜水艦

改キロ型潜水艦の透視図
改キロ型潜水艦の透視図

ロシアの潜水艦全般に言えることだが、武装が多彩である。
ソ連は米海軍の圧倒的な機動部隊の前に、唯一生存可能な潜水艦を艦隊で運用することで対抗しようとした。そのため、ロシアの潜水艦は魚雷だけでなく、長距離から水上艦を攻撃できるミサイルやソナー探知外を攻撃できる長距離攻撃魚雷、[ミサイルとして空中に発射して、あらかじめ指定した位置まで何十キロも飛行した後に魚雷を切り離し、魚雷のセンサーで敵を探して攻撃する魚雷、核弾頭の搭載を前提としている。]などを開発してきた。
主力の核抑止力となるSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル、たいていは核弾頭)の開発に難儀し、試行錯誤する途中に作ったいろいろなアイデア兵器を全部潜水艦兵器として実用化していったようなかんじである。潜水艦に対空ミサイルを搭載しているのはロシア製潜水艦だけであろう。

多彩な兵器群のなかでも、潜水艦発射長距離ミサイルは種類が多く、米空母の哨戒圏外から攻撃することにいかに熱心だったか分かる。

クラブミサイル
クラブミサイル
クラブミサイル
クラブミサイル

今回使用されたとする巡航ミサイルはクラブミサイルを呼ばれるシリーズのミサイル。(ロシア語: Клуб) カリブル(Калибр)とも呼ばれる。艦船発射型はNATOコードネーム:SS-N-27 「シズラー」。
固形燃料ロケットのブースターに巡航用のターボジェット・エンジンを搭載し、多様な発射母体が使用可能で、かつ数百キロの射程を有する。
迎撃を回避するために、最終突入時に先端部を切り離し超音速まで加速するので迎撃が困難であるとされている。

時事通信配信の動画では水中から発射されているので、魚雷発射管より発射できるクラブS
3M14E型かと思われる。

クラブ ミサイル 3M14E 潜水艦発射対地攻撃型
クラブ ミサイル 3M14E 潜水艦発射対地攻撃型
後端は固体燃料ロケットブースター、その先にターボジェットエンジンがある
後端は固体燃料ロケットブースター、その先にターボジェットエンジンがある

動画では初期発射時の固体燃料の燃焼時間などが分かって面白い。ニュース記事なのでしばらくするとリンク切れになるだろう。
http://mainichi.jp/articles/20151210/k00/00m/030/037000c

今回のシリアのISへの攻撃はその長距離精密誘導ミサイルの能力を存分に発揮した攻撃である。
長距離の見えない艦船を攻撃できるミサイルであれば陸上目標への攻撃も可能であろう。ロシアは米海軍との直接の戦闘だけでなく、テロ組織への遠隔攻撃など、米軍が得意とする分野にも十分な能力を持っていることを証明したわけだ。
陸上目標への攻撃と海上の艦船への攻撃の違いは、ミサイル自身のレーダーなどのセンサーだけでは最終の誘導が出来ない事と陸上の様々な地形を回避する必要がある事だ。
米軍は最終の誘導にGPSを使うが、ロシア軍も独自の衛星による誘導を行っている可能性が高い。また、衛星や航空偵察によって、詳細な地形のデータを有していることになる。
自国で開発可能な潜水艦とそこから発射可能な巡航ミサイル、目標の選定から兵器の誘導までのシステム、これらをロシア単独で有していることには注意しなければならない。
これらは偵察から最終的な誘導まで、多様な情報を取得評価するシステムが必要なので、簡単に第三国に輸出できるものではないが、中国やインドなど、自国で衛星の打ち上げが可能な国であれば、全世界のどこへでも兵力投射が可能になっていることを示す。
逆に言えば、兵器全体をシステムとして整備できる国とそうでない国との間に、通常戦力においても圧倒的な差が付き始めていることでもあり、北朝鮮やイランなど中程度の軍事国家に核兵器や化学兵器へ向かわせる動機ともなろう。

今回のシリアでのロシアの軍事行動は実に計算されたタイミングで実行され、ロシアの軍事技術の誇示、同盟国へのロシアの信頼回復、黒海・地中海でのプレゼンス、通常戦力での戦闘への対応を見事に示した。中東でのロシアの影響力を保持し、石油資源価格への影響力も示した。
外交での戦略に、いちいち国内から文句をつけられる米国オバマ大統領に比べ、より的確な外交手段を選べるプーチン大統領の実力を示したことが一番の収穫かも知れない。

中国軍の脅威、いつまでも続く?南シナ海でのCARAT演習での米艦隊示威航行

米海軍イージス駆逐艦ラッセン南シナ海を示威航行
米海軍イージス駆逐艦ラッセン南シナ海を示威航行

相変わらず中国脅威論が盛んです。
大規模な軍事パレードにつづき、米中首脳会談後の南シナ海での米海軍艦船による示威航行。
話題が尽きないです。

ここではっきりさせておくと、中国軍の最も脅威なる戦力は核戦力であり、この脅威は中国が核兵器開発に成功した1964年以来40年以上変化がない。
かつても脅威であるし、今もって脅威である。

通常戦力において拡張があると言っても、この核武装に比べるとたいしたことない。

米国にとっては、アメリカ大陸に到達する戦略弾道ミサイルやSLBMが出てきて実際の脅威は高まるので、そろそろ対策をとらねばと考えるだろう。しかし、これは米国の立場であって、日本の取るべき立場でない。

地域大国である中国が軍拡を進める以上、日本の自衛隊も戦力を強化するのは仕方ないが、それはこれまで通り行うという態度で十分である。

先日行われた中国の軍事パレードでも、特別注目すべき新兵器は無いと思う。

DF-5B ICBM 
DF-5B ICBM アメリカ合衆国本土に到達可能な弾道ミサイル

中国の主戦力と言って良いICBMは順調に進化しているようである。
DF-5Bは米国に到達可能である。信頼性も高まり、中国との核戦争でも米国は直接被害を受ける可能性が高い。

DF-21D 対艦弾道ミサイル
DF-21D 対艦弾道ミサイル その運用はまだ確立されていない

また、米国の海軍への抑止力はDF-21Dなどの対艦弾道ミサイルを誇示しているが、これに関しては、能力は未知数と言える。戦時に米国の空母機動部隊を捜索探知することは、中国の制海能力から言って難しく、衛星での探知では空母の至近に直撃させることは難しい。うまく探知できたとしても、弾道弾迎撃能力を持った護衛艦隊の盾を突破しなければならない。500ktの核弾道弾を搭載可能で、実戦では当然核弾道弾を使用しなければ効果がないが、空母は常時時速30ノットで航行しており、核兵器であっても数キロ以内に着弾しなければ効果が少ない。はたして、30キロ以上の対空防空圏を持つ米機動部隊に効果的な攻撃が可能であろうか。

05式水陸両用車
05式水陸両用車

私は逆に中国軍の沿岸攻撃ミサイルと水陸両用戦能力の強化に目を向けたい。米国との核戦争を引き起こさずに実施できる軍事作戦の最大のものは台湾上陸占領である。
台湾は有力な潜水艦部隊と航空戦部隊を持たず、台湾を含む沿岸は中国軍の防空ミサイルの圏内である。
すなわち、中国軍は航空戦で米国に勝てなくても、地上発射の対空ミサイルと中短距離ミサイルだけで継続的に台湾を攻撃して、その航空戦力を撃滅できる。
台湾は有力な海軍部隊(潜水艦)を持たないので、飛行機が無くなれば中国の上陸部隊を阻止する方法がない。
現在の戦力で台湾の併合は可能である。米国が介入しない限り。

米国は前回の台湾海峡危機の際には空母部隊を派遣して、中国の意志を挫いている。台湾を占領しようとした場合、米国は戦争するという立場なのだ。

こうなると中国の台湾占領は難しい。空母機動部隊よりも、潜水艦部隊が脅威となるだろう。大陸と台湾の補給線は常に脅かされ、防空ミサイルの圏外より巡航ミサイルと無人機による攻撃を受け続ける。
それに、中国自身のシーレーンは絶対に守れない。

ということで、今のところ大人しくしているが、逆に言えば、米国が台湾を守るために軍を動かせないときが来れば、台湾を速やかに占領可能ということだ。
またこの水陸両用戦能力は、東シナ海や南シナ海での紛争でも利用しやすい。ロシアのウクライナなどでの作戦を見て分かるように、自勢力圏内で米軍が介入しにくい状況下でこのような通常戦力は役に立つので、これを強化するのは合理的で、戦略に見合うだろう。

05式水陸両用装甲車など中国にとっては特異な車両は充実している。海兵隊も、人員削減の進む中国軍のなかで装備、人員ともに強化されている。ネックは強襲揚陸艦と上陸戦の経験の少なさか。今後、この辺りを強化していくものと思われる。

このように、中国は正面切って米軍と対峙しようとしていないが、あまりに米国の戦略が不明確なために、中国とロシアなどはどこまで出来るか測るために、挑戦的な軍事行動を継続的に行っている。これは中国やロシアの国内での軍部の存在意義の主張と米国へのメッセージ発信に役立っている。

アメリカ合衆国のオバマ大統領は中東とアフガンでの戦争を終了させた。これによって始めてアメリカ合衆国は他の軍事的な戦略を策定できるようになった。当面、地上兵力を派遣しての戦争は行えないが、海軍兵力や航空兵力による攻撃は全世界的に可能なので、大統領選挙後、民主党であろうと共和党であろうと、中国とロシアはアメリカ合衆国の本気を見せつけられる時が来るであろう。

アメリカ合衆国がイラク・アフガンから撤退したのは良かった。しかし、オバマ政権が弱腰に見られたのは確かだ。戦略的に欠陥だらけのイラク・アフガン軍事占領でアメリカ合衆国の支払った代償は大きく、無人機や情報戦に偏った軍事力編成はなかなか元に戻らないだろう。つまり、アメリカ合衆国は戦争にビビッているのだ。
アメリカ合衆国のこの姿勢が中国やロシアを誘惑しているのだ。

米国は軍事的な覇権を維持するつもりなら、今後は、もっと明確に軍事的なメッセージを発信すべきである。同盟国との関係を大事にして、中国やロシアのまやかしの友好に軸足を置いてはならない。
国家の友好関係は力のバランスから出発する。決して感傷的な善人が行うものではない。中国の習主席やロシアのプーチン大統領が感傷的に判断するはずがない。常に損得を計算して、自らの地位と権力を守る以外は国家に忠実なのだ。

ウクライナや南シナ海、台湾での中国とロシアのメッセージを見誤ってはいけない。軍事行動は素早く行い、小出しで対応してはならない。中国もロシアも習主席やプーチン大統領が判断できる限り、感情論では行動しない。どれだけ愛国者が騒いでも、引くべきところは引けるだけの権力を持っている。軍事的に譲歩した時に困るのは軍部であり、それは習主席やプーチンと同一ではないのだ。

南シナ海での12海里以内航行は初めてのまともな軍事行動で、言葉と行動が一致した瞬間だ。膨張的な軍事行動に伴うリスクを明確に示したのだ。
例え、島に飛行場を建設しても、近くに米海軍のイージス艦がいれば制空権・制海権を確保できない。本土から離れた無人島に飛行場を作るコストに見合うか検討する際に、よりコストが増えるように行動すべきなのだ。

前回も言及したが、現在米海軍の力は中国海軍に対し圧倒的な力を持ち。海上で戦闘すればアメリカ合衆国が圧勝する。中国はどんなに挑発されても反撃できないのだ。中国としては海上自衛隊のいない南シナ海とSLBM搭載の原子力潜水艦のパトロール水域としたいところだが、周りに有力な同盟国の無い状態で、南シナ海の無人島に飛行場を作るだけではなかなか実現しないのではないだろうか。

さらに強力な原子力潜水艦を20隻近く配備し、4個機動部隊による定常的なパトロール、静粛性の高い戦略原子力潜水艦、これでようやく自らの海と言えるようになる。
かつてのソ連は北極海を自らの海にするために全力を注いだ。その結果がタイフーン級原子力潜水艦だったりするのだ。そして、自国本土のすぐそばの氷に閉ざされた海でさえ米海軍は侵入し、ソ連の原子力潜水艦を付け回した。
それほど米海軍は強力であり、他国はその行動を阻止するのが難しいのだ。

南シナ海での中国の意図は挑戦的な課題で、すぐには実現できない。中国はそれを理解した上で、理想と現実を比べながら、徐々に力を付けようと思っているのだろう。米国と直ちに対決する意思も能力もないが、少しずつ軍事的な立場を強くしたい、その際に米国の利害を損ねるつもりはない。このことは中国トップの発言にも何度も見られることで、恐らく本音だ。しかしながら、そこは中国人とロシア人、絶対に本音を見せないのが彼らの流儀である。

中国国防白書の評価 2015年度

ChineseNavy
中国は今後海軍に注力すると明言。。
ソブレメンヌイ級駆逐艦と054A型フリゲイト

少し強い言葉で表現していることから話題になっている本年度の中国の国防白書。既に軍事予算決算の発表があったので、中国の軍事力強化の方向性ははっきりしていて、南沙諸島での係争について踏み込んだ発言をしていること以外、特に注目すべき点はない。

国防白書は政治的なメッセージが強いので、ここで扱うには政治的すぎるが、あまりに質問が多いので、中国の戦略について整理しつつ、少し説明しよう。

中国は南沙諸島でベトナムやフィリピンと係争中で、東シナ海では主に日本と領有権で争っている。
国防白書では、南沙諸島での戦闘がありえると言っている。実際に、既に実力行使を行っている。南沙諸島では中国側が島を実効支配しており、主にフィリピンの海軍艦艇を体当たりや威嚇射撃で追い払っている。

南沙諸島の海域
南沙諸島の海域
Spratly_with_flags
南沙諸島の海域。実効支配している国も様々で入り乱れている。

このあたりの対応は尖閣諸島での係争と異なる。尖閣諸島では日本は海上自衛隊の艦艇を派遣しておらず、中国も主にコーストガードを任務にあて、両国が暗黙に実力行使は行わない意志をあらわしている。

しかし、南沙諸島ではフィリピン海軍が弱体なために、中国の軍事行動を阻止できず、諸島の占領を許したこともあって、中国は一帯の制圧を目的に行動している。元々、ベトナム戦争中からベトナムと戦闘を繰り返し、軍事的に占領してしまっているので、今後も同じ方針で行動するだろう。当時は、ベトナムと中国の争いであり、米国にはどちらにも肩入れするつもりがなかったので介入しなかった。これが今に続いているのだ。

フィリピンは一応米国の同盟国であり、フィリピンの意志としては、現在の諸島の占領は認めても、制圧海域の拡大は許したくない。また、米国も中国が南シナ海の航行の自由を侵さない限り、南沙諸島の占領は認める腹積もりであろう。この点で米国とフィリピンの戦略は一致しており、現在のところ、中国もその範囲で行動するつもりだろう。

ただ、米国がアフガン、イラクでの戦争を終了させ、これまでの対テロ戦争から中国との対決に備えるようになると、中国はこれまでのように米国の無関心をついて近隣諸国を脅かすことが出来なくなる。中国は経済の成長とともにその勢力圏の拡大を目指してきたが、米国が軍事費の大きな負担になっていたアフガン・イラクの両戦争から解放され、その余力を中国に向けることが心配なのだ。
その心配を正直に表現したのが今回の国防白書と言えよう。

その正直さは、東シナ海での日本との係争において、現状のままで良く、日本の安保体制変更が中国に向かないことだけを心配していることにも表れている。当面、中国は尖閣諸島での日本の実効支配に手出しするつもりがないだろう。

国防白書発表後、米国は南沙諸島での中国の実力行使を批判しつつも、それを阻止する具体的な方策には言及せず、航行の自由に関してのみ、今後も偵察機の恒常的な運用を表明した。これもまた米国の正直な意志の表れで、小さい島の領有に関しては干渉しないが、周辺海域での行動の自由は侵してはならないとの従来からの米国の主張通りである。

以上、今回の国防白書に特別に注目すべき点はない。

USNavyCSG
アメリカ海軍の優位は今後10年間揺るがないだろう。
PACIFIC OCEAN (May 22, 2015) The aircraft carrier USS Ronald Reagan (CVN 76) simulates an emergency break away after a replenishment-at-sea with the fleet replenishment oiler USNS Henry J. Kaiser (T-AO 187). Ronald Reagan is underway off the coast of Southern California. (U.S. Navy photo by Lt. j. g. Joseph Pfaff/Released)

米海軍の実力は圧倒的であり、今後10年は揺らがないだろう。中国が陸軍から海軍へシフトしているように、米軍は既にヨーロッパ戦域での陸上戦力の直接対決から卒業していて、米3軍の主力は実質的に海軍が担っている。空母機動部隊は米国10に中国0.5(まだ機動部隊とは言えないから)、戦略原子力潜水艦は米国10隻(4隻はSSGN)に中国2隻、攻撃型原子力潜水艦は米国50隻に中国3.5隻、イージス艦は米国80隻に中国3隻、このように海軍力において米国は中国の10倍以上の戦力を有しており、個々の性能に関しても10年以上の差がある。

USNavyAndJMSDF
アメリカ海軍には海上自衛隊などの強力な同盟国がある。。
WATERS NEAR GUAM (July 8, 2014) The Arleigh Burke-class guided-missile destroyer USS Pinckney (DDG 91) and the Japan Maritime Self-Defense Force (JMSDF) ships conduct tactical maneuvers during GUAMEX 2014 in waters near Guam. Pinckney and the JMSDF ships Kongo (DDG 173), Murasame (DD 101), Ikazuchi (DD 107), Akebono (DD 108), Ariake (DD 109), Akizuki (DD 115) and Shimakaze (DDG 172) are participating part in GUAMEX 2014, an operation aimed at enhancing the interoperability of the U.S. Navy and JMSDF and strengthening personnel ties between the respective forces. (U.S. Navy photo by Cryptologic Technician Collection 3rd Class Raul Sanchez/Released)

しかも米海軍には日本の海上自衛隊や英海軍のような強力で高質の同盟海軍力があり、太平洋、大西洋の展開においても全く隙がない。東シナ海でも南シナ海でも米軍と戦えばワンサイドゲームで終わる。中国はそれを良く知っているからこそ海軍の増強を図っているのだ。

中国の海軍力増強には様々な障害があり、最大の問題は経済成長に陰りが見えている点だ。
今後の経済の成長には政治体制の変革が必要だが、その変革を阻んでいるが共産党と人民解放軍なのだ。巨大な利権システムのこの二つを打破しないと経済成長出来ないが、米国との対決にはこの二つを必要とするという決定的な自己矛盾を抱えているのだ。
好景気が続く間はなんとか体制は維持されるが、それが鈍化した際に体制をうまく転換できるかが中国の最優先課題である。

世界の成長と進化はIP6の完全普及やエネルギー革命まで続くだろう。
化石エネルギーから解放された世界の中心産業は情報産業になる。その時に今の中国が生き残れるだろうか?無理だ。完全に情報化された社会は体制において完全に民主化されなければならないからだ。情報の独占は強制された意志によってはなしえないからだ。個々の自由な選択の情報こそを得なければならない。情報資本の独占こそ今の権力が目指す目標なのだ。

軍事ブログとしてはかなり政治学的な話に脱線している。
まあ、中国の動向に敏感に反応する必要はない。軍事力の増強も米軍の脅威になるには10年以上かかる。しかも、日本の現政権は米軍のパシリになって働くというのだから、米国はより楽に軍事的優位を保つことが出来る。他国の軍事的な優位のために、国家をあげて奉仕するのが愛国者のすることだとは思わないが。